翻訳|binder
新聞・書類などの綴込用具のこともいうが,ここでは農業機械のバインダーについて述べる。刈取結束機ともいい,穀物を刈り取り,適量ずつ自動的にひもで縛って束にして機体の側方へ投げ出す穀物収穫機。アメリカでは19世紀中期に畜力用大型バインダーが考案され,さらにトラクター牽引(けんいん)型に発達して1930年ころまで欧米で広く使用されたが,コンバインの出現により現在ではほとんど用いられていない。欧米の大型バインダーに対して,日本では1950年代に小束を作る小型バインダーが開発され,イネの刈取りを中心に現在も広く利用されている。これは自走式であり,その構造は,広幅の低圧ゴムタイヤの走行部,刈り取る部分の作物を分けるデバイダー,倒伏した作物を引き起こす前処理部,作物を刈り取る切断部,刈り取った茎稈(けいかん)を束にして縛る結束部およびこれらを駆動するエンジンと動力伝達部からなっている。切断部はバリカン式の往復動刃が用いられている。結束部では刈り取られた穀稈がデッキに送られ,一定の大きさの束になるまで集束されるとクラッチが作用して結節機構が作動する。人の片手指によるひも結びを擬したノッタビルにより束に巻きつけられた結束ひもに結び目がつけられ,次いで束は放出アームによって機体側方に投げ出される。刈幅50cm(2条刈り)のバインダーで1日当り20~60aの作業能率。
→農業機械
執筆者:岡本 嗣男
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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