アフリカ北部,アルジェリア東部の長大な山脈。長さ800km,幅50~60km,標高は平均千数百mで,最高峰は2335m。トゥアレグ語で〈水流の多い台地〉の意。現在は完全に乾ききった険しい山塊で,数万点の先史時代の岩面画が遺存する。おもな遺跡はセファールSefar,タン・ズマイタクTan Zoumaïtak,ティン・アボテカTin Abotéka,タムリットTamrit,ウエッド・ジェラートOued Djérat,ジャバレンJabbaren,イン・アウアンラートIn Aouanrhatなどである。1909年にフランスのコルティエCortier大尉によってウエッド・アズフ・メレンOued Asouf Mellenで最初の発見がなされ,その後33年にフランスのブルナンM.Brenans中尉が,56年にロートH.Lhoteが重要な発見をおこなった。
岩面画はサハラがまだ湿潤であった時代のもので,最古の刻画は中石器時代にさかのぼり,紀元ごろまで数千年間にわたって描き,刻み続けられた。時代の経過にともなって主題や様式は変化し,また描いた者も黒人,フルベ族,トゥアレグ族と変わる。北部のウエッド・ジェラートなどに刻画があるが,大部分は彩画で,羊,牛,馬,ラクダなどの動物と人物とを,狩猟,牧畜,戦闘,舞踊,家庭生活などの場面で組み合わせた図柄が多い。(1)狩猟民の時代,(2)牛飼人の時代,(3)馬の時代,(4)ラクダの時代などに区分される。
執筆者:木村 重信
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…パリ生れ。北アフリカ,とくにサハラ砂漠地域を専門とし,1929年以降延べ10万kmを踏査し,タッシリ・ナジェール,ホガールHoggar,アドラール・デジフォラスなどで多くの遺跡を発見した。とくにタッシリ・ナジェールのセファールSefarにおける膨大な岩面画の発見が注目される。…
※「タッシリナジェール」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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