改訂新版 世界大百科事典 「ヒオウギ」の意味・わかりやすい解説
ヒオウギ
blackberry lily
leopard flower
Belamcanda chinensis (L.) DC.
アヤメ科の宿根性多年草。日本,中国大陸の原産で,本州,四国,九州の山地に野生する。園芸的にも栽培され,矮性(わいせい)でつまって生育するダルマヒオウギが多く栽培される。短い根茎があり,匍匐(ほふく)枝を生じて殖える。葉は幅の広い扁平な剣状葉を密に互生し,やや白粉を帯びる。7~8月ごろ,高さ50~90cmの花茎を出し,花梗は数多く分枝して,先端に平開する6弁花を開く。花径は5~6cm,花色は黄橙~赤橙色で,赤色の小斑点がある。秋に蒴果(さくか)が裂開し,大きい黒色種子を蔵する。この種子を〈うばたま〉または〈ぬばたま〉という。耐寒性があり,日当り,排水のよい所に植えるとよい。繁殖は株分け,または実生による。植える時期は3~4月。庭園用としてまた切花として広く用いられ,鉢栽培もされる。根茎を乾燥したものを射干(やかん)といい,解毒,通経などに用いられる。配糖体のシェカニンshekaninを含有する。
執筆者:柳 宗民
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報