イギリスの天文学者。ハリー彗星(すいせい)の認定者。ロンドンの富商の息子として生まれる。数学・天文学に興味をもち、16歳でオックスフォード大学に入学、10代で天体観測術と軌道計算法に熟達、1676年中退してセント・ヘレナ島に遠征した。18か月の滞在期間中に南天351個の恒星位置を決定したうえ、水星の太陽面通過を観測して太陽視差決定法を考案した。1678年帰国後、母校から卒業認定を受け、かつ22歳でロイヤル・ソサイエティー会員に推挙された。1679年『南天恒星目録』を公刊するに及んで、その名声を確立し、1682年大彗星の出現を観測し、その正体究明に打ち込んだ。これが、1456年、1531年、1607年とほぼ76年ごとに回帰する周期彗星であると同定し、その軌道の力学的研究を試みた。この道の先達者ニュートンを訪ねて、楕円(だえん)軌道の可能性を教示された。14歳年長のニュートンとはこの期に知己を得て、師弟の間柄以上の友好を結び、彼の力学原理を出版するよう懇請し、1687年に『プリンキピア』の公刊となった。その際ハリーは執筆の激励、資料の提供、原稿の校読、校正の点検、出版費の負担を果たした。また自らも1705年に『彗星天文学概要』を著述、以後、例の大彗星はハリー彗星とよばれる。そのほか、1693年に月の長年加速を、1718年に恒星の固有運動を発見した。1703年オックスフォード大学教授に就任、1720年グリニジ天文台第2代台長に就任した。
[島村福太郎]
イギリスの天文学者。I.ニュートンの友人。〈ハリーすい星〉の発見者として知られる。富裕な商人の息子としてロンドンに生まれる。オックスフォード大学(クイーンズ・カレッジ)で天文学に関心をもって勉強した。1678年ローヤル・ソサエティ会員となる。80年代半ば,ハリーはニュートンの《プリンキピア》執筆に関して事実上のおぜん立てをし,万有引力の法則の優先権を巡って起こったR.フックとニュートンとの角逐にあいながらも,ねばり強くまとめ上げて出版にこぎつけた功労者である。気難しいニュートンもハリーに対しては比較的穏やかで好意をもち続けていたらしい。1704年オックスフォード大学教授,20年王立天文台長,29年アカデミー・デ・シアンス外国会員。
ハリーの科学上の業績はきわめて多岐にわたる。もっとも著名なのはその名の冠せられたすい星に関するものである。1680年出現のすい星に関心をもったハリーは,ニュートンの《プリンキピア》を土台にしながら軌道計算を行い,ニュートンの放物線軌道説に対して,楕円軌道を示唆すると同時に,過去のすい星出現の記録から1305年,1380年,1456年,1531年,1607年,1682年のそれが同一のすい星であり,1758年に再び出現することを予言した。恒星天文学や地理学などにも先駆的業績があり,貿易風,地磁気,オーロラなどについての論考もある。すい星出現の予言の正しかったことを確かめる前に1743年グリニジで死去した。
執筆者:村上 陽一郎
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…建物,橋などにおいて,屋根,床などの荷重を柱,橋脚などの鉛直部材まで伝えたり,柱上部を拘束する目的で水平にかけわたされた部材の名称。元来は,水平部材のうち,構造物の短辺方向にかけわたしたものを梁(はり),梁に交差する方向に配置され,梁を受ける部材を桁と呼んでいた。最近では特別な場合を除き区別しないことが多いが,木造建築においては,梁と区別し,小屋梁および垂木を受ける部材を指し,用途または部位を冠して,敷桁,軒桁などと呼ばれる。…
…またこうした水平材と柱とを主体とする構造方式を,アーチを用いる組積造に対し,楣式構造trabeated constructionと呼ぶ。ただし横架材のうちでも,水平力をうけ持ち骨組みの一部として働くものを梁(はり),水平力を考慮せず垂直荷重をうけるだけのものを楣として区別することがあり,柱・梁による構造のほうはラーメン構造,そうではない単純な積み木的なものを柱・楣構造post‐lintel constructionと呼んでいる。原始的な木造の架構は,洋の東西を問わずこの柱・楣構造方式が多かった。…
※「ハリー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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