ノリウツギ(読み)のりうつぎ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ノリウツギ」の意味・わかりやすい解説

ノリウツギ
のりうつぎ / 糊空木
[学] Hydrangea paniculata Sieb.

ユキノシタ科(APG分類:アジサイ科)の落葉低木。葉は対生、まれに3輪生し、葉身は楕円(だえん)形または卵形で先は鋭くとがり、縁(へり)には低い鋸歯(きょし)がある。7~8月、枝先に長さ10~20センチメートルの円錐(えんすい)花序をつくり、多数の小さな両性花と、周囲に少数の装飾花をつける。装飾花は萼片(がくへん)が花弁状に変化したもので3~5片あり、白色で、ときに赤みを帯びる。両性花の萼片、花弁ともに5枚、雄しべは10本、花柱は3~4本。蒴果(さくか)は小さな楕円形で、上部が裂けて多数の細長い種子を出す。種子には翼があり、長さ3~4ミリメートル。幹の髄は中空となり、またその樹皮から和紙を漉(す)くのに使う糊(のり)をとるので、ノリウツギの名があり、別名ノリノキともいう。日当りのよい山地に普通に生え、日本、千島樺太(からふと)(サハリン)、中国など東アジアに分布する。

[若林三千男 2021年3月22日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ノリウツギ」の意味・わかりやすい解説

ノリウツギ
Hydrangea paniculata

アジサイ科の落葉低木。日本各地の山地に普通に生え,高さ 3mに達するものもある。北海道ではサビタの名で知られる。葉は長さ 10cmほどの楕円形または卵形で鋸歯があり,赤みのある葉柄をもつ。普通対生するが,しばしば 3~4枚輪生することもある。7~8月,枝先に円錐花序をつくり,多数の両性花と,それに混って少数の装飾花をつける。装飾花は 3~5個の花弁状の萼片から成り,白色でまれに帯紅色のものもある。また花後もこの萼片は宿存し赤みが強まる。花序がすべて装飾花から成る園芸品をミナヅキといい,庭園に植えられる。樹皮の粘液から,日本紙をすくときに使用する糊をつくる。ノリウツギおよび別名のノリノキはそれに由来する。

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百科事典マイペディア 「ノリウツギ」の意味・わかりやすい解説

ノリウツギ

ユキノシタ科の落葉低木。北海道〜九州,東アジアの山野にはえる。葉は対生ときに3輪生し,卵形で先はとがり,縁には鋸歯(きょし)がある。7〜8月,枝先にガクアジサイに似た円錐花序をつける。装飾花は白色で大型の花弁状の萼片(がくへん)3〜5枚からなる。北海道ではサビタという。樹皮の粘液は和紙の糊料となり,名の糊空木もこれにちなむ。茎をパイプとする。

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