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薬疹 やくしん drug eruption

7件 の用語解説(薬疹の意味・用語解説を検索)

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

薬疹
やくしん
drug eruption

常用量あるいは常用量以下の薬剤の全身的投与により出現する各種の皮膚粘膜病変をいう。急性のものと慢性のものに大別できる。 (1) 急性薬疹 薬剤投与後に急性に現れ,投薬中止により比較的短期間で消失する病変。

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デジタル大辞泉の解説

やく‐しん【薬×疹】

薬物を投与したことが原因となって生じる発疹(ほっしん)。薬物に対してアレルギー中毒を起こしたことによる。→薬物アレルギー

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百科事典マイペディアの解説

薬疹【やくしん】

薬物の内用によって生じる発疹。成因は中毒またはアレルギー反応で,かゆみ,ときに発熱を伴う。アンチピリンアミノピリン等のピラゾロン解熱鎮痛薬による固定薬疹(同一薬物の内用のたびに同じ部位に生じる円形の発赤・腫脹(しゅちょう)・水疱(すいほう))や,サルファ剤による皮膚過敏症などがある。
→関連項目ジフェンヒドラミン中毒疹

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家庭医学館の解説

やくしん【薬疹 Drug Eruption】

[どんな病気か]
 内服・注射などで体内に入った薬剤によって生じた皮疹(ひしん)(皮膚に出るさまざまの症状の総称)を薬疹といいます。多くの場合、アレルギー性です。ほとんどの人は薬剤に対してアレルギー反応を示しませんが、一部のかぎられた人ではアレルギー反応がおこり、薬疹ができるのです。その場合でも、薬剤が使われ始めてからそれに対するアレルギー反応をおこすようになるまでには一定の期間(感作(かんさ)期間)がかかります。つまり、それまで何の問題もなく内服していた薬剤に対し、途中からアレルギー反応をおこすようになるわけです。
 原則的に、それまでまったく内服したことのない薬剤で薬疹を生ずることはありません。もし生じたとすれば、その人はすでにその薬剤に類似した構造をもつ薬剤に「感作」されていたと考えられます。感作までに要する期間は一定していませんが、通常1~2週間のことが多く、2~3か月に数回程度しか内服しない薬剤では数年たってから薬疹ができることもあります。
[症状]
 軽いものから死に至るものまで、さまざまな種類の皮疹ができます。ある薬剤がこういう種類の薬疹をおこしやすいということはいえますが、皮疹の性状から原因薬剤を特定することはほぼ不可能です。
 もっとも頻度が高いのは麻疹(ましん)(はしか)、風疹(ふうしん)に類似した皮疹ができるものです。からだじゅう左右対称に細かい(米粒半分大の)赤い斑点(はんてん)ができ、多少かゆみをともないます。進行すると、個々の皮疹が大きさ、赤みを増して浮腫性(ふしゅせい)となり、融合(ゆうごう)していきます。ここまで進行してしまうと、原因薬剤を中止しても、さらに重症化する可能性があり、全身の皮膚がびまん性に赤くなり(からだじゅうに赤みがみなぎり)、水疱(すいほう)ができます。赤くなった皮膚は軽くこするだけで容易に剥(は)がれ落ちるようになります。これは中毒性表皮壊死融解症(ちゅうどくせいひょうひえしゆうかいしょう)と呼ばれ、全身熱傷(ぜんしんねっしょう)に似た状態となります。またその亜型(あけい)(類似型)として口唇(こうしん)や口の中、陰部などの粘膜(ねんまく)がおかされるスティーブンス・ジョンソン症候群(しょうこうぐん)があります。
 このような重症の薬疹は、発熱、全身倦怠(けんたい)、肝(かん)障害、腎(じん)障害などの全身症状をともなうことが多く、入院して治療しなければなりません。
 もっとも軽い薬疹と考えられているのは、原因薬剤を内服するたびに皮膚の同じ部位(口の周囲、陰部など)に円形の赤い斑(色の変化)ができる固定薬疹(こていやくしん)です。原因となる薬を内服していないときは円形の色素沈着(しきそちんちゃく)だけしかみられませんから、よく「しみ」とまちがわれますが、原因となる薬(短期間不定期に内服している場合が多い)を中止すると軽快します。ただし、多発するものでは重症化することがあります。
 そのほか、慢性の経過をとって紫紅色をした多少隆起した皮疹がたくさんできる苔癬型(たいせんがた)と呼ばれる薬疹もあります。これは脳(のう)の代謝(たいしゃ)を改善したり血圧を下げたりする薬剤を比較的長期間内服している中高年の人にみられます。この場合は、原因薬剤を中止しても軽快するまでに多少時間がかかります。
 光が当たるところに皮疹ができやすくなる光線過敏型(こうせんかびんがた)もあります。これは手背(しゅはい)(手の甲)、前腕伸側(ぜんわんしんそく)(腕の外側)、くびのつけ根の前(Vネックの部分)、顔面などに皮疹ができるもので、春から初夏にかけてみられます。
[検査と診断]
 薬剤がいつから使われ始め、いつ、どのような皮疹が、どこにできたかが診断にはきわめて重要です。数種類の薬剤がさまざまな期間にわたって使われている場合にはとくにそうです。
 一般的に、疑わしい薬剤を中止して皮疹が軽快した場合、それを原因薬剤とみなす場合が多いのですが、もともと皮疹をおこしやすいウイルス性疾患にかかっていれば、薬剤によるかどうかを判断するのは困難です。風疹、麻疹のように必ず皮疹がみられるものから、EBウイルスのようにあまり皮疹を生じないものもありますが、ウイルス性の皮疹と薬疹との区別はつきにくいのです。
 理想的には、健康になってからもう一度薬剤を使ってみて同様の皮疹ができれば原因薬剤が確認できるわけです。でも、この再投与試験を尻込(しりご)みしてしまう人が多いため、原因薬剤を軟膏(なんこう)の形で皮膚に貼付(ちょうふ)するパッチテストを行なったり、血液中のリンパ球を試験管内で薬剤と反応させるテストを行なったりします。しかし、これらの方法はあまり感度が高くなく、信頼性に欠けます。少量から慎重に行なえば、再投与試験は安全で、現在もっとも信頼性が高い検査方法といえます。
[治療]
 原因薬の使用中止がもちろん大事ですが、それでも皮疹が拡大し重症型へ移行する場合もあります。そのときは副腎皮質(ふくじんひしつ)ホルモン(ステロイド)の内服や注射が必要になります。また、中毒性表皮壊死融解症では熱傷に準じた治療を行ないます。
[予防]
 薬疹ができた直後は原因薬剤をつきとめたいという思いが強い人も、皮疹が消退してしまうとその意欲が薄れるようです。しかし、薬疹でもっともたいせつなのは再発の防止です。そのためにも、診断と検査の項で述べた検査方法を組み合わせて原因薬剤をつきとめておくことです。そして、できれば、中止した薬剤にかえて使用できる薬剤を知っておくことが重要です。
 さらに、このような薬剤についての個人情報を記した薬疹カードを絶えず携帯しておくことが再発予防に欠かせません。
 原因となる薬剤の成分は1つとはかぎらないうえ、薬剤は数種類の有効成分からなっていることが多いため、どの成分に対してアレルギーがあるかを明らかにしておくことも重要です。とくに市販薬の場合は、商品名が異なっていても同じ原因成分を含んでいることも多いので注意が必要です。
 重要なことは、薬疹をおこさない薬剤は存在しないという認識をもつことです。漢方薬といえども例外ではありません。ビタミン剤として市販されていた薬に含まれる微量の不純物が、きわめて特異な薬疹を引きおこした例も報告されています。

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世界大百科事典 第2版の解説

やくしん【薬疹 drug eruption】

体内に入った薬剤や,薬剤の作用によって体内に産生された物質により,生体が異常な影響を受け,その結果生じた発疹をいう。中毒疹の一つ。発生機序は種々で,薬理作用あるいは中毒,アレルギーなどがあるが,アレルギー性によるものが大部分を占める。症状も多彩で,その程度もいろいろである。固定薬疹fixed drug eruptionは,特定の薬剤が原因となり,原因が加わるごとに同一部位に発疹が生ずるもので,原因となる薬物はピリン剤サルファ剤バルビタール剤など。

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大辞林 第三版の解説

やくしん【薬疹】

薬剤によって生じる発疹。薬剤の中毒による中毒疹と,特異体質によるアレルギー疹とがある。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

薬疹
やくしん

中毒疹の一種で、内服、注射、吸入などの経路によって体内に入った薬剤が原因でおこる皮膚病をいう。同じ薬剤でも軟膏(なんこう)類、噴霧、点眼、点鼻などの局所療法によって直接に接触した皮膚面に生じた皮疹は薬物性皮膚炎といい、非アレルギー性の一次性刺激性皮膚炎あるいはアレルギー性の接触湿疹として、薬疹とは別に取り扱われる。
 薬疹は、単なる紅斑(こうはん)から、生命を危険にさらすスティーブンス・ジョンソン症候群(SJS)、中毒性表皮壊死(えし)融解症(TEN)、薬剤性過敏症症候群(DIHS)などの重症薬疹に至るまで、多種多様の皮膚症状を現す。その多くに共通してみられることは、そのおこり方が突然であると同時に、広い範囲にわたって生ずる傾向をもっていること、皮疹の赤い色調が鮮明であること、重症例では粘膜に大小の水疱(すいほう)がしばしば生じ、発熱、胃腸障害、腎(じん)障害、肝障害、造血機能障害、中枢神経系統の異常などの全身症状も合併してくることなどである。
 薬疹には次のような諸因子が発生に関係している。(1)薬理学的因子 過量に薬剤を投与すると、だれでもその薬剤特有の中毒症状をおこすなど。(2)患者の薬物代謝的要因 ある薬剤に対して非耐性の患者は、普通おきない少量でも副作用をおこすなど。(3)免疫・アレルギー学的因子 その薬物が抗原・アレルゲンとなり、抗原抗体反応や細胞性免疫などの免疫学的過敏反応を引き起こす。(4)生態学的因子 抗生物質を投与すると、菌交代現象あるいは腸内細菌叢(そう)の変動をきたして、ビタミン欠乏症、血清コレステロール低下などをおこす。(5)その他の因子 薬物相互作用の問題あるいは体内にもっているウイルスの再活性化などの新たな問題。
 薬疹についてさらに重要なことは、病状と薬剤との関係である。薬疹の種類は多種多様であるが、違った薬剤によって同じ病状がおこり、一方、同じ薬剤が患者によって違った病状をおこす。しかし、同一の患者では同一病状がおきるのが普通である。
 薬疹の種類は次のとおりである。(1)固定薬疹型 一定の部位に発生し、円形の赤紫色の斑として現れ、ひりひりした感じを自覚することが多い。(2)播種(はしゅ)状紅斑丘疹(きゅうしん)型(麻疹紅斑型) アワ粒大の紅斑が左右対称性にびっしりできる。かゆみは軽い。(3)紅皮症型 全身あるいは広い範囲にわたって皮膚がびまん性に赤くなって皮膚の表面の角質層がぼろぼろとむける。(4)結節性紅斑型 両下腿(かたい)に有痛性の紅斑を生ずる。(5)多形滲出(しんしゅつ)性紅斑型 爪甲(そうこう)大までの円形で境界明確な紅斑で、中央部と、辺縁部で色調が変わり同心円状となることが多い。軽いかゆみがある。好発部位は前腕と手指背、下腿と足の指の背で、左右対称性に多数生ずる。中心に水疱をつくることもある。(6)スティーブンス・ジョンソン症候群(SJS)(または粘膜皮膚眼症候群型) 目が赤くなって口の中と外陰部に水疱を生じ、皮膚に紅斑を生ずる。発熱、関節痛などの全身症状を有する。(7)中毒性表皮壊死融解症(TEN) 高熱を発し、全身の皮膚が赤くただれる。粘膜症状も強く、スティーブンス・ジョンソン症候群の発展型と考えられる例も多い。しばしば命にかかわる薬疹の中でも最重症型である。(8)薬剤性過敏症症候群(DIHS) いくつかのきまった薬剤で生じることが知られている。発熱と血液異常・リンパ節腫大・体内臓器異常を合併しやすい。体内ウイルスの再活性化が薬剤に対するアレルギーとともにみられるのが特徴とされている。(9)じんま疹型 かゆみの強い皮疹で、中心は白っぽく扁平(へんぺい)に隆起し、その周囲は赤い。ばらばらとあるいは地図状に生じ、2時間くらいで消えて、また新しくできる。しかしこれの重症型は呼吸困難・血圧低下などを合併し、アナフィラキシー・ショックとなる。(10)血管神経性浮腫(ふしゅ)型 じんま疹に似たもので、限局性の浮腫が口唇、眼瞼(がんけん)部(まぶた)などに生ずる。(11)湿疹型 アワ粒大の小さい紅斑、紅色丘疹と漿液(しょうえき)性丘疹が汎発(はんぱつ)性に多数生じ、強いかゆみがある。左右対称性に発生する。(12)紫斑型 出血のため生じた爪甲大までの赤紫色の斑で、ガラス板で押しても消えない。(13)(ざそう)型 いわゆるにきびが多数生ずる。(14)扁平苔癬(たいせん)型 紫褐色の扁平の丘疹が多数生ずる。(15)エリテマトーデス様型 顔面に鼻を中心として両頬(ほお)に広がった蝶(ちょう)形紅斑が生ずる。(16)光線過敏症 日光に当たると皮膚炎をおこす。(17)角化・水疱・色素沈着型 手や足の皮膚が特有の紫褐色となり、硬くなり、水疱・びらん・出血を伴う。(18)色素異常型 黒灰色、黄褐色、青灰色、暗青色あるいは黄色となる。(19)その他 毛髪色素欠乏症型、脱毛症型などがある。[伊崎正勝・伊崎誠一]

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世界大百科事典内の薬疹の言及

【薬物過敏症】より

… 薬物過敏症の症状は多彩で,皮膚症状と,皮膚以外の臓器,組織を反応の場とする症状に分けられる。発生頻度が高いのは皮膚症状で薬疹と呼ばれる。薬疹の中では,剝脱(はくだつ)性皮膚炎型薬疹,中毒性表皮壊死症,多形滲出性紅斑重症型などが重症である。…

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