ヒトスジシマカ(読み)ひとすじしまか

共同通信ニュース用語解説 「ヒトスジシマカ」の解説

ヒトスジシマカ

東南アジア原産とするヤブ蚊の一種墓地の花立てや古タイヤ、雨水排水溝など水たまりに卵を産み付け、幼虫が発生する。成虫木立に囲まれた墓地や公園、樹木が植えられた庭の木陰などに潜み、吸血の機会を待つ。主に日中に活動し、活動範囲は100メートルほどと狭い。寿命は1カ月から1カ月半。デング熱ウイルスを一度取り込むと死ぬまで持ち続けるが、蚊から蚊へウイルスが伝わることはない。発熱や関節痛が主な症状のチクングニア熱ウイルスも媒介し、カリブ海諸国では感染者が増えている。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヒトスジシマカ」の意味・わかりやすい解説

ヒトスジシマカ
ひとすじしまか / 一条縞蚊
[学] Aedes albopictus

昆虫綱双翅(そうし)目糸角(しかく)亜目カ科に属する昆虫。ヤブカ属に属し、南日本の住家近くや昼間木陰などで吸血しにくるのはほとんど本種である。翅長3ミリメートル内外の黒色の小形種。中胸背の正中線に沿って銀白色の1縦条を有す。その後方にも細い銀白色のW字斑(はん)があり、翅根の上方部に銀白色の幅広い鱗片(りんぺん)よりなる斑紋をもつ。仙台市以南の南日本、および東洋区、オーストラリア区の熱帯から温帯にかけて広く分布する。墓地の花立て、水盤、竹の切り株、水槽空き缶、古タイヤなどの人工容器の小水域に発生し、あまり移動せずに近くに通りかかるヒトや動物を激しく襲って吸血する。昼間活動性であるが、夜間でも灯火のもとでは吸血活動がみられる。デング熱を媒介するカとして衛生上重要種である。

[倉橋 弘]


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知恵蔵mini 「ヒトスジシマカ」の解説

ヒトスジシマカ

吸血性のカの一種。一般に「ヤブカ」と呼ばれる。分布域は、東アジア、東南アジア、オーストラリア、アフリアなど。日本では東北地方から南西諸島、小笠原諸島までの地域に分布するが、温暖化により年々、生息域の拡大が確認されている。人を吸血する際に皮膚に痒みと腫れを引き起こし、デング熱や西ナイル熱などの感染症を媒介することから、国際自然保護連合(IUCN)が定める「世界の侵略的外来種ワースト100」の一つに指定されている。体長は4~5ミリ程度で、黒と白の縞模様の体色が特徴。国内における主な発生時期は5〜10月で、成虫の寿命は1週間から1カ月程度。行動範囲は約50〜100メートルで、直射日光が当たらない水場の近くや湿度の高い場所を好み、主に昼間に活動する。

(2014-9-1)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヒトスジシマカ」の意味・わかりやすい解説

ヒトスジシマカ
Aedes albopictus

双翅目カ科。体長 4.5mm内外。体は黒色で,胸部背面中央に鮮明な白色線があり,後方に白色のW字紋がある。各腹節基部には細い白色横帯があり,肢にも各関節部に白色帯があるほか,後肢第 5跗節は全部白色。昼間活動する最も多いヤブカの1種である。幼虫は少量のたまり水で育つ。東北地方以西の日本全土,アジア,オーストラリア区の温帯から熱帯にみられる普通種で,最近アメリカ大陸へも分布を拡大したことが知られている。これは,アジア諸国から輸入した古タイヤ内のたまり水に産卵されていたことによる。デング熱を媒介する。

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小学館の図鑑NEO[新版]昆虫 「ヒトスジシマカ」の解説

ヒトスジシマカ
学名:Aedes albopictus

種名 / ヒトスジシマカ
解説 / 竹林や雑木林などにすみ、昼間活動します。幼虫はタケの切り株などの小さな水たまりにすみます。
目名科名 / ハエ目|カ科
体の大きさ / 4~5mm
分布 / 本州、四国、九州、南西諸島
成虫出現期 / 5~11月

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世界大百科事典(旧版)内のヒトスジシマカの言及

【ヤブカ(藪蚊)】より

…ヤブカ属はもっとも多数の種を含む群で,熱帯はもとより北極圏まで分布する。黒白の縞が特徴的なヒトスジシマカA.albopictusはなかでもふつうで,日本の東北地方以南では都市,農山村の別をとわず昼間屋外で好んで人を刺す。黄熱病の伝播をするので有名なネッタイシマカA.aegyptiもこの近縁種で,ともに熱帯地にはとくに多く,デング熱を媒介する。…

※「ヒトスジシマカ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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