(1)Corrick F, Anand G. Question 2: Would systemic steroids be useful in the management of Stevens-Johnson syndrome?. Arch Dis Child. 2013; 98:828.
(2)Sekula P, Dunant A, Mockenhaupt M, et al. Comprehensive survival analysis of a cohort of patients with Stevens-Johnson syndrome and toxic epidermal necrolysis. J Invest Dermatol. 2013; 133:1197.
出典 法研「EBM 正しい治療がわかる本」EBM 正しい治療がわかる本について 情報
薬疹は、内服や注射などで体内に入った薬剤によって、皮膚に発疹が生じた状態で、その発症機序(仕組み)としてアレルギー性、中毒性などが知られています。皮膚症状のみならず、発熱や関節痛、各種の臓器障害などの全身症状を伴うことが多くなります。
薬疹のポイントと高齢者での特徴は次のとおりです。
①薬疹をまったく起こさない薬剤はなく、抗生剤などの
②異なった薬剤でも薬の構造が似ている場合は、再発を起こす(
③長期間使用して無事だった薬剤でも、体調の変化などにより薬疹を起こしうる。長期の使用(
④高齢者は多剤を内服中のことが多く、原因薬剤を特定しにくいことがある。
⑤造影剤などの検査薬も原因薬剤になりうる。
薬疹を治療するうえで最も大切なことは、原因薬剤と推定される薬をただちに中止することです。
高齢者は使用薬剤が多く、原因となる薬を特定しにくいこともまれではありませんが、最近使い始めた薬剤(
治療は病院での投薬が必須で、抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬の内服、抗ヒスタミン薬やステロイド薬の外用が一般的です。症状の激しい場合は、ステロイド薬や
各種の臓器障害(消化器官、眼、造血器など)の合併がみられる場合は、入院治療が必要になります。
治療後は原因薬剤、あるいはその疑いのある薬剤を再び使用しないように注意することが最も大切です。原因薬剤の確定には、疑いのある薬を用いた各種試験(皮膚
主要病型は次のとおりです。
①
最も普通のタイプの薬疹で、小さな紅斑や丘疹性(少し盛り上がる)紅斑がポツポツと広い範囲に発症し、つながりやすい傾向を示します(図18)。多くは原因薬剤の摂取後7日以内に発症します。
②じんま疹型
③多形紅斑型
④湿疹型
治療抵抗性(治療しても治りにくい)の湿疹様変化が発生します。
⑤
原因薬剤を摂取するたびに、同じ部位に紅斑が生じます。
⑥
全身の皮膚に
⑦
薬剤の摂取後、光線
⑧
扁平苔癬様(こけ状の扁平に盛り上がった)紅斑が散らばるように出現、あるいは多発します。
⑨
発熱、リンパ節腫脹、肝機能障害、白血球増加、異型リンパ球出現などの症状を伴う重症型薬疹で、ヒトヘルペスウイルス6型などの再活動が関係します。
種井 良二
薬疹とは薬剤によって引き起こされる皮膚の症状で、出現する症状はさまざまです。
内服、注射などによって体内に入った薬剤が、皮膚の発疹を引き起こします。アレルギー性と非アレルギー性の原因がありますが、多くの場合はアレルギーによるものです。
アレルギーによる薬疹は、通常は初めて使用した薬剤では起こることはなく、1~3週間の薬剤の使用後に初めて症状が現れます。しかし一度薬疹を起こすと、その次は同じ薬剤を使用するとすぐに薬疹が現れます。
また、一度ある薬剤で薬疹を起こした人が、その薬剤の化学構造式に共通部分がある別の薬を初めて使用した場合でも、薬疹が現れることもあります(交差反応)。
基本的には、漢方やビタミンを含めたどのような薬剤でも起こりますが、抗生剤、鎮痛薬、
薬疹は、薬を内服、注射、点鼻、点眼などにより体内に摂取したあとに現れます。発疹は薬疹のタイプによって異なりますが、じんま疹型、固定薬疹型、
重症型として、眼や口などの粘膜に
ウイルス性疾患を除外診断する必要がある場合は、ウイルス抗体価の検査を行います。肝機能や白血球の数を調べる場合もあります。
原因薬剤を検索するための貼付試験は、症状が軽快したあとに行います。薬剤をワセリンなどに混ぜて皮膚に2日間貼付し、その部分が赤く反応するかどうかをみます。
軽症の場合は薬剤の中止のみで軽快しますが、中等症ではステロイド薬の内服や外用治療が必要になります。重症の薬疹では入院のうえ、ステロイド薬の内服・点滴治療が必要です。
すぐに薬剤を中止して、主治医や皮膚科専門医に相談してください。重症型薬疹では入院治療が必要なこともあります。
また、再び同じ薬剤を使用すると同じ症状が現れたり、以前よりひどい症状が出ることがあるので、薬疹を起こした薬剤を処方しないように医師に知らせます。
堀川 達弥
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報
中毒疹の一種で、内服、注射、吸入などの経路によって体内に入った薬剤が原因でおこる皮膚病をいう。同じ薬剤でも軟膏(なんこう)類、噴霧、点眼、点鼻などの局所療法によって直接に接触した皮膚面に生じた皮疹は薬物性皮膚炎といい、非アレルギー性の一次性刺激性皮膚炎あるいはアレルギー性の接触湿疹として、薬疹とは別に取り扱われる。
薬疹は、単なる紅斑(こうはん)から、生命を危険にさらすスティーブンス・ジョンソン症候群(SJS)、中毒性表皮壊死(えし)融解症(TEN)、薬剤性過敏症症候群(DIHS)などの重症薬疹に至るまで、多種多様の皮膚症状を現す。その多くに共通してみられることは、そのおこり方が突然であると同時に、広い範囲にわたって生ずる傾向をもっていること、皮疹の赤い色調が鮮明であること、重症例では粘膜に大小の水疱(すいほう)がしばしば生じ、発熱、胃腸障害、腎(じん)障害、肝障害、造血機能障害、中枢神経系統の異常などの全身症状も合併してくることなどである。
薬疹には次のような諸因子が発生に関係している。(1)薬理学的因子 過量に薬剤を投与すると、だれでもその薬剤特有の中毒症状をおこすなど。(2)患者の薬物代謝的要因 ある薬剤に対して非耐性の患者は、普通おきない少量でも副作用をおこすなど。(3)免疫・アレルギー学的因子 その薬物が抗原・アレルゲンとなり、抗原抗体反応や細胞性免疫などの免疫学的過敏反応を引き起こす。(4)生態学的因子 抗生物質を投与すると、菌交代現象あるいは腸内細菌叢(そう)の変動をきたして、ビタミン欠乏症、血清コレステロール低下などをおこす。(5)その他の因子 薬物相互作用の問題あるいは体内にもっているウイルスの再活性化などの新たな問題。
薬疹についてさらに重要なことは、病状と薬剤との関係である。薬疹の種類は多種多様であるが、違った薬剤によって同じ病状がおこり、一方、同じ薬剤が患者によって違った病状をおこす。しかし、同一の患者では同一病状がおきるのが普通である。
薬疹の種類は次のとおりである。(1)固定薬疹型 一定の部位に発生し、円形の赤紫色の斑として現れ、ひりひりした感じを自覚することが多い。(2)播種(はしゅ)状紅斑丘疹(きゅうしん)型(麻疹紅斑型) アワ粒大の紅斑が左右対称性にびっしりできる。かゆみは軽い。(3)紅皮症型 全身あるいは広い範囲にわたって皮膚がびまん性に赤くなって皮膚の表面の角質層がぼろぼろとむける。(4)結節性紅斑型 両下腿(かたい)に有痛性の紅斑を生ずる。(5)多形滲出(しんしゅつ)性紅斑型 爪甲(そうこう)大までの円形で境界明確な紅斑で、中央部と、辺縁部で色調が変わり同心円状となることが多い。軽いかゆみがある。好発部位は前腕と手指背、下腿と足の指の背で、左右対称性に多数生ずる。中心に水疱をつくることもある。(6)スティーブンス・ジョンソン症候群(SJS)(または粘膜皮膚眼症候群型) 目が赤くなって口の中と外陰部に水疱を生じ、皮膚に紅斑を生ずる。発熱、関節痛などの全身症状を有する。(7)中毒性表皮壊死融解症(TEN) 高熱を発し、全身の皮膚が赤くただれる。粘膜症状も強く、スティーブンス・ジョンソン症候群の発展型と考えられる例も多い。しばしば命にかかわる薬疹の中でも最重症型である。(8)薬剤性過敏症症候群(DIHS) いくつかのきまった薬剤で生じることが知られている。発熱と血液異常・リンパ節腫大・体内臓器異常を合併しやすい。体内ウイルスの再活性化が薬剤に対するアレルギーとともにみられるのが特徴とされている。(9)じんま疹型 かゆみの強い皮疹で、中心は白っぽく扁平(へんぺい)に隆起し、その周囲は赤い。ばらばらとあるいは地図状に生じ、2時間くらいで消えて、また新しくできる。しかしこれの重症型は呼吸困難・血圧低下などを合併し、アナフィラキシー・ショックとなる。(10)血管神経性浮腫(ふしゅ)型 じんま疹に似たもので、限局性の浮腫が口唇、眼瞼(がんけん)部(まぶた)などに生ずる。(11)湿疹型 アワ粒大の小さい紅斑、紅色丘疹と漿液(しょうえき)性丘疹が汎発(はんぱつ)性に多数生じ、強いかゆみがある。左右対称性に発生する。(12)紫斑型 出血のため生じた爪甲大までの赤紫色の斑で、ガラス板で押しても消えない。(13)痤瘡(ざそう)型 いわゆるにきびが多数生ずる。(14)扁平苔癬(たいせん)型 紫褐色の扁平の丘疹が多数生ずる。(15)エリテマトーデス様型 顔面に鼻を中心として両頬(ほお)に広がった蝶(ちょう)形紅斑が生ずる。(16)光線過敏症 日光に当たると皮膚炎をおこす。(17)角化・水疱・色素沈着型 手や足の皮膚が特有の紫褐色となり、硬くなり、水疱・びらん・出血を伴う。(18)色素異常型 黒灰色、黄褐色、青灰色、暗青色あるいは黄色となる。(19)その他 毛髪色素欠乏症型、脱毛症型などがある。
[伊崎正勝・伊崎誠一]
体内に入った薬剤や,薬剤の作用によって体内に産生された物質により,生体が異常な影響を受け,その結果生じた発疹をいう。中毒疹の一つ。発生機序は種々で,薬理作用あるいは中毒,アレルギーなどがあるが,アレルギー性によるものが大部分を占める。症状も多彩で,その程度もいろいろである。固定薬疹fixed drug eruptionは,特定の薬剤が原因となり,原因が加わるごとに同一部位に発疹が生ずるもので,原因となる薬物はピリン剤,サルファ剤,バルビタール剤など。口唇,外陰部など皮膚粘膜移行部に好発することが知られている。原因薬剤の内服後,数分から数時間で境界のはっきりした円形の紅斑が生じ,しばしば水疱となり,かゆみや疼痛を伴う。数週間で特有の色素沈着を残して治癒するが,原因が加わるたびに繰り返し,色素沈着が強まる。麻疹猩紅熱(しようこうねつ)様発疹型は,紅斑,丘疹が全身に生じ,搔痒(そうよう)感や種々の程度の全身症状を伴う。紅皮症型は,全身の皮膚の発赤と落屑(らくせつ)(ふけのようなもの)があり,かゆさがはなはだしい。肝臓の機能障害を合併して予後が悪いこともある。解熱鎮痛薬,抗生物質などが原因となる。皮膚粘膜症候群型は,多形滲出性紅斑が多発し,全身症状を伴う。中毒性皮膚壊死症型は,皮膚粘膜症候群型の重症型ともみられ,重篤な全身症状とともに,全身に紅斑と水疱を生じ,やけどのようにぺろりと皮膚がむけ,糜爛(びらん)面がみられ,ニコルスキー現象(皮膚に指先などで機械的圧迫を与えると表皮剝離(はくり)や水疱が生じる現象)を示す。蕁麻疹(じんましん)型は,急性蕁麻疹症状と全身症状を示すもので,抗生物質,免疫血清剤の注射で生じやすい。紫斑型は,左右対称に小紫斑と丘疹,紅斑が多発するもので,全身症状を伴う。日光疹型は,露出部に湿疹性病変を生じ,後に白斑黒皮症を呈する。降圧利尿剤によることがまれではない。湿疹型は症状のみでは薬疹と判断しがたい。痤瘡(ざそう)型はヨウ素などハロゲン系化合物が原因として知られている。このほか,紅斑性狼瘡様症状,扁平苔癬(たいせん)型など,種々の皮疹も生じる。治療は原因となる薬剤の除去が第一である。原因確定の方法としては再投与(誘発)試験が確実であるが,試験の実施にあたってはショックが起こらぬよう注意する必要がある。
執筆者:山本 一哉
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… 薬物過敏症の症状は多彩で,皮膚症状と,皮膚以外の臓器,組織を反応の場とする症状に分けられる。発生頻度が高いのは皮膚症状で薬疹と呼ばれる。薬疹の中では,剝脱(はくだつ)性皮膚炎型薬疹,中毒性表皮壊死症,多形滲出性紅斑重症型などが重症である。…
※「薬疹」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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