パナマ文書(読み)ぱなまぶんしょ(英語表記)Panama Papers

知恵蔵miniの解説

パナマ文書

パナマの法律事務所「モサック・フォンセカ」から流出し、2016年4月3日に公表された機密の金融取引文書のこと。76カ国370人以上のジャーナリストから構成される「国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)」が、同事務所の1977年から2015年12月に及ぶ膨大な内部文書1150万点を入手・検証し、結果を公表した。これにより国家元首を含む多数の政治家・企業幹部・著名人などと、オフショア・タックスヘイブン(非居住者向け租税回避地)にある海外資産との関係が明るみとなり、ただちに各国政府が調査を開始している。資産隠しの疑惑を受けたアイスランドのグンロイグソン首相は、同年4月5日に辞任を表明した。

(2016-4-7)

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朝日新聞掲載「キーワード」の解説

パナマ文書

タックスヘイブン(租税回避地)での会社設立に携わる中米パナマの法律事務所「モサック・フォンセカ」が作成した業務用のファイルで、顧客とのやりとりや登記関連の申請書類など1150万点の情報が含まれる。南ドイツ新聞が匿名の人物から入手し、ICIJを通じ朝日新聞など各国の報道機関が分析と取材を進めてきた。

(2016-05-10 朝日新聞 夕刊 1総合)

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デジタル大辞泉の解説

パナマ‐ぶんしょ【パナマ文書】

オフショア金融センターでの会社設立支援などを行うパナマの法律事務所から流出した内部文書。1150万件以上におよぶ膨大な顧客情報で、2016年に国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)によって一部が公表され、世界各国の富裕層や大企業がタックスヘイブンを利用して節税を行っている実態が明らかにされた。→パラダイス文書

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

パナマ文書
ぱなまぶんしょ
Panama documentPanama Papers

世界の政治家や経営者らによる租税回避地(タックス・ヘイブン)の利用実態を明らかにした内部文書。2016年4月に世界一斉に公表された。パナマの法律事務所モサック・フォンセカから流出したため、こうよばれる。ドイツ有力紙南ドイツ新聞が情報を入手し、国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)と同連合加盟の76か国・地域の報道機関(日本は朝日新聞社、共同通信社とNHK)に調査を依頼して報じた。1977年から2015年に作成された約1150万件のビジネス文書やメールなどおよそ2.6テラバイトにのぼる電子データで、租税回避地に設立された約21万件の法人名や個人名を記載。世界の政治家、経営者、スポーツ選手、芸能人やその親族らが税逃れや資金洗浄(マネー・ロンダリング)に関与した実態を明らかにした。現職(当時)ではアルゼンチン大統領のマクリ、ウクライナ大統領のポロシェンコ、アイスランド首相のグンロイグソンのほかイギリス首相キャメロンの親族、ロシア大統領プーチンの友人、中国国家主席習近平(しゅうきんぺい)の親族、ヨーロッパサッカー連盟元会長のプラティニ、香港(ホンコン)の俳優ジャッキー・チェンらの名が含まれ、ナチス・ドイツに略奪されたとされるモディリアニの絵画「杖(つえ)を突いて座る男」の所有者も判明した。日本では約400の経営者や企業情報が入っていた。
 世界的な格差拡大や納税の不公平感への不満を背景に、同文書報道を機に、アイスランド首相やスペイン暫定産業相のホセ・マヌエル・ソリアらが辞任。経済協力開発機構(OECD)は租税回避による税収損失は世界で年4~10%(11兆~27兆円)に上ると推計し、行きすぎた税逃れを防ぐ実行計画をまとめた。日本を含む世界101の国・地域は2016年から非居住者の金融口座情報を定期的に自動交換する協定を結び始めた。パナマ文書報道は2017年のピュリッツァー賞(解説報道部門)を受賞した。日本では、同文書に名があがった法人・個人を国税当局が調査し、2017年(平成29)6月時点で31億円を超える所得税などの申告漏れがみつかった。パナマ文書に続き、2017年には租税回避地の実態を同様に明らかにしたパラダイス文書が公表された。ただ租税回避地での法人設立はただちに違法とはいえず、パナマ文書で実名を報じられた政治家や経営者が名誉毀損(きそん)で報道機関などを訴える動きもある。なお報道に加わったマルタの女性記者ダフネ・カルアナ・ガリチアは2017年10月、車に仕掛けられた爆弾で爆殺された。[矢野 武]

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