バルトリン腺(読み)バルトリンセン(英語表記)Bartholin's gland

デジタル大辞泉 「バルトリン腺」の意味・読み・例文・類語

バルトリン‐せん【バルトリン腺】

女性性器のちつ入り口の左右にある分泌腺性交の際に潤滑液の役をする粘液を分泌する。デンマークの解剖医バルトリン(C.T.Bartholin)が発見大前庭腺

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精選版 日本国語大辞典 「バルトリン腺」の意味・読み・例文・類語

バルトリン‐せん【バルトリン腺】

  1. 〘 名詞 〙 ( バルトリンはデンマークの医師 Bartholin の名から ) 女性性器の小陰唇下方の内側膣口側方にある一対の分泌腺。この分泌物は粘稠性で性交時の潤滑油的役割を果たす。

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改訂新版 世界大百科事典 「バルトリン腺」の意味・わかりやすい解説

バルトリン腺 (バルトリンせん)
Bartholin's gland

前庭腺glandula vestibularis majorともいう。女性の外性器(外陰部)に付属する腺の一つで,男性の尿道球腺(カウパー腺)に相当する。デンマークの解剖学者バルトリンCaspar Bartholin(1655-1738)により発見され,この名がつけられた。腟口の後側に左右1対あり,エンドウ豆ほどの大きさの粘液腺で,性的興奮時にうすい乳白色の粘液を分泌する。導管は左右1本ずつあり,小陰唇の内側部で腟口との境にあるくぼみで,腟前庭に開いている。
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急性バルトリン腺炎は以前は淋菌によるものが多いとされていたが,最近はブドウ球菌,連鎖球菌,大腸菌,トリコモナスなどによって起こるものが多い。性成熟女性,ことに既婚者に多い。炎症はまず導管に始まり,しだいに深部に波及してこれを閉塞するため,膿および分泌物は導管内に貯留し,限局性の腫瘤すなわち偽バルトリン腺膿瘍を形成する。炎症がさらにバルトリン腺自体やその周囲組織に及んだものはバルトリン腺膿瘍という。症状は大陰唇後方の皮膚の発赤,腫張,疼痛で始まり,やがて膿瘍を形成する。歩行時や排尿時に痛みがあり,中等度の発熱もみられるが,つぶれて膿が出ることもある。慢性型はバルトリン腺囊胞と呼ばれ,急性炎症が消失した後,貯留囊胞の形で発生する。このほか急性炎症がはっきりしないものや,分娩などの外傷によって導管が閉塞して発生するものもある。多くは片側の大陰唇後方にクルミ大ないし鶏卵大の卵円形の腫瘤として触知される。圧痛はないが,異物感や性交,排尿障害などがみられる。

 診断は,急性炎症によるものは上述の症状などにより容易であるが,慢性型のバルトリン腺囊胞では,無痛性のため内診時に初めて発見される場合もある。治療は,急性炎症初期のものは局所の湿布,抗生物質の投与により治癒するが,膿瘍を形成したものは穿刺(せんし)または切開による排膿を図り,抗生物質の投与を行う。再発を繰り返す場合には,バルトリン腺の摘出を行う。しかし摘出により腺の機能がなくなると,性交時に不満が起こることもあるので,最近ではバルトリン腺囊胞造袋術が推奨されている。バルトリン腺にはまれに癌が発生するので注意を要する。これは外陰癌として取り扱われる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「バルトリン腺」の意味・わかりやすい解説

バルトリン腺
ばるとりんせん

腟前庭(ちつぜんてい)で腟入口の左右にあるサクランボ大の分泌腺。その導管は2センチメートルくらいの長さで、小陰唇の内側で処女膜の直前に開口している。性的興奮時に腺を囲む球海綿体筋の収縮によって無色透明の粘液を分泌し、これが性交の潤滑液の役目をする。バルトリン腺炎はこの導管部から細菌が感染しておこる炎症で、進行するとこの導管が閉塞(へいそく)して腺腔(せんくう)内部に膿(のう)が貯留し、バルトリン腺膿瘍(のうよう)が形成される。腟入口の左右のいずれか一側に球状の腫脹(しゅちょう)を触れ、その部に圧痛がある。歩行、起坐(きざ)、排尿、排便時に激しい痛みを感ずるようになる。抗生物質の服用によって軽快しない場合には、切開排膿あるいは手術によって腫瘤(しゅりゅう)全体を摘出する必要がある。

[新井正夫]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「バルトリン腺」の意味・わかりやすい解説

バルトリン腺
バルトリンせん

大前庭腺」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内のバルトリン腺の言及

【スポータ】より

…そこで,文法学派のパタンジャリ(前2世紀)は,意味を伝達することばの本体としてスポータ(つぼみ)なるものを想定し,それが音声によって開顕されるとした。この説を受けて,バルトリハリ(5世紀後半)は,スポータは常住不変であるとした。彼は,ことばの本体であるこのスポータは,世界の根本原因,真実在であるブラフマンにほかならないとした。…

【文法学派】より

…また彼は,意味を伝達するものとしての語の本体をスポータ(語のつぼみ)であるとし,消滅する音声(ナーダ)と完全に区別した。この説は後に5世紀後半のバルトリハリによって形而上学的に展開され,〈スポータ説〉として確立された。またバルトリハリは,ベーダーンタ学派の説を取り入れ,語の本体が実はブラフマンにほかならないとする独特の〈語ブラフマン論〉を主張した。…

※「バルトリン腺」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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