音楽用語。二重唱、二重奏。2人の歌手または器楽奏者のための楽曲、またそれを演奏すること。器楽曲に対してはデュオduoとよぶことが多い。二重唱には、無伴奏の作品、ピアノまたは管弦楽伴奏付きの作品があり、また2人の歌手が同じ歌詞を歌う場合(リートなど)と異なる歌詞を歌う場合(オペラなどで歌手に役柄があるとき)がある。デュエットのもっとも初期の例は13世紀のトロープスtropus(ローマ教会の典礼聖歌に挿入された交唱)やコンドゥクトゥスconductus(ラテン語による宗教歌曲)である。バロック時代からカンタータ、オラトリオ、オペラなどで盛んに使われ、とくにオペラではその初期(17世紀初頭)からすでに重要な役割を担った。その後の二重唱でもっとも典型的なものは、愛し合う男女による「愛の二重唱」である。
[石多正男]
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