ドイツの高分子化学者。チーグラーともいう。カッセル近くのヘルザに生まれる。1920年マールブルク大学を卒業後、同大学、フランクフルト大学、ハイデルベルク大学の講師を経て、1936年ハレ大学教授に就任した。1943年来ルール地方ミュールハイム市にあるカイザー・ウィルヘルム研究所(現、マックス・プランク研究所)の石炭研究所所長となり、有機金属化合物の研究で多くの業績をあげた。
1930年リチウムアルキルを合成、アルカリ金属アルキルはアルキル鎖からの巨大環の合成の鍵(かぎ)を与えた。環状ケトンの合成、複素環式化合物の分野に新反応をみいだし、1942年にはカンタリジンを合成した。1953年トリエチルアルミニウムと四塩化チタンとからなる触媒(ツィーグラー触媒という)を用いると、それまで困難とされていた常温近くで数気圧という低圧下でのエチレンの重合が速やかに進行することを発見した。この触媒による低圧法ポリエチレン製造技術は各国に急速に普及し、高分子化学の工業化と理論が飛躍的に発展した。この業績により1963年ナッタとともにノーベル化学賞を受賞した。1946年より5年間ドイツ化学会会長を務めた。1956年(昭和31)来日し、「エチレンの重合」について講演をし、「新しいポリエチレンは合成樹脂の調査や研究についてなんの設備もない研究所で偶然におこった」と述べている。日本化学会名誉会員であった。
[矢木哲雄]
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報
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