日本大百科全書(ニッポニカ)「ハイキング」の解説
ハイキング
はいきんぐ
hiking
一般に徒歩旅行と訳される。イギリスでは18世紀ごろからウォーキングwalking(徒歩旅行)と同義に用いられたが、19世紀後半からはウォーキング・レース(競歩)が盛んになったため、ウォーキングとハイキングとは別義になり、日常生活から離れての郊外散歩から軽登山までの野外活動が、広くハイキングとよばれるようになった。日本では1930年(昭和5)ごろから軽登山の意味で多く用いられた。リラックスしたレクリエーションとしての効果を期待して行われるもので、とくにそのためにトレーニングなどを行わないものをよぶ。種類としては、軽登山、高原散策、海岸散策などが広く考えられるが、日本の自然は山が多いので、軽登山が中心となる。軽登山とは、スポーツ登山と違って、とくにピッケル、アイゼン、ザイルなどの登山用具を用いない、また積雪期などの技術を要しないものと一般的には理解されている。近年、ワンダーフォーゲル活動と同義に考える場合もある。実施する際には、目的はハイキングであっても野外で活動する以上、自然の変化、とくに気象変化に十分注意すると同時に、地図をよく読んで、慎重な計画と準備をすることが必要である。原則的には登山の注意と同じことがいえよう。靴はスニーカーより、厚いゴム底の編上げがよい。リュックサックはやや大きめのものを用意し、重心がなるべく高くなるように詰める。雨具も忘れてはいけない。歩き方は、最初20分程度歩いたら一度休み、その後は自分の歩きやすいペースで歩くとよい。
[徳久球雄]
『コリン・フレッチャー著、芦沢一洋訳『遊歩大全』上下(1978・山と渓谷社)』