トロンボーン(英語表記)trombone

翻訳|trombone

デジタル大辞泉 「トロンボーン」の意味・読み・例文・類語

トロンボーン(trombone)

金管楽器の一。カップ状の吹き口をもち、U字形の管を2本組み合わせ、一方の管をスライドさせて音高を変える。バルブによって管の長さを調節するものもある。

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精選版 日本国語大辞典 「トロンボーン」の意味・読み・例文・類語

トロンボーン

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] trombone ) 金管楽器の一つ。トランペットから発達しバッハの時代に完成。朝顔型の開口部、二個のU字型管の組み合わせの部分、および吹口からなり、U字型管の部分をスライドさせて音高を変えるが、バルブピストン式のものもある。音色は太くまるみを帯び、ソプラノアルトテノール、テノールバス、バス、コントラバスがある。管弦楽吹奏楽に常用。
    1. [初出の実例]「トロンボーヌ」(出典:風俗画報‐三二二号(1905)人事門)

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改訂新版 世界大百科事典 「トロンボーン」の意味・わかりやすい解説

トロンボーン
trombone

金管楽器の一種。その名からも推察される通り,大型のトロンバトランペットの別名)として成立し,15世紀以来の歴史がある。管形は円筒管部分が優勢,歌口(マウスピース)の内面は盃形。音に張りがあって力強い。管の途中に設けたU字状折返しをスライドに作ってあり,把手を押し引きすると管が伸縮する。管長を随時・自在に変えられることは,音程を自由に作れることである。スライド操作の面で運動性の制約はあるものの,他の金管楽器には求められない手加減の融通もきく。吹奏しながらの操作で音を連続的にずらす(ポルタメント,グリッサンド),スライド移動の急反復で音をゆらす(ビブラート)等々,独特の奏法が可能である。こうした管長可変の機構を,成立当初からもっていた点に独自性がある。今日では他の金管楽器と同じ弁の機構をもつバルブ・トロンボーンもあるが,一部での使用にとどまっている。楽器の基調もいろいろあるが,いずれも移調楽器としては扱わず,実音通りの楽譜で演奏する。基調を決めるのは,スライドを引いて管を最短にしたときの倍音列である。管長2.7mほどで変ロ調のテノール・トロンボーンが標準的で,常用可能の音域は約2オクターブ半,その最低音は(スライドをいっぱいにのばして)大字ホである。ペダル音(倍音列の基音)は常用音域外の低音であるが,その特異な音色を利用することがあり,音高は下1点変ロ以下である。もっと大型・低音で,管も太目のバス・トロンボーンは,ドイツではヘ調,イギリスではト調が中心であった等々の歴史もあり,規格は必ずしも一定しない。変ロ調テノールとヘ調バスを合体させ,相互に切り換える弁をつけたテノール・バス・トロンボーンもよく用いられる。管弦楽の場合テノール,テノール・バス,バス各1というチーム編成が基本である。軍楽,吹奏楽,金管合奏では中核的な役割をもち,ポピュラー音楽の諸分野でも活用されている。とくにジャズでは独奏楽器としても用いてその魅力をひきだしている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「トロンボーン」の意味・わかりやすい解説

トロンボーン
とろんぼーん
trombone 英語
trombone フランス語
trombone イタリア語
Posaune ドイツ語

リップリード(唇を発音源とする)の気鳴楽器の一つ。西洋音楽のいわゆる金管楽器に属し、トランペットと同様、管は円筒形を基本としている。現在一般に用いられているのは、管の一部をスライドさせることで管長を変え、それによって音高を変えることができるスライド式トロンボーンである。これは構造的には非常に単純で、外見上は長い1本の管を途中で2回折り返した形をしているが、実際には3本の管とそれをつなぐ2本のスライド管からなっている。スライド管のうち、歌口から奏者の前方に出ているものは、演奏中につねに動かして必要な音高を得るために用いられ、前方から折り返してきて奏者の肩の後方に位置するものは、楽器自体のピッチを微調整するために用いられる。実際の発音は、スライドをいちばん手前に引いた位置(第1ポジション)からスライドを伸ばして、順に半音ずつ低い第7ポジションまでの音を唇の調節による倍音の選択と組み合わせてなされる。このスライド管がトロンボーンの大きな特色で、これによってポルタメントなど他のいわゆる金管楽器には困難な演奏が可能となる。今日もっとも使用されるスライド式はテノール(B♭管)のタイプで、テノール・バス(通常B♭管、弁の操作でF管に切り替え可能)がこれに次ぐ。このほかにもソプラノ(B♭管)、アルト(E♭管)などがある。

 このスライド式のほか、トランペットのようにバルブ・ピストンを用いたバルブ・トロンボーンとよばれるものもある。19世紀後半にはドイツ、イタリアなどでよく用いられたが、音質があまりよくないため、今日ではほとんど用いられない。

[卜田隆嗣]


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百科事典マイペディア 「トロンボーン」の意味・わかりやすい解説

トロンボーン

金管楽器の一種。スライド管を第1〜7ポジションに伸縮させて管長を変え各音を得る。変ロ管のテノール・トロンボーン,ト管またはヘ管のバス・トロンボーン,バルブ1個を使用して両者を兼ねるテノール・バス・トロンボーンの3種が一般的。15世紀中ごろにトランペットから分かれて発達したもので,オペラや宗教音楽で用いられたのち,ベートーベンが初めて第5番(運命)と第6番(田園交響曲)の交響曲で交響作品に採用した。音域は低く,音色は太い。管弦楽のほか,吹奏楽,ジャズに多用される。
→関連項目管楽器管弦楽

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音楽用語ダス 「トロンボーン」の解説

トロンボーン[trombone / trom / trb / tb]

二重管のスライド方式で管の長さを変える金管楽器。スライドをもっとも短くした状態の音程がBbなので移調楽器に感じるが、実音のまま記譜するので実音楽器である。このタイプを正確にはテナー・トロンボーンという。トランペットの1オクターブ下に位置する音域を担当する。低音楽器なので低音部譜表に記譜する。高域での無理なフレーズを除き、音域はたいへん幅広く、輪郭のはっきりした美しい音色を持つ。ただし低域ではスライド方式の関係でこまかい動きが困難なことがある。またスライドを利用してのポルタメント(無段階グリッサンド)もトロンボーン特有のワザだ。スライド方式の他に、迂回管がセットされているバス・トロンボーン(bass trombone)、管の長さをスライドでなく迂回管を利用してピストン・バルブで操作するバルブ・トロンボーン(valbe trombone)、テナーのスライド・トロンボーンとバルブ・トロンボーンを一体にしたスーパーボーン(superbone)などのバリエーションがある。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「トロンボーン」の意味・わかりやすい解説

トロンボーン
trombone

楽器の一種。U字形のスライドを操作して数々の音高を得る低音用金管楽器。本来は,高音用も含まれていたが,今日では変ロのテノールとバスが一般化している。 15世紀に,大型のトランペットにスライドをつけたものが前身とされていて,イギリスではサックバットと呼ばれた。主として公的な儀式や教会音楽に用いられたが,スライドによって多くの音が出せるため,当時ではトランペットよりも用途が広く,16~17世紀には芸術音楽に加えられることが多かった。管弦楽で常用されるようになったのは,ベートーベン以降。

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