ニコマコス(読み)にこまこす(その他表記)Nikomakhos

精選版 日本国語大辞典 「ニコマコス」の意味・読み・例文・類語

ニコマコス

  1. ( Nikomakhos ) 一~二世紀の東ヨルダン、ゲラサ数学者新ピタゴラス学派。「算術入門」二巻で数についてのピタゴラス理論を展開した。生没年未詳。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ニコマコス」の意味・わかりやすい解説

ニコマコス
にこまこす
Nikomakhos

生没年不詳。古代ギリシア数学者。ゲラサ(ヨルダン北部の町、現ジェラシュ)出身。新ピタゴラス派に属し、1世紀後半に活躍した。その著書算数入門』Eisagōgē arithmētikēは、算数を独立科とみなした最初の論文である。そこでは、多角数論やピタゴラス派の比例論が述べられ、また、立方数は相次ぐ奇数の和、すなわち
  1+(3+5)+(7+9+11)
   +(13+15+17+19)+……
   =13+23+33+43+……
であることや、完全数(その数の1を含むすべての因数の和が、その数に等しいもの)を
  6(=1+2+3),
  28(=1+2+4+7+14),
  496(=1+2+4+8+16+31+62+124+248)
までだといっている。この著書はラテン語訳され、その訳書が中世ヨーロッパに大きな影響を与えた。また音楽理論に関する論文を書いたが、これはピタゴラス派の音楽理論の最古典拠になっている。

平田 寛]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ニコマコス」の意味・わかりやすい解説

ニコマコス
Nikomachos

[生]50頃. ゲラサ
[没]150頃?
新ピタゴラス学派の哲学者,数学者。100年頃に活躍し,特に『算術入門』2巻が有名。そのなかで数論の基礎,特に数の性質分類を扱っている。重要なものとしては,すべての立方数は,連続する奇数の和で表すことができるという法則の発見がある。すなわち,

13=1, 23=3+5, 33=7+9+11, …

彼の名は,「ニコマコスのように計算する」というような表現が用いられるほど,当時の人々の間に名高かった。ニコマコスは,数学のほかに,音楽についてもすぐれた著作『和声学便覧』を著し,また『算術の神学』という本も書いたといわれている。ニコマコスはユークリッド幾何学から独立に,算術を研究した点で,後世に大きな影響を残した。しかし業績のほとんどは,先人の仕事の総合であったことも事実である。

ニコマコス
Nikomachos

ギリシアの画家。前4世紀頃テーベで活躍。アリステイデスの弟子。ローマ時代の著述家プリニウスによれば,赤,黄,白,黒の4色のみを用いて描き,『ペルセフォネの誘拐』など多数の作品を残した。

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