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ドルイド druid

翻訳|druid

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ドルイド
druid

古代ケルト宗教であるドルイド教祭司。ケルト社会の最上位を占める階級をなし,王にもまさる精神的権威を認められ,宗教と魔術のほか,裁判や若者の教育,病気の治療などにあたった。世襲制ではなく,ドルイドを志願する若者は,ときには 20年間にも及ぶ長期の修練の期間を経て,伝承された秘儀的知識を習得しなければならなかった。しかしその教説の内容は決して文字に記されることがなかったので,霊魂の転生の観念を含んでいたなど,いくつかの断片的事実のほかはまったく知られていない。ドルイドたちは狂信的民族主義者であったために,ガリア地方ではローマ帝国の迫害を受け,帝国の版図外のアイルランドなどでも,キリスト教の進展に伴い衰滅したが,その記憶は民間伝承のなかに根強く残っており,ドルイド教の後継者をもって任じる運動や秘密結社のたぐいは,今日でもなおその跡を絶たない。

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世界大百科事典 第2版の解説

ドルイド【Druide】

古代のケルト人の信仰をつかさどった聖職者,司祭階級。前7世紀ころから明確に姿を現す。前1世紀のカエサルの《ガリア戦記》によれば,ドルイドは貴族層に属し,公私の神事,犠牲,裁判,占星,民衆の教化などをつかさどり,絶大な権威を有した。ケルト人は霊魂の不滅を信じ,動植物の姿をとる神々を崇拝,泉や森,とくにヤドリギオークを神聖視し,犠牲をささげ占いをおこなった。こうした宗教を指導・教化したのが,ケルト語で元来〈オークの木を知っている人々〉を意味したドルイドであった。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ドルイド
どるいど
Druid

紀元前10世紀ごろライン川付近に発し、アイルランドにまで及んだケルト民族の祭司階級。カエサルの『ガリア戦記』以外にほとんど資料を欠き、いまだ謎(なぞ)に包まれているが、霊魂の不滅を信じ、占卜(せんぼく)により政治的・法的決定をなしたといわれる。犠牲(いけにえ)をつかさどる祭司は、小枝細工の動物をかたどった籠(かご)を編み、その脚部に人間を入れて燃やし、詩人は歌をつくり、それを宴席で歌って戦士を鼓舞し、その上にいる神聖なドルイドは森の奥に隠棲(いんせい)して自然の秘奥を観照する。つまりドルイドは神、来世、天球の動き、未来などに通暁する賢者であった。しかしこの知恵は種族の優れた若者に限って口伝されたため、どのようなものであったか、かいもくわからない。
 ドルイドは神殿を構えず、森の奥の、しかも天体のよく見える地を選んで祭壇とした。樹木のなかではとくに枝を張り巨木となるオークを神聖視した。聖なる森は聖別された泉や川により灌漑(かんがい)され、堀や土手に囲繞(いじょう)されて、中央には巨石群があったともいわれる。ドルイドがもっとも神聖視したのはヤドリギで、万病の薬と考えられ、冬至と夏至の日に恭しく採取されたという。ヤドリギはオークの木に生え、素手または金の小刀によってとられた。クリスマスにヤドリギが飾られるのはこの遺風ともいわれる。キリスト教化された後のアイルランドにおいては、ドルイドは単なる妖術(ようじゅつ)使い、巫術(ふじゅつ)使いとして敵視されるようになった。[船戸英夫]
『ミランダ・J・グリーン著、井村君江監訳、大出健訳『図説ドルイド』(2000・東京書籍) ▽河合隼雄著『ケルト巡り』(2004・日本放送出版協会)』

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世界大百科事典内のドルイドの言及

【ガリア】より

…ローマと接触するころまでには,北東部にはケルトとゲルマンが混じたベルガエ人,中央部にケルト人,南西部にはケルトとイベリア人が混じたアクイタニア人が住むようになっていた。これらガリア人はドルイド教を信仰し,ドルイド神官は超部族的な支配層であったが,政治的にはガリア諸部族が統一されることはなく,この諸部族間の分立・反目がやがてローマのガリア進出を招くことになる。
[ローマの支配]
 前4世紀初頭,ケルト人の一派は北イタリアに侵入して先住のエトルリア人を追い出し,やがてポー平原に定着する。…

【ケルト人】より

… この段階におけるケルト人の社会では,古典作家たちが記述したように,部族ごとに社会統合が進みつつあり,支配身分たる貴族の固定化が明らかになっていたと思われる。自由身分の戦士と不自由身分とが存在し,これに加えて,特異な身分としての神官(ドルイド)が存在した。祭祀者たるドルイドは,特権身分として世襲され,ケルト人の文化的伝統の体現者として,政治・社会を指導していた。…

※「ドルイド」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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