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ドゥンス・スコトゥス ドゥンススコトゥス

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百科事典マイペディアの解説

ドゥンス・スコトゥス

スコットランド出身のスコラ学者,神学者。フランシスコ会士。パリに学び,教え,ケルンに没。その緻密な思弁により〈精妙博士Doctor subtilis〉と尊称され,〈スコラ学のカント〉と評される。
→関連項目主意主義二重真理フランシスコ会マイモニデス

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ドゥンス・スコトゥス
どぅんすすことぅす
Johannes Duns Scotus
(1265ころ―1308)

中世のスコラ神学者。生年、出生地、死因など、生涯の大きな部分が謎(なぞ)に包まれているが、スコットランド出身で、1278年ごろフランシスコ会に入り、学才を認められてパリ大学へ送られ、ケンブリッジ、オックスフォード、パリ大学で講義したのち、1305年パリ大学神学部教授に就任したことは確かである。約2年の任期後ケルンに移り、まもなく同地で没した。精密な批判的議論のゆえにつとに「精妙博士」doctor subtilisとあだ名され、「スコラ哲学のカント」と称されることもある。すでにトマス・アクィナスが、アリストテレス哲学を積極的に取り入れることによって壮大な神学的総合を成し遂げている以上、スコトゥスの仕事が、トマスの批判的考察をもって始められたのは、当然のことであった。しかし注目すべきは、スコトゥスの批判は単に否定的な性格のものではなく、新しい総合を生み出したという事実である。それは、アリストテレス哲学の厳密な再検討を経たうえでの、アウグスティヌス的伝統に忠実な神学的総合であった。
 スコトゥス哲学の根底にあるのは、人間の尊厳性、つまり、人間は直観的認識と愛による神との一致にまで高められうるような可能性を有すること、の強調であり、トマス学説との著しい対照はすべてこの1点をめぐって生じている。すなわち、トマスが知性能力を意志能力に優先させたのを逆転させ、意志が根本的に自由な能力であることを徹底的に主張する。またトマスが人間知性にとっての固有対象を感覚的事物の本性に限定したのを批判して、それはむしろ存在である限りでの存在であり、存在の概念は一義的であると説く。これは、人間の知性がすべての存在――有限、無限を問わず――に対して根元的に開かれていることの強調であり、人間の尊厳性の確立にかかわりがある。スコトゥス哲学の特徴である概念の明確化、論証の厳密さへの努力が人々を魅了するのは、このような彼の哲学の根本的動機と無関係ではないであろう。[稲垣良典]

出典|小学館 日本大百科全書(ニッポニカ) この辞書の凡例を見る
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