トコロ(読み)ところ

日本歴史地名大系 「トコロ」の解説

トコロ
ところ

漢字表記地名常呂」のもとになったアイヌ語に由来する地名。天保郷帳には「モンベツ持場」のうち「トウゴロ」とみえ、当地一帯は近代に入り常呂ところ村に包含された。仮名表記は「トコロ」が多いが(「夷諺俗話」「西蝦夷地日記」「協和私役」「西蝦夷地名考」「観国録」、島「入北記」、玉虫「入北記」、「蝦夷人物誌」など)、「トゴロ」(地名考并里程記)、「トウゴロ」「トウコロ」(行程記)、「つころ」(元禄郷帳)、「ツコロ」(狄蜂起集書・蝦夷志・蝦夷商賈聞書)などもある。語義について「西蝦夷地名考」は「トは沼、コロは持といふ事也。此所沼有、故に沼を持たといふ意也」と記す。一方、前掲里程記は「トゴロ 夷語ゥコロなり。則、山崎の在といふ事」として常呂川右岸の一連の峰筋を有する地形に由来するという(「戊午日誌」登古呂誌も同様主旨)

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百科事典マイペディア 「トコロ」の意味・わかりやすい解説

トコロ

オニドコロとも。ヤマノイモ科多年生つる植物。北海道〜九州の山野にはえる。ヤマノイモに似ているが多肉根はない。根茎は肥大し,枝分れしてひげ根がはえ,苦味があるが食用にもなる。葉はハート形で互生する。雌雄異株。夏,雄花序は葉腋から出て直立し,雌花序は垂れ下がる。花は黄緑色で,花被片6枚。果実には3枚の翼がある。近縁にヒメドコロ,タチドコロウチワドコロなどがある。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「トコロ」の意味・わかりやすい解説

トコロ(野老)
トコロ
Dioscorea tokoro

ヤマノイモ科のつる性の多年草。オニドコロともいう。日本各地の山野に普通にみられる。地上部は冬に枯れるが,地下茎は肥厚して長く伸び多数のひげ根を出す。葉は長柄をもつ心臓形葉脈がよく目立つ。雌雄異株で,夏に,葉腋から長い花序を出し,淡緑色の花をつける。雄花序は直立し花柄がさらに分枝して小花序に分れるが,雌花序は分枝しないで下垂する。地下茎は苦くて通常は食用にならないが,木灰汁などで煮て苦みを取り,食用とするところもある。また地下茎が多数のひげ根を出した状態を老人のひげに見立て,野老と呼んで正月の飾りに用いて長寿を願う。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「トコロ」の意味・わかりやすい解説

トコロ
ところ

オニドコロ

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世界大百科事典(旧版)内のトコロの言及

【いも(芋∥薯∥藷)】より

…東日本を中心に,正月にとろろを食べて無病息災を祈り,家屋の出入口の戸や屋敷にまいてヘビなどの害を予防する呪術的行事がおこなわれている。ヤマノイモとよく似たトコロ(野老)と呼ぶいもは,今では食べないが,神社の祭りや年中行事などに供え物として登場してくる。サツマイモはカライモ,トウイモ,リュウキュウイモとも呼ばれ,外来のいもであることを示しているが,このいもの伝来によって日本人の食生活は豊かとなり,飢饉からも救われたため,各地に伝来の記念碑が建てられている。…

※「トコロ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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