チラミン

化学辞典 第2版 「チラミン」の解説

チラミン
チラミン
tyramine

2-(p-hydroxyphenyl)ethylamine.C8H11NO(137.18).チロシン脱炭酸による生成物で,動物植物界に広く見いだされる.チロシンの熱分解によって得られる.白色結晶.融点164~165 ℃.エタノールに易溶,水に微溶.弱い血圧上昇作用をもち,アドレナリン類似作用がある.ある種の動物では神経伝達物質としての作用が推定されている.[CAS 51-67-2]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「チラミン」の意味・わかりやすい解説

チラミン
ちらみん
tyramine

チロシンが脱炭酸された化合物。チロシンを加熱、またはアミノ酸デカルボキシラーゼを作用させて生成する。ヤドリギ、熟成したチーズ麦角(ばっかく)(バッカクキン菌核)などに存在する。生理的にはアドレナリンと類似の作用を示し、子宮収縮作用末梢(まっしょう)神経収縮作用、血圧上昇作用などをもつ。分子量137.18。水に溶け、水溶液はアルカリ性である。無色の板状結晶で融点164~165℃。塩酸塩は水に溶け、水溶液は中性である。

[降旗千恵]


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栄養・生化学辞典 「チラミン」の解説

チラミン

 C8H11NO (mw137.18).

 チロシンの脱炭酸により生成する物質で,血圧上昇作用がある.

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世界大百科事典(旧版)内のチラミンの言及

【自律神経薬】より

…(1)直接受容体に結合して作用を現す薬物(直接型作用薬)で,ノルアドレナリン,アドレナリン,イソプロテレノール,メトキサミン,フェニレフリンなどがこれに属する。(2)交感神経終末からノルアドレナリンを放出させて作用を現す薬物(間接型作用薬)で,チラミン,アンフェタミンなどがある。(3)上に述べた(1)(2)の両作用を併せもつ薬物(中間型作用薬)で,エフェドリンはこれに属する。…

【タコ(蛸∥章魚)】より

… 餌はおもに甲殻類であるが,他の軟体類(貝類)なども好む。タコの唾液腺にはこれらの餌を殺す,チラミンtyramineなどの毒を含み,なかでも熱帯太平洋に分布するヒョウモンダコは毒性が強い。人を攻撃することはないが,ときにはいたずらをしていてかまれた人が死ぬことがある。…

※「チラミン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」