ティタン(その他表記)Titan

翻訳|Titan

デジタル大辞泉 「ティタン」の意味・読み・例文・類語

ティタン(Titan)

ギリシャ神話で、巨人またはその一族。天空神ウラノスと大地女神ガイアから生まれたクロノスその他の神々をいう。ゼウスが率いるオリンポスの神たちと戦って敗れ、地底に幽閉された。英語名タイタン

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「ティタン」の意味・わかりやすい解説

ティタン
Titan

ギリシア神話で,オリュンポス神以前の巨人族の神。タイタンはその英語読み。通例オケアノス,コイオス,クレイオス,ヒュペリオンイアペトス,クロノスの6柱の男神とテイア,レア,テミス(〈掟〉),ムネモシュネ(〈記憶〉),フォイベテテュスの6柱の女神をいい,いずれもウラノス(〈天〉)とガイア(〈地〉)の子。これらの名の一部はギリシア語では説明されないところから,先住民族からの継承と考えられ,また一部は抽象名詞の擬人化である。神話では,上記12神の末子クロノスが父ウラノスの陽物を切り落として天地の支配権を奪ったが,彼を頭とするティタン神族は,やがて,クロノスの末子ゼウスを盟主とするオリュンポス神との10年にわたる戦い(ティタノマキアTitanomachia)に敗れ,地底はるかなタルタロスに幽閉されたという。なお,ヒュペリオンとテイアの子たる太陽神ヘリオス,イアペトスの子アトラス,プロメテウスなども,しばしば,ティタンの名称で呼ばれる。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

百科事典マイペディア 「ティタン」の意味・わかりやすい解説

ティタン

ギリシア神話の巨人神たち。複数形ティタネス,英語読みでタイタン。ウラノスガイアの子で,通常オケアノス,ヒュペリオン,コイオス,クレイオス,イアペトス,クロノスの6柱の男神とレア,ムネモシュネ,ティア,テミス,フォイベ,テテュスの6柱の女神を指す。その中で末子のクロノスがウラノスを追放するが,クロノスを盟主とするティタン神族も,ゼウスを盟主とするオリンポス神族との抗争ティタノマキア)の末,支配権を奪われることになる。
→関連項目巨人レア

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ティタン」の意味・わかりやすい解説

ティタン
Titan

ギリシア神話で,オリュンポスの神々より以前に世界の支配者であったとされる古い世代の神々の呼び名。天空神ウラノスと大地女神ガイア父母として生れた,オケアノス,コイオス,クリオス,ヒュペリオン,イアペトス,クロノスの6兄弟と,その姉妹でティタニスと呼ばれる,テイア,レア,テミス,ムネモシュネ,フォイベ,テテュスの6女神。ウラノスを去勢し,その王権簒奪したクロノスを統領とし,世界の支配権を握り,それぞれ結婚して多くの子をもうけたが,クロノスとレアの子孫の,ゼウスを頭とするオリュンポス神族の神々との戦いに敗れ,タルタロスに幽閉された。しかしティタンたちのすべてがこの運命にあったわけではなく,オケアノスとテテュスは,ゼウスの統治下においても,世界を環流するすべての水の源をなす大河の地位を保持し,テミスとムネモシュネはそれぞれ,ゼウスと交わりその子を産んだとされる。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ティタン」の意味・わかりやすい解説

ティタン
てぃたん
Titan

ギリシア神話で、ゼウスを中心とするオリンポス神族に先だって世界を支配していたクロノスとその一族。ティタネスTitanes(複数形)ともよばれる。英語読みでタイタン、天文学の土星の衛星名はチタンと表記する。ガイア(大地)とウラノス(天空)を両親とし、普通、男神6人と女神6人の12神をさす。ガイアはこれらの神々のあとキクロペスヘカトンケイルを生むが、ウラノスはその奇怪な姿を嫌って生まれるとすぐに彼らを大地(ガイア)の奥底に隠した。母のガイアはこれを怒り、無法な父に報復するようティタンたちをけしかける。父を恐れて一同沈黙するばかりであったが、末子のクロノスだけは母の求めに応じてウラノスを待ち伏せし、その生殖器を鎌(かま)で切り取る。こうして父にかわりクロノスが天地の支配権を得たが、クロノスもやがて末子のゼウスに支配権を奪われる。そしてゼウスとの10年間にわたる戦い(ティタノマキア)に破れたティタンたちは、タルタロスに封じ込められる。おそらく、彼らはギリシアの先住民族から受け継がれた古い自然神であり、新来の民族の宗教に圧迫されて吸収された名残(なごり)であろうといわれている。

[伊藤照夫]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

普及版 字通 「ティタン」の読み・字形・画数・意味

【町】ていたん

農家のまわりの空地。〔詩、風、東山〕町は鹿場となり (いふえう)(蛍火)は(よる)行く 畏るべからざるなり 伊(こ)れ懷(おも)ふべきなり

字通「町」の項目を見る

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

デジタル大辞泉プラス 「ティタン」の解説

ていたん

福岡県北九州市でおもに活動する地域キャラクター。2011年登場。市の環境マスコットキャラクター。シロクマがモチーフ。名称は低炭素社会から。ペアとなるキャラクターは「ブラックていたん」。

出典 小学館デジタル大辞泉プラスについて 情報

世界大百科事典(旧版)内のティタンの言及

【ウラノス】より

…世界の最初の支配者。ヘシオドスの《神統記》によれば,大地女神ガイアの子として生まれた彼は,ガイアとの間に12柱のティタン神その他の子をもうけたが,それらの子すべてを大地の奥底タルタロスに押し込めたため,ガイアから父神の非道に報復するよう説得された最年少のティタン神クロノスによって,大鎌で陽物を切り落とされ,天地の支配者の地位を追われたという。【水谷 智洋】。…

【オルフェウス教】より

…ゼウスは世界の支配を息子のディオニュソスに委ねようとした。だがティタン神たちが嫉妬して子どものディオニュソスを八つ裂きにして食べた(このディオニュソスをザグレウスともいう。ディオニュソスの神話と祭儀につきものの野獣の八つ裂きと生の肉食とがこの神みずからを対象としてなされたことになる)。…

【巨人】より

…(2)新秩序の形成に抵抗する荒ぶる古神としての巨人伝説。古代ギリシア神話のギガンテスティタン,グアテマラのキチェー族原住民のポポル・ブフ神話のカブラカンCabracánやシパクナーXipacnáなどがこれに当たる。(3)15世紀までのヨーロッパ人が遠いアジア地方の住民について抱いたイメージのような,未知の異民族に関する異形神話。…

【ギリシア神話】より

…すなわち大地は天に添寝してクロノスを含む6人の男神と6人の女神とを生む。これがティタン神族である。ところが天は子を憎み,大地の奥処に隠して出ることを許さない。…

※「ティタン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

ビャンビャン麺

小麦粉を練って作った生地を、幅3センチ程度に平たくのばし、切らずに長いままゆでた麺。形はきしめんに似る。中国陝西せんせい省の料理。多く、唐辛子などの香辛料が入ったたれと、熱した香味油をからめて食べる。...

ビャンビャン麺の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android