パパン(読み)ぱぱん(その他表記)Denis Papin

精選版 日本国語大辞典 「パパン」の意味・読み・例文・類語

パパン

  1. ( Denis Papin ドニ━ ) フランス物理学者技術家イギリスに渡り、ボイル実験を助けた。大気圧動力への利用研究し、圧力鍋、大気圧ピストン機関などを発明した。(一六四七‐一七一二

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「パパン」の意味・わかりやすい解説

パパン
ぱぱん
Denis Papin
(1647―1712ころ)

フランス生まれの実験器械製作者。蒸気機関原理最初着想した人。アンジェ大学医学を学び、1669年学位を取得。その後パリに出てホイヘンス助手として空気ポンプの製作ほか、多くの実験器具を手がけた。1675年イギリス、ロンドンに渡り、ボイルの助手として空気ポンプによる実験を続けた。このころ安全弁付きの圧力釜(がま)を発明、1679年6月にはロイヤル・ソサイエティーで公開実験を行った。1680年ロイヤル・ソサイエティー会員となり、翌1681年ベネチアのアカデミーで実験を指導、1684年にはロイヤル・ソサイエティーの臨時実験主任を務めた。1687年にはドイツヘッセンの領主に招かれてマールブルク大学教授に就任した。この地でパパンは、若いころホイヘンスから教えられた、シリンダー内で火薬を爆発させてピストンを持ち上げる装置の着想から、水蒸気を利用する装置を実験的に製作し始めた。この結果は「大きな動力を廉価に手にする新しい方法」(1690)という論文に十分解説されている。しかし実用化するには至らず、水蒸気を用いたセーベリー機関がイギリスで実用化に成功したことを聞き、また、ヘッセン領主からも実用化を促されたが、結局は成功しなかった。1707年イギリスに渡ったが、ふたたび注目されることはなかった。

[高山 進]

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改訂新版 世界大百科事典 「パパン」の意味・わかりやすい解説

パパン
Denis Papin
生没年:1647-1712ころ

フランスの科学者,技術者。アンジェ大学で医学を学ぶ。卒業後パリに出て,C.ホイヘンスの助手として空気ポンプについての多くの実験を行った。1675年ロンドンへ渡り,R.ボイルと空気ポンプについての仕事をし,このとき安全弁付きの圧力釜を発明した。80年ローヤル・ソサエティ会員。81年ベネチアへ,84年再びロンドンへ渡り,87年にはドイツへ赴いてマールブルク大学数学教授となる。このころ揚水用のポンプの開発に熱中し,水蒸気の凝縮を利用した装置を考案したが,実用化することはできなかった。1707年イギリスに三たび渡ったが,以後注目される仕事はなかった。
蒸気機関
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「パパン」の意味・わかりやすい解説

パパン
Papin, Denis

[生]1647.8.22. ブロア
[没]1712頃.イギリス,ロンドン
フランスの物理学者,発明家。 C.ホイヘンスの助手を務めたのち,1675年イギリスに渡り,R.ボイルのもとで研究。真空ポンプの改良およびそれを用いた実験に携わったのち,1679年安全弁を備えた加圧蒸気蒸し器 (→圧力鍋 ) を発明。さらにそれにヒントを得て,蒸気機関の原理を提唱した (→パパンの蒸気機関 ) 。彼自身は実際に製作はしなかったものの,その後の蒸気機関の実用化,発展に寄与したことは疑いない。ほかに動力としてオールの代わりに羽根車を回して進む船の発明 (1709) も知られている。

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百科事典マイペディア 「パパン」の意味・わかりやすい解説

パパン

フランスの物理学者,発明家。蒸気力による真空機関を研究,1690年シリンダとピストンによる最初の大気圧機関を考案した。これは実用には至らなかったが,のちのニューコメンの発明(大気圧機関)に影響を与えた先駆的業績とされる。のちマールブルク大学教授となる。→蒸気機関

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