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ドライクリーニング dry cleaning

翻訳|dry cleaning

朝日新聞掲載「キーワード」の解説

ドライクリーニング

ウールや合成繊維素材は、形崩れ縮みを起こさないように有機溶剤で洗う。水洗いと区別して「ドライ」と呼んでいる。溶剤は石油系のほか不燃性のフッ素系、塩素系などがある。厚生労働省によると、国内でドライクリーニングに使われる溶剤のうち94%が石油系。衣類が傷みにくい、環境汚染が少ないなどの利点がある。ワイシャツは一般的に水洗い。

(2009-12-27 朝日新聞 朝刊 1社会)

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百科事典マイペディアの解説

ドライクリーニング

揮発性溶剤を用いて衣料その他の繊維製品等のよごれを除去すること。溶剤としてはベンゼン,石油炭化水素,テトラクロロエチレントリクロロエタン等を使用。水で洗うと形や材質がそこなわれるもの,特に油脂性のよごれのついた羊毛製品,毛皮製品等に適するが,水溶性のよごれやしみは除去できないのが欠点。
→関連項目洗濯有機塩素化合物

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大辞林 第三版の解説

ドライクリーニング【dry cleaning】

水を用いず、有機溶剤を用いて汚れを落とす洗濯法。乾式洗濯。乾燥洗濯。クリーニング。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ドライクリーニング
どらいくりーにんぐ
dry cleaning

油性の揮発性有機溶剤を用いて、乾いた(水にぬれていない)状態で洗濯することをいう。乾式洗濯ともいう。英語では略称でクリーニングとよばれているが、わが国でクリーニングといえば、ランドリー(水洗い)とドライクリーニングの両方を意味する。[齊藤昌子]

特徴

ドライクリーニングの長所は、油性汚れをよく落とす、型くずれや収縮がおきにくい、生地が堅くならず風合いがよい、染色物への悪影響が少ない、乾燥が早く、仕上げや整形が楽にできるなどである。短所は、水溶性の汚れが落ちにくい、用いる溶剤が高価なうえに毒性や公害性があるので、気密装置を用い完全回収して使用しなければならない、溶剤管理が必要であるなどである。
 ドライクリーニングが必要な洗濯物は、水による影響の大きい衣類、とくに外衣類、素材としては絹、毛製品、いくつかの素材が組み合わさってできている衣料品、水に弱い綿、麻、レーヨン製品、水洗いによってつやがなくなる、しわができる、染料が落ちる、伸縮するなどの型くずれがおきるものなどである。ただし、親油性の樹脂等を材料とした衣料素材、加工品にはドライクリーニングに向かないものがある。
 ドライクリーニングの一般的な工程は、受付、点検(しみ、変色、形態変化などの点検を受付のときに行って、クリーニング方法を判断する)、マーキング(顧客の記号や氏名の取り付け)、大分類(洗濯物の生地、縫製、染色の堅牢(けんろう)度、汚れの程度などによる分類)、細分類(クリーニング技術者の立場からさらに溶剤別、機械別に分類)、洗浄(洗濯機を用いて溶剤で洗濯)、脱液、乾燥(60℃以下で行う)、しみ抜き(洗浄で落ちなかったしみ汚れの除去)、仕上げ、検査、包装、客渡しである。[齊藤昌子]

使用される溶剤

ドライクリーニングのもっとも主要な部分である洗浄には、石油系溶剤、テトラクロロエチレン(パーク)、CFC‐113(フロン113)、1.1.1‐トリクロロエタンの4種の溶剤が用いられている。その割合は、石油系が85%、パークが14%、CFC‐113が2%、1.1.1‐トリクロロエタンが1%である(1999現在)。各溶剤の特徴は以下のとおりである。
 石油系溶剤 洗濯物に対する安全性が高く、デリケートな洗濯物の処理に適している。また、機械の金属腐食性が少なく、低毒性であるが、引火性であるため、消防法や建築基準法の規制を受ける。
 パーク 引火性のない溶剤として世界的にもっとも普及しているが、石油系に比べ油をとりすぎるため、洗濯物が粗硬に仕上がる。樹脂、接着剤、顔料、分散染料などを溶かしやすい。毒性が強く、環境汚染が問題となるので密閉装置での使用が必要であるなどである。また、第2種特定化学物質に指定されており、ますます規制が厳しくなると予想されるが、これにかわる溶剤の開発はむずかしく、今後も石油系と並んで使われていくものと思われる。欧米においてはパークが主流の溶剤として使われており、日本も含めて、今後はさらに環境に配慮した密閉型洗浄機の開発を行いながら使用することになると予想される。
 CFC‐113、1.1.1‐トリクロロエタン この2種は、オゾン層保護法により1995年(平成7)に生産が禁止されたため、将来は使用されなくなる見通しである。[齊藤昌子]

洗浄法

洗浄は、溶剤のなかに少量の水と洗剤を加え、ドライクリーニングのもつ特質である水溶性汚れのとれにくさを改善する方法が行われることが多い。これをチャージシステムとよぶ。石油系溶剤では、0.3~1.0%、パークでは、0.5%程度のドライ洗剤(チャージ・ソープという)が添加される。洗剤は溶剤に入れられた少量の水を安全な状態に乳化、可溶化するとともに、一度洗濯物から離れた汚れの再付着を防止する働き、溶剤中に発生する静電気の弊害を防止する働き、洗濯物の風合い低下を防止する働きをもつ。ドライ洗剤としては、石油系では陰イオン界面活性剤と陽イオン界面活性剤が、パークではおもに陽イオン界面活性剤が使われる。
 洗浄は、バッチ洗い(ウォッシャー=洗濯機の中に溶剤を溜(た)めて洗う)、フィルター循環洗い(ウォッシャーの中の溶剤を循環させてフィルターで浄化しながら洗う)、シャワー洗い(ウォッシャーに溶剤を入れず、溶剤を通過させて洗浄する)、スプレー洗い(洗濯物に溶剤が浸みわたる程度にスプレーし、タンブル=回転乾燥する)などがあり、約20分程度の洗浄が行われる。仕上げはスチーム(蒸気)を吹かして軽く押さえるオフセットプレスや、人力プレスが主体で、ズボンなど加圧の必要なものは、万能ウールプレス機で仕上げられる。スチームアイロンや電気蒸気アイロンは、手直し的仕上げに使われることが多い。[齊藤昌子]

歴史

ドライクリーニングは、1820年代にフランスで研究が始まり、25年ごろにはテレビン油を用いる方法が発見され、47年ごろにはベンゾール(ベンゼン)による方法が、ヨーロッパに広まった。日本では五十嵐健治(1877―1972)と師岡登一郎の二人が草分けである。五十嵐は1906年(明治39)に日本橋に白洋舎を開業し、溶剤としてベンゾールを使い、そのなかに食用ラードとアンモニアを加えたベンジンソープを開発した。師岡は新橋にアメリカ製のウォッシャー、プレス機などを設置した近代装備のスター商会を開業し、機械化を進めた業者を核にして、機械力をもたない業者が発注する形態の、いまでいうホールセール工場をつくった。その後、ヨーロッパでは1923年ごろから、日本では1935年(昭和10)からパークが使われ始めた。
 日本におけるドライクリーニングは、初めは一般大衆にまで洋装の習慣が定着しておらず、一部の上層階級のためのものであったが、1923年(大正12)の関東大震災以降、多くの人が洋服を着用するようになったことや、昭和初期の洋装ブームからクリーニングの需要が増えた。この時期の洋装化が全国でのクリーニング店の開業を促した。第二次世界大戦後、クリーニング業は国民の日常生活に密着し、所得水準の向上と衣服の洋風化とともに拡大した。1969年からパークの規制が始まり、溶剤の環境問題が取り上げられ始めた。また、合成繊維の発達によって衣類の材料である繊維素材が著しく多様化したこと、ファッションへの意識が高まって新技術によってつくられた多くの製品が市場に出回り、それらに関する情報不足からクリーニング事故が増加した。[齊藤昌子]

現状と今後の課題

1980年代中ごろになると業界ではクリーニング店の二極化が進み、大手クリーニング業者による取次ぎ店数は増加しているが、施設数は減少傾向にある。また、衣服のカジュアル指向から、クリーニングされる衣類の数は減少傾向にある。今後は多様化した衣類に対する適切な対応と技術の向上、環境問題などへの対応が課題である。[齊藤昌子]

出典|小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について | 情報 凡例

世界大百科事典内のドライクリーニングの言及

【洗濯】より

…衣類の汚れをとるために洗い,すすぐこと。英語ではランドリーlaundry,ウォッシングwashing,クリーニングcleaningなどと使われるが,現在では水を用いる洗濯をランドリー,水以外の溶剤を使用する洗濯をドライクリーニングというように使われている。 洗濯は人類が衣服を着用するようになったときから始まった。…

※「ドライクリーニング」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について | 情報

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