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バルバロイ barbaroi

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

バルバロイ
barbaroi

古代ギリシア人が非ギリシア人,おもにオリエント人 (とりわけペルシア人) をさした呼び名。わけのわからない言葉を話す人という意味らしい。ギリシア人とバルバロイとを対立的にとらえる傾向は,前6世紀なかば以降,ペルシア人のギリシアへの進出が脅威となってから生じた。この語にはしばしば,無学の,粗野な,野蛮な,不実な,などという軽蔑的な意味がこめられていた。のちに古代ローマ人はギリシア,ローマの影響と支配に属さないすべての人々にこの語を用いた。

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デジタル大辞泉の解説

バルバロイ(〈ギリシャ〉barbaroi)

《訳のわからない言葉を話す者の意》古代ギリシャ人が東方の民族に対して用いた蔑称。古代ローマではギリシャ・ローマ文化に浴さないもの、特にゲルマン人をさす。→ヘレネス

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百科事典マイペディアの解説

バルバロイ

ヘレネスに対する表現。わけのわからないことをしゃべるという意で,元来ギリシア人が非ギリシア人をこう呼んだ。軽蔑をこめて用いられることが多く,ローマではギリシア・ローマ文化に浴さない民族の呼称

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世界大百科事典 第2版の解説

バルバロイ【barbaroi】

古代ギリシア人が異民族を呼んだ名称。本来は〈自分たちに通じない言語を話す者〉という意味らしい。後進未開の諸民族ばかりでなく,東方の先進諸民族をもこの名称で呼び,いずれに対しても多少とも軽蔑をこめることが多かった。ただし西方に興起したローマ人に対しては,自分たちと同質と感じたためか,この名称を適用することはまれであった。ローマ人もこの語を借用して,ギリシア人以外の異民族を指すのに用いたので,ラテン語を通じて近代西欧語に入り,英語のbarbarians(野蛮人,未開人)などとなった。

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大辞林 第三版の解説

バルバロイ【barbaroi】

〔わけのわからない言葉をしゃべる者の意〕
古代ギリシャ人が異民族一般に対して用いた蔑称。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

バルバロイ
ばるばろい
barbaroiギリシア語

古代ギリシア人(ヘレネスHellenes)が用いた異民族の呼称。「野蛮人」を意味する英語のバーバリアンbarbarianの語源。ヘレネスにとってわけのわからない異民族のことばの響きに基づくとされ、ホメロス以来用いられた。初めは偏見を含まなかったが、紀元前6世紀後半から、この呼称はとくにペルシア帝国治下の東方の民をいうようになり、ヘレネスとの対比が強く意識されるようになった。ペルシア戦争後の前5~前4世紀には、野蛮、粗野、卑怯(ひきょう)で、本来ヘレネスに隷従すべき民族をさすとの観念が一般化した。他方、両者に元来差はないとの人類平等の思想も前5世紀以来あり、ヘレニズム時代の世界市民主義はその傾向を強めた。[清永昭次]

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世界大百科事典内のバルバロイの言及

【ギリシア】より

… 一方,西方では前480年ごろカルタゴ軍が,東方におけるペルシア軍の侵入に呼応するかのようにシチリアのギリシア人を攻撃したが,シラクサの僭主ゲロンはヒメラの戦でこれを破り,ギリシア人は東西において異民族の攻撃を撃退したのであった。このような情勢の中でギリシア人の意識も変化し,バルバロイは専制君主を神とあがめる奴隷に等しいものであり,ポリスの人は自由人中の自由人であるという考え方が強くなった。このため前5世紀に頂点に達した古典文明にはこのような民族意識がいろいろな方面に現れることとなるとともに,バルバロイに対する蔑視が強くなっていった。…

【ビザンティン帝国】より

…古代ローマ帝国の中世における連続体(ただし首都はコンスタンティノープル。旧称ビュザンティウム)に対して,前者と区別する意味で後代につけられた名称。英語ではByzantine Empire。日本では東ローマ帝国と呼ばれることもある。両者はとぎれなき連続体であり,また正式の国名そしてまたこの国家の自己了解は,あくまでもローマ帝国Politeia tōn Rhōmaiōn(ギリシア語),Res Publica Romana(ラテン語)であった。…

【ヘレネス】より

…その住む国土はヘラスhellasと呼ばれた。ホメロスやヘシオドスの詩で,まず〈パンヘレネスpanhellēnes〉という語が用いられ,やがて〈ヘレネス〉だけでギリシア民族を指し,異民族を指すバルバロイと対立する概念となった。ギリシア語を話し,オリュンピア競技その他に参加して,共通の神々をあがめるのがその特徴であったが,さらに進んでヘレネスはすべて自由民であるべきであり,奴隷はバルバロイだけから供給すべきだとの思想も生じた。…

【野人】より

…辺境の民族,都市や村から離れた森や山岳の住民が,一種の〈怪物〉と考えられた例は,洋の東西,古今を問わず多く,文明と野蛮,中心と周縁をめぐる人類学的考察に格好の素材を提供しているが,野人伝説はその一つのあらわれである。ギリシア人=ヘレネスに対するバルバロイ(〈訳のわからない言葉を話す者〉の意),大プリニウス《博物誌》にある〈口無し人(アストミAstomi)〉(以上の2例がコミュニケーションの断絶を示唆するのは興味深い),古代以来の地誌,旅行記に語られる異形の人々など,ヨーロッパにおける野人伝説形成にあたって働いたと思われる要因は多様である。より直接的にはアジアやアフリカの類人猿がそのモデルとなったとも考えられるが,基本的には共同体,キリスト教などある秩序の〈外〉にある人々に対する両義的な感情が生んだものといえよう。…

※「バルバロイ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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