ハッカン(読み)はっかん(英語表記)silver pheasant

改訂新版 世界大百科事典 「ハッカン」の意味・わかりやすい解説

ハッカン (白鷴)
silver pheasant
Lophura nycthemera

キジ目キジ科コシアカキジ属の鳥。中国南部,インドシナ半島,ミャンマーにかけて分布する。雄は体長約120cm,そのうち尾羽が60~75cmある。頭部には黒色冠羽があり,顔は裸出して赤い。のどから下腹にかけては青みを帯びた光沢ある黒色で,背面は白く,黒く細い横線があり,尾羽は白く,脚は赤い。雌は,体長約70cm,顔の赤い裸出部分は小さく,脚は赤く,全体に灰色みを帯びた褐色のじみな羽色をしている。ハッカンは飼鳥として著名で,江戸時代の飼鳥の本には,クジャク,キンケイとともに飼い方が記されている。卵はベージュで,1回の産卵で5~8個産む。抱卵は雌のみが行い,約25日間で孵化(ふか)する。雛はベージュの綿羽でおおわれており,孵化後すぐに歩く。コシアカキジ属には,ハッカンのほかに8種があり,ミヤマハッカン,サンケイ,ウチワキジなど飼鳥として知られている種もある。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ハッカン」の意味・わかりやすい解説

ハッカン
Lophura nycthemera; silver pheasant

キジ目キジ科。15亜種があり,体の大きさは亜種により変異が大きく,全長は雄が 70~125cmである。雄の羽色は背面が白色で,V字形の黒斑が密にあり,腹面は紫黒色である。顔は赤色,頭上には冠羽(→羽冠)があり,後頭に伸びている。尾は白色で長く,鎌状に湾曲する。雌は全体がオリーブ褐色で黒い細斑模様があり,冠羽は黒褐色で短い。雌雄とも脚は赤色。ミャンマーから中国南部,タイインドシナ半島にかけての高地に生息する。姿が美しいため,日本にも古くから飼鳥として輸入されている。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハッカン」の意味・わかりやすい解説

ハッカン
はっかん / 白鷴
silver pheasant
[学] Lophura nycthemera

鳥綱キジ目キジ科の鳥。大形キジ類で、雄は翼長約26センチメートル、全長約120センチメートル、体長とほぼ同長の尾をもち、体上面は全体に白く、下面は紫黒色をしている。雌はやや小さく、全体に褐色である。中国南西部の森林に生息し、地上を歩きながら、小動物や草の種子などをとって食べる。4、5月の繁殖期になると、雄は顔の赤い皮膚の裸出部分を大きくし、紫黒色の冠羽を立て、体羽を膨らませて、雌の前を行ったり来たりする。巣は地上につくられ、褐色の卵が数個産み込まれる。抱卵は雌だけが行う。世界各地の動物園などで広く飼育されており、繁殖もしている。

[樋口広芳]

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