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バハマ The Bahamas

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

バハマ
The Bahamas

正式名称 バハマ国 Commonwealth of The Bahamas。
面積 1万3939km2
人口 36万(2011推計)。
首都 ナッソー

西インド諸島北部にある島嶼国家。フロリダ半島東岸沖のグランドバハマ島から,キューバ島東端沖のグレートイナグア島まで,北西-南東方向に連なる約 700の島と 2000以上の岩礁からなる。そのうち人が住む島は約 30。最大の島は西部のアンドロス島であるが,その東に位置するニュープロビデンス島が小島ながらこの国の中心で,人口の半分以上が集中し,首都もここにある。中部東端にあるサンサルバドル島コロンブスが新世界に第一歩をしるした地として知られる。大部分の島がサンゴ礁からなる細長い低平な島で,中部のキャット島にある最高点でも 63m。亜熱帯性の温暖な気候で,冬は北東から,夏は東ないし南東から吹く貿易風の影響で,年間を通して快適。年降水量は約 1200mmで,おもに夏に降る。住民の約 10%はイギリス系白人で,残りの大部分はアフリカ系黒人と混血。公用語は英語。スペイン人によって先住民のインディオが島外に連れ去られたのち,1世紀以上無人状態が続いたが,1648年バミューダ諸島のイギリス人がエリューセラ島に,次いでニュープロビデンス島に植民地を建設,1717年イギリスの直轄植民地となった。政治的には早くからある程度の自治が確立し,1964年,1969年の憲法でそれぞれ完全自治,独立に近づき,1973年7月 10日独立を達成,イギリス連邦の構成国となった。経済的には一時ワタのプランテーションが発展したが,その後試みられたパイナップル,柑橘類,タバコ,トマトなどの栽培がいずれも失敗,島民の多くは海綿採取,漁業などに依存するようになった。第2次世界大戦後,観光業の開発に力が注がれた結果,これが急速に発展,経済の主柱として確立。現在観光業に直接,間接に関係する経済活動が国民総生産の約 70%を生産し,労働力人口の約3分の2がこれに従事している。しかし観光業への過度の依存を避けるため,政府は近年農業と漁業の振興をはかっている。工業部門では石油精製が中心で,ほかにセメント,医薬品,製塩,食品などの工業がある。おもな島には道路が整備され,各島は海路,空路で結ばれるが,近年特に空運が発達し,ナッソーとグランドバハマ島南西岸のフリーポートに国際空港があるのをはじめ,全国 50ヵ所以上に空港,飛行場がある。

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デジタル大辞泉の解説

バハマ(Bahamas)

西インド諸島北部のバハマ諸島からなる国。首都ナッソーはニュープロビデンス島にある。1492年にコロンブスが到達し、スペインの支配を経て1783年から英国の植民地となり、1973年独立。熱帯性の果物を産し、石油中継貿易が行われる。観光・保養地。人口31万(2010)。

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世界大百科事典 第2版の解説

バハマ【Bahamas】

正式名称=バハマ国Commonwealth of the Bahamas面積=1万3939km2人口(1996)=28万人首都=ナッソーNassau(日本との時差=-14時間)主要言語=英語通貨=バハマ・ドルBahamian Dollarバハマ諸島のうち,南東部のタークス・カイコス諸島を除く島々で構成されるイギリス連邦内の独立国。人口の3分の2は首都ナッソーのあるプロビデンス島に住む。人種構成はアフリカ系黒人が8割以上,ヨーロッパ系白人が1割強,このほかにアジア系,ヒスパニック系の住民がいる。

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大辞林 第三版の解説

バハマ【Bahama】

中部アメリカ、大西洋にあるバハマ諸島を占める国。1973年イギリスから独立。住民は黒人。英語を使用。首都はニュープロビデンス島にあるナッソー。避寒・保養地として知られる。面積1万4千平方キロメートル。人口30万( 2005)。正称、バハマ国。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

バハマ
ばはま
Bahamas

西インド諸島北部、キューバ島北方のバハマ諸島(イギリス領のタークス・カイコス諸島を除く)より構成される国。イギリス連邦に所属する。面積1万3939平方キロメートル、人口30万3611(2000)。首都はナッソー。[栗原尚子・国本伊代]

自然

バハマ諸島は、フロリダ半島の南東からイスパニョーラ島まで800キロメートルにわたって連なる約700の島と2000以上のサンゴ礁からなる。有人島は30余りで、主要な島には、ニュー・プロビデンス島、アンドロス島、グレート・イナグア島、グランド・バハマ島、エリューセラ島、グレート・アバコ島、キャット島、マヤグアナ島、ロング島、サン・サルバドル島、タークス・カイコス諸島(イギリス領)などがあるが、中心はニュー・プロビデンス島とグランド・バハマ島で、両島に総人口の約85%が集中している。ニュー・プロビデンス島には首都ナッソーがあり、主要経済機能が集積している。地形は平坦(へいたん)で最高点はキャット島のオスランドの122メートルである。おもに石灰岩よりなり、全島が肥沃(ひよく)なバハマ黒色ローム層で覆われている。気候は海洋性亜熱帯気候で比較的しのぎやすく、ナッソーの年平均気温は23.4℃である。湿度は高いが、一年中東風が吹き、海洋の影響で緯度のわりには過ごしやすい。年降水量は1200ミリメートルで、夏から秋にかけてハリケーンに襲われ、この時期に雨量が多い。常夏の気候、白砂、サンゴ礁、紺碧(こんぺき)の海という自然環境はこの国の貴重な観光資源となっている。[栗原尚子・国本伊代]

歴史

1492年、コロンブスの第一回航海によって最初に「発見」されたのがグアナハニ島(のちサン・サルバドル島と改称)で、それは悲惨な歴史の始まりであった。16世紀初め、先住民のルカヤンはスペイン人によってイスパニョーラ島などの鉱山労働に駆り出され、酷使や疾病や飢餓(きが)のため絶滅した。アメリカ大陸においてバハマ諸島は先住民が絶滅した最初の地域である。その後、スペインとイギリスの係争地となったが、17世紀にバーミューダ諸島から移住してきたイギリス人によって植民が開始され、1783年、ベルサイユ条約によって正式にイギリス領となった。植民地経済は、他のイギリス領西インド諸島の島々と同様に、アフリカからの黒人奴隷労働力によって成立した砂糖プランテーションで、1834年の奴隷解放令に基づき補償金請求対象となった奴隷数は約7700人と記録されている。
 1953年、初めての政党として進歩自由党が創設され、64年に内政自治が認められ、73年7月独立国となった。イギリス連邦に属するが、経済的にはアメリカとのつながりが大きい。正式に独立する前の1967年から革新自由党(PLP)のピンドリンク党首が5期25年にわたって首相を務めたが、麻薬絡みのスキャンダルや汚職が相次ぎ、92年の総選挙で自由国民運動党(FNM)が圧勝し、イングラハム党首が首相の座に就いた。その後はFNM政権が比較的安定した政治の舵取りをしている。[栗原尚子・国本伊代]

政治

政体はイギリス女王を元首とする立憲君主制で、女王により総督が任命される。議院内閣制で、首相は下院の多数党党首が総督によって任命される。議会は上・下院の二院制で、下院議員(定員40名)は直接選挙で選出され、上院議員(定員16名)は総督が指名する。[栗原尚子・国本伊代]

経済・産業

バハマ経済の柱は、観光業と金融業である。快適な亜熱帯性気候と白い砂浜に代表される恵まれた観光資源およびアメリカに近いという地理的条件から、早くから海外からの観光客を引き付けてきた。現在では観光業が国内総生産(GDP)の約50%を占め、労働人口の約40%を雇用する最大の産業となっている。一方金融業は、所得税、法人税、不動産税などを免除するタックス・ヘイブンとなっており、国際金融センターとして多国籍企業などの事務所や銀行が多数立地している。農業をはじめとするその他の産業は著しく弱体である。
 農業は、国内向けに産出されるものがほとんどで、野菜類、熱帯性果物の一部がアメリカやカナダに輸出されている。工業は、グランド・バハマ島におけるあられ石の採掘、製塩、石油精製、セメント生産、ニュー・プロビデンス島におけるラム酒の醸造のほか、いくつかの軽工業がみられるにすぎない。工業団地の造成(ニュー・プロビデンス島)、自由港の指定(グランド・バハマ島)により、工業開発や外資導入が図られている。石油精製、食塩生産、セメント生産、ラム酒醸造、製薬など主要産業に外資系企業が進出している。貿易のほとんどは、グランド・バハマ島の自由港における石油基地での石油中継貿易で占められる。石油以外の主要輸出産品は、薬品、ラム酒、ロブスター、原塩、あられ石で、輸入の大半は消費財が占め、なかでも食糧品の割合が高い。日本は自動車、鉄鋼などを輸出し、石油製品、薬品を輸入している。ナッソー~マイアミ間は飛行機で約30分、定期的に航空路、航路が開かれ、また主要島間は航空路で結ばれており、西インド諸島の交通の要衝でもある。[栗原尚子・国本伊代]

社会・文化

国民の85%は黒人で、ムラート(混血)と白人が残りの半分ずつを占める。おもな宗教はイギリス国教会。英語が公用語であるが、アメリカ英語の影響を受けている。初等・中等教育(5~14歳)は義務教育で無償である。高等教育は各種あるが、大学教育はアメリカに留学する者が多い。1人当り国民総所得(GNI)1万5010ドル(2000)はラテンアメリカでは最高の水準にあり、社会・経済指標はほぼ先進国並みとなっている。[栗原尚子・国本伊代]
『エリック・ウィリアムズ著、川北稔訳『コロンブスからカストロまで――カリブ海域史,1492―1969』(2000・岩波書店) ▽加茂雄三著『地中海からカリブ海へ』(1996・平凡社)』

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