田園交響曲(読み)デンエンコウキョウキョク

デジタル大辞泉 「田園交響曲」の意味・読み・例文・類語

でんえんこうきょうきょく〔デンヱンカウキヤウキヨク〕【田園交響曲】

原題A Pastoral Symphony》R=V=ウィリアムズ交響曲第3番。1918年から1921年にかけて作曲。1955年改訂。全4楽章。作曲者が第一次大戦に従軍したときに耳にしたラッパの音に着想を得たとされる作品

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改訂新版 世界大百科事典 「田園交響曲」の意味・わかりやすい解説

田園交響曲 (でんえんこうきょうきょく)

ベートーベン作曲の交響曲。この《交響曲第6番ヘ長調》作品68は,《交響曲第5番》の〈運命〉という通称とは異なり,作曲者自身の命名により《パストラーレPastorale(田園)》と呼ばれている。ロマン派標題交響曲の先駆をなすこの作品は,その対概念である絶対交響曲の頂点をなす《運命》作品67とほぼ同時期に作曲されている。こうした点に彼の驚くべき才能をうかがうことができる。《田園》の作曲は1807年夏から翌年の6月ころまでの間で,ウィーン郊外ハイリゲンシュタットで完成した。当時の交響曲としては型破りの5楽章構成がとられ,各楽章には標題が付されている。第1楽章:田舎に着いた時の晴々とした気分,第2楽章:小川のほとりの情景,第3楽章:田舎の人々の楽しい集い,第4楽章:雷雨と嵐,第5楽章:嵐のあとの喜びと感謝に満ちた牧人の歌。この作品でベートーベンが追求したのは単なる描写音楽ではなく,神の啓示としての大自然と彼との対話であり,また人間感情の表現であった。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「田園交響曲」の意味・わかりやすい解説

田園交響曲
でんえんこうきょうきょく

ベートーベン作曲、交響曲第六番ヘ長調「田園」(作品68)のこと。田園Pastoraleという副題は作曲者自身がつけたもので、五楽章のそれぞれにも「第二楽章・小川のほとりの情景」といった標題がつけられている。この作品は、単なる自然描写にとどまらず、ベートーベンの愛したウィーン郊外ハイリゲンシュタットの田園の印象に基づく人間感情の表出が追求されており、後のベルリオーズをはじめとするロマン派の標題音楽の先駆をなすものと考えられている。

[柴田典子]

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百科事典マイペディア 「田園交響曲」の意味・わかりやすい解説

田園交響曲【でんえんこうきょうきょく】

ベートーベンの交響曲第6番ヘ長調。標題の田園(パストラーレPastorale)は作曲者自身がつけたもの。第5交響曲(運命)と並行して書き進められ,1808年ハイリゲンシュタットで完成。同年,第5番とともにウィーンで初演。それぞれ標題のついた5楽章からなる。→トロンボーン
→関連項目パストラル

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デジタル大辞泉プラス 「田園交響曲」の解説

田園交響曲

イギリスの作曲家レイフ・ヴォーン・ウィリアムズの交響曲第3番(1921, 55)。原題《A Pastoral Symphony》。第一次世界大戦の従軍時に耳にした調子はずれのラッパの音に着想を得て作曲された。印象主義音楽の強い影響が見られる。

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世界大百科事典(旧版)内の田園交響曲の言及

【交響曲】より

…管弦楽で演奏される多楽章形式の大規模な器楽曲。管弦楽のためのソナタであるが,ソロやアンサンブルのソナタよりもいっそう堅固な構成力と大曲としての風格が要求される。1800年前後,典型的な楽章構成はベートーベンにみられる。すなわち,2管編成(管楽器各2,ティンパニ,弦5部。総勢20名以上,概して50名前後)で,急・緩・舞曲・急という4楽章構成をとる。第1楽章はソナタ形式,第2楽章は2部ないし3部形式,変奏形式,ソナタ形式,第3楽章はメヌエットまたはスケルツォ,3部形式,第4楽章はロンド形式またはソナタ形式,さらに両者の混合形式である。…

【ベートーベン】より

…ベートーベン唯一のオペラ《フィデリオ》作品72第1稿(1805)初演(1805年11月20日)の失敗もその時期が有力貴族不在のフランス軍占領下という最悪条件にあったことも考慮しなければならないだろう。しかし,不安定な社会情勢下にあっても1806‐08年は〈傑作の森〉と呼ばれる創作の絶頂期にあたり,《交響曲第4番》作品60(1806),《第5番・運命》,《第6番・パストラーレ》(《田園交響曲》)作品68(1808),《ピアノ協奏曲第4番》作品58(1806),《バイオリン協奏曲》作品61(1806),《コリオラン序曲》作品62(1807)などの大管弦楽曲が次々に生み出されている。 1809年に《ピアノ協奏曲第5番・皇帝(エンペラー)》作品73を作曲して後期様式時代に入っていく。…

※「田園交響曲」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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