生没年不詳。古代ギリシアの数学者。ゲラサ(ヨルダン北部の町、現ジェラシュ)出身。新ピタゴラス派に属し、1世紀後半に活躍した。その著書『算数入門』Eisagōgē arithmētikēは、算数を独立科とみなした最初の論文である。そこでは、多角数論やピタゴラス派の比例論が述べられ、また、立方数は相次ぐ奇数の和、すなわち
1+(3+5)+(7+9+11)
+(13+15+17+19)+……
=13+23+33+43+……
であることや、完全数(その数の1を含むすべての因数の和が、その数に等しいもの)を
6(=1+2+3),
28(=1+2+4+7+14),
496(=1+2+4+8+16+31+62+124+248)
までだといっている。この著書はラテン語訳され、その訳書が中世ヨーロッパに大きな影響を与えた。また音楽理論に関する論文を書いたが、これはピタゴラス派の音楽理論の最古の典拠になっている。
[平田 寛]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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