パッチテスト

六訂版 家庭医学大全科「パッチテスト」の解説

パッチテスト
(皮膚の病気)

 化学物質、化粧品や薬剤などに対するアレルギーの有無を、それらの物質を背中や上に貼って調べる検査で、接触皮膚炎の原因を決めるのに重要な方法です。また慢性湿疹アトピー性皮膚炎手湿疹の悪化因子の検索のほか、内服している薬剤や歯科金属によるアレルギーの検査にも、パッチテストを行います。

 実際には、接触皮膚炎や薬剤アレルギーの原因として疑われる物質を48時間貼付(ちょうふ)し、その24時間後にその部位が赤くなってはれる(紅斑(こうはん)および浮腫(ふしゅ))、またはぶつぶつ(丘疹(きゅうしん))ができたら陽性と判定します。判定が終わるまでは、パッチテストを行っている部位(背中など)を入浴などで濡らしてはいけません。

 普段、意識せずに接している思わぬ物質に対するアレルギー反応が皮膚炎の成立や悪化に関係していることがあるので、どのような物質でパッチテストをするかについて、検査の前に皮膚科医とよく相談することが大切です。

出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

百科事典マイペディア「パッチテスト」の解説

パッチテスト

アレルギー接触皮膚炎の診断確定,原因解明のために行う検査。貼布試験ともいう。原因と疑わしい物質を皮膚に接触させ,その部位に皮膚炎が生じるかどうかを調べるもの。〈開放法〉と〈閉鎖密封法〉とがある。 〈開放法〉とは検査物質を患者の皮膚に直接塗布,あるいは接触させる方法。感度が低いため,事前に症状を見て,ほぼ原因が特定できており,きわめて強い反応が予想される場合にのみ行われる。 〈閉鎖密封法〉は,通常一般的に行われるもので,貼布材料(道具)を使用する。材料の所定の位置に少量の検査物質を塗り,患者の背骨付近の皮膚に貼布する方法。一度に30〜40種類の物質が検査できる。テスト用のアレルゲン(原因物質)のサンプルも多数市販され,原因のスクリーニング(ふるい分け,選別)や原因物質の確定に利用されている。貼布は約48時間行われ,取り外した1時間後と翌日の2回判定をする。→金属アレルギースクリーニング検査

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「パッチテスト」の解説

パッチテスト
patch test

初めて使う化粧品が自分のに合うかどうかを試すために行なうテスト。少量の化粧品を直接,あるいは綿などに含ませて,腕や太ももの内側などに張り,24~48時間ほど放置してから,肌の変化をみる (方法に多少の違いはある) 。異常がなければ安心して使用できるが,赤いブツブツができていたり,かゆみがあるときは,使用を中止したほうがいい。化粧品によるかぶれ防止,かぶれた際の原因物質の究明などにも役立つ。ただし,テストで何も異常がなくても,使っているうちに異常が現れたら,ただちに使用を中止し,医師に相談することが肝要である。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

精選版 日本国語大辞典「パッチテスト」の解説

パッチ‐テスト

〘名〙 (patch test) 薬物や化粧品などに対する特異体質を確かめるための検査法。検査する物質をわずかに含んだ軟膏を皮膚に貼布し、反応を見る。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

世界大百科事典 第2版「パッチテスト」の解説

パッチテスト【patch test】

アレルギー性接触皮膚炎の検査法で,貼布試験ともいう。湿疹は1940年代までは原因のわからないかゆい難治の皮膚病であった。それが現在では医師,患者,産業・行政側が協力して十分に調べるならば,かなり原因がわかり,治療や予防も可能な病気になってきた。このような進歩をもたらした要因の一つがパッチテストという臨床検査法である。パッチテストは,われわれの身のまわりの日用品や職業上皮膚に触れる化学物質が湿疹の原因になっているかどうかを調べるもので,被検物質を前もって健常な皮膚には反応しないような濃度ベースに調整しておき,ふつう2日間背中の皮膚に検査用絆創膏を用いてはっておく。

出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)「パッチテスト」の解説

パッチテスト
ぱっちてすと
patch test

皮膚における遅延型アレルギー反応を惹起(じゃっき)する抗原を検索する目的で、原因と思われる物質(被疑物質)を皮膚に接触させ皮膚表面の変化をみる検査法。「皮膚貼付試験」ともいい、被疑物質を直接皮膚に貼付(patch)することからその名がついた。

[安部正敏 2021年8月20日]

目的・方法

皮膚における遅延型アレルギー反応を検出するために行う検査である。被疑物質を絆創膏(ばんそうこう)のような検査用具に塗布し、背中など貼りやすい部分に貼付する。そのまま48時間連続で貼り続ける。この間入浴は禁止となる。48時間後にはがし、30分程度経た後に、被疑物質を塗布した部分の皮膚の色調を中心とした変化を観察する。紅斑(こうはん)や水疱(すいほう)の有無により判定を行う。判定は貼付後48時間、72時間、必要に応じて7日後に行う。被疑物質の刺激性が懸念される場合には適宜ワセリンなどで希釈して行う。また、非特異的な刺激(被疑物質以外の何らかの刺激)による偽陽性反応を除外するため、かならずワセリンなどの陰性コントロール(被疑物質を含まないサンプル)を設定することが重要である。

 他方、紫外線が関与する光接触皮膚炎を検査する場合には、パッチテストを2系列同様に作成し、片方には24時間後に紫外線を当てることで、紫外線を当てたほうのみに反応が出る、もしくは反応が強くなることで陽性と判断する。最近では、金属アレルギーや主要アレルゲンに対するパッチテスト資材があり、医療機関でより簡便に検査できるようになっている。

 結果として、陽性反応が得られた物質が、遅延型アレルギー反応を惹起する抗原であることが判明する。

[安部正敏 2021年8月20日]

注意点

汗をかきやすい夏季などにパッチテストを行うと、貼付する絆創膏などによる刺激で接触皮膚炎(かぶれ)をおこすことがある。

 また、検査の注意事項として、刺激性の強い物質は、遅延型アレルギー反応ではなくそれ自体が皮膚に接触皮膚炎をおこすため、検査するべきではない。また、検査目的で行うパッチテストによって感作(かんさ)が成立する(新たにアレルギー反応が出てしまう)場合があり、注意が必要である。

[安部正敏 2021年8月20日]

オープンパッチテスト

いわゆる「毛染め(染髪剤)」は、接触皮膚炎の原因となることがあることから、これを回避する目的で、市販の染髪剤の説明書には、使用前に使用者が自ら上腕などに製品の一部を塗布し、皮膚の反応を見るように書かれている。本法もパッチテストと称される場合があるが、これは当該部位を絆創膏などで覆っているわけではなく、「オープンパッチテスト」とよばれる。

[安部正敏 2021年8月20日]

『内藤亜由美・安部正敏編『スキントラブルケア パーフェクトガイド』改訂第2版(2019・学研メディカル秀潤社)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典内のパッチテストの言及

【アトピー性皮膚炎】より

…顔には長い間ステロイド軟膏を塗ってはいけないが,他の部位は塗ったほうがよい。悪化して重症化したらRASTやパッチテストで正確に原因アレルゲンを調べ,ダニが主因とわかったら,自宅のどこにダニがいるか(ダニ相)を検査で調べてもらう。そして,フローリングや防ダニ用品に置き換えて確実にダニを減らすと,よくなることが多い。…

※「パッチテスト」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報

今日のキーワード

法人税

法人税法 (昭和 40年法律 34号) に基づき法人の所得などについて課せられる国税。国税中所得税と並び収納額が多い。法人所得税と意味は同じである。納税義務者は,日本国内に本店または主たる事務所をもつ...

続きを読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android