翻訳|voluntarism
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一般に知性よりも意志・意欲--必ずしも人間の意志には限られない--を重視する神学,哲学,心理学上の立場。意志を精神活動の中心に据えるアウグスティヌスや,神における意志の優位を説くドゥンス・スコトゥスの教説は神学上の主意主義である。近世初頭には判断を知性の働きと見たスピノザやライプニッツの主知主義に対して,それを意志の決定と見たデカルトの立場が主意主義とよばれた。近世ドイツ哲学にも,表象能力よりも欲求を重視するライプニッツにはじまり,理論理性よりも実践理性(意志)を重んずるカント,意欲を根源的存在と見るシェリング,表象としての世界の根底に〈意志としての世界〉を認めるショーペンハウアー,アポロン的原理よりもディオニュソス的原理を根源的と考えるニーチェにいたるまで一貫した主意主義的形而上学の伝統がある。心理学者にも,意志を精神の根源的活動と見るW.ブントがいる。
→主知主義
執筆者:木田 元
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
人間の知性と意志はどちらが有力で他に勝るかという問題は、中世のスコラ哲学から生じたものであるが、その場合、知性を上位に置く主知主義に対し、意志を上位に置くのが主意主義である。人間の意志は知性によって決定されるのではなく、それを決定する理由がなくても自由に発動すると考えたイギリスのスコラ哲学者ドゥンス・スコトゥスは、その代表者といえる。デカルトもまた、人間の知性は有限であるが、意志は神の場合と同様に無限であるとする点で、主意主義の系列に属する。
ところで広義では、意志を他のすべてに先だつ根源的なものとみるのが主意主義で、たとえば、意志が世界や世界内の現象の本質であり本体であるとみるショーペンハウアーは形而上(けいじじょう)学的主意主義の代表者であり、意志を人間の心の根本機能とみるドイツの心理学者ブントは心理主義的主意主義に属する。また総じて認識や思考が生活意志に基づいて展開されるとみるプラグマティズムの立場も、主意主義の一種といえよう。
[宇都宮芳明]
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…この場合〈知性intellectus〉は感性に対立し,分析・分別する悟性,統括・直覚する理性を含む。合理主義よりも若干狭い意味で用いられ,情意とくに〈意志voluntas〉を起源とする主意主義に対立する。言葉としては19世紀初頭の成立。…
※「主意主義」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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