タキシード
たきしーど
tuxedo
タキシード・コートの短縮形で、ディナー・ジャケットdinner jacketと同義。燕尾服(えんびふく)に準じる男子用の略式夜会服。前打合せはシングル、襟は拝絹地(はいけんじ)(厚地の絹織物。フェーシング・シルク)付きショールカラーが代表的であるが、ピークド・ラペルやダブル・カラーのものもある。生地(きじ)は黒または紺のドスキン、カシミヤなどを用い、ズボンも上着と同質にするのが正式である。ベストまたはカマーバンドcummerbandが組み合わされ、カマーバンドと共地の蝶(ちょう)ネクタイをつけるが、元来は黒(ブラック・タイ)と決まっていた。近来は避暑地や芸能界などで用いられる場合、とくに生地、形とも変わり型が多くみられる。名称はアメリカ、ニューヨークの特定居住区の一種であるタキシードパークにあるカントリークラブにちなむもので、1886年、グリスウォルド・ロリラードGriswold Lorillardが初めてイギリスのディナー・ジャケットをここで披露した。
[菅生ふさ代]
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タキシード
tuxedo
男性の略式夜会用礼服。イギリスではディナージャケット dinner jacket,黒のボータイをするところからブラックタイ black tieなどともいわれ,タキシードはアメリカ独特の呼称。その由来は,ニューヨークのタキシードパークにあるカントリークラブの社交界の紳士たちが,1880年頃に男性の正式礼装であるモーニングコートに代る略式礼装として案出したことによる。当初は,黒または濃紺の腰丈のシングルブレストのジャケットで,同色の絹地でおおった,刻みのないいわゆるタキシードカラー (ショールカラー) とチョッキを伴うのを特色としたが,1920年代以後はチョッキなしのダブルブレストで,剣襟形式が一般になった。布地はカシミア,ドスキン,チェビオットなどを使い,ボータイを結ぶほか,カマーバンド (一種の腹帯) を伴う。
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タキシード
タクシードー・パーク(Tuxedo Park)▼夜会服に燕尾服ではなくてディナージャケットを着る習慣は、エドワード七世が皇太子時代に始めたもので、一八八六年にグリズウォールド・ロリラードという人物が米国に紹介した。このスタイルは、ニューヨーク州のタクシードー・パーク村(マンハッタンの南東約六〇km)にあったカントリー・クラブ「タクシードー・クラブ(Tuxedo Club)」で人気を得たため、「タキシード」と呼ばれることになった。
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タキシード
〘名〙 (tuxedo ニューヨーク州タキシードパークのカントリークラブのメンバーが着用したところから) 男子の夜会用略式礼服。形は背広型で生地は黒ラシャなど。襟返りは綾絹でおおい、ズボンのわき縫いに絹の飾りテープがある。燕尾服の代用として、略式のパーティーや観劇などに着用。
スモーキング。
※南国記(1910)〈
竹越与三郎〉四「余は英人が〈略〉黒羅沙の燕尾服、若しくはタキシードを着用するを見て」
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タキシード
燕尾(えんび)服に次ぐ男性の夜間用礼服。上衣の形は普通のジャケットに近いが,衿(えり)を拝絹(はいけん)(綾絹)でおおい,ズボンは脇にモール2本をつける。必ず黒の蝶(ちょう)ネクタイを締める。tuxedoの名は,ニューヨーク南東のタキシード・パークのカントリー・クラブ員が着用したことに由来。英国ではディナー・ジャケットと呼ぶ。ブラック・タイと表記があればタキシードのこと。
→関連項目礼服
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タキシード(tuxedo)
燕尾服に代わる、男子の夜間用略式礼服。シングル襟、背広形の上下で、襟に黒絹をかぶせ、ズボンの側線も黒絹で縁取る。ネクタイは黒の蝶結び。ニューヨークのタキシード公園のクラブ員が制服として着用したことからの名。
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タキシード【tuxedo】
燕尾服に次ぐ男性の夜間の準礼服。アメリカで始まった呼称で,イギリスではディナー・ジャケットと呼ぶ。1880年ころ,ドレス・コート(燕尾服)に代わる略式の衣服としてあらわれた。その後,ニューヨーク州タキシード・パークのクラブの会員たちが簡単な夕食会などに気楽に着られるようにと採用したことから一般に広まった。黒い蝶ネクタイをつけるところから,燕尾服の〈ホワイト・タイ〉に対して〈ブラック・タイ〉とも呼ばれる。
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