改訂新版 世界大百科事典 「ドゥエ」の意味・わかりやすい解説
ドゥエ
Giulio Douhet
生没年:1869-1930
イタリアの陸軍少将で熱烈な戦略爆撃論者。イタリアのカゼルタに生まれる。第1次世界大戦に師団参謀長として参加,その経験から戦争空間が陸・海から空中に拡張されたことに着目,将来戦の帰趨を決するものは空軍であるという空軍万能論を提唱した。すなわち,最も機動性に富む兵器としての航空機で敵の政経中枢を徹底的に爆撃して国民の士気を破砕し,また敵航空基地の急襲と航空機工場の破壊によりその航空活動を封殺する。これこそ戦勝の決定的要因で,空中を制せられた陸海軍はほとんど無力となるので,この間,専守防衛に徹すれば足りる,とする。この戦略爆撃絶対論は多大の反響を呼ぶと同時に各国の空軍用兵思想に大きな影響を与えた。
執筆者:小林 康男
ドゥエ
Douai
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報