結核をおこす結核菌の発育や増殖を阻害する作用がある薬です。肺結核、その他の結核症の治療に用いられます。
イソニアジド系製剤は、結核菌に対する抗菌力が、リファンピシン製剤(後述)と並んで強力な製剤です。
エタンブトール塩酸塩製剤は、結核菌に対する抗菌力はイソニアジド系製剤よりも多少弱いのですが、耐性結核菌に優れた効力があり、結核菌を陰性化するのが速い薬です。
パラアミノサリチル酸カルシウム水和物製剤やアルミノパラアミノサリチル酸カルシウム水和物製剤は、パスの略称で古くから使われてきた薬です。単独では効果が弱いので、ほかの抗結核剤の効果を保ち、持続させるために併用されます。
リファンピシン製剤は、治療期間の大幅な短縮など、結核の治療に一大変革をもたらした薬で、副作用が少なく効果が長時間持続する点が特長です。結核菌に対する抗菌力が最も強い薬です。また、グラム陽性菌・グラム陰性菌、ウイルス、ハンセン病にも効果があります。
リファブチン製剤は、リファンピシンが使用困難な場合に用いられます。
デラマニド製剤、ベダキリンフマル酸塩製剤は、他の抗菌薬が効かない多剤耐性結核に用いられます。
①過敏症状(
②イソニアジト系製剤では、重い肝障害、無顆粒球症、血小板減少、皮膚粘膜眼症候群、中毒性表皮
エタンブトール塩酸塩製剤では、ショック、アナフィラキシー、重い肝障害、血小板減少、皮膚粘膜眼症候群、中毒性表皮壊死融解症、紅皮症(剥奪性皮膚炎)、間質性肺炎、好酸球性肺炎がおこることがあります。
リファブチン製剤では、ショック、腎障害、溶血性貧血、血小板減少、白血球減少、汎血球減少、偽膜性大腸炎、消化管出血、間質性肺炎、黄疸、脳出血、深部静脈血栓症、血栓性血小板減少性紫斑病、筋けいれん、精神病性障害、歩行障害、ぶどう膜炎が現れることがあります。
リファンピシン製剤では、ショック、重い肝障害、腎障害、間質性腎炎、ネフローゼ症候群、溶血性貧血、血小板減少、偽膜性大腸炎、皮膚粘膜眼症候群、中毒性表皮壊死融解症、紅皮症(剥奪性皮膚炎)、間質性肺炎、扁平苔癬型皮疹、天疱瘡様および類天疱瘡様皮疹が現れることがあります。
パラアミノサリチル製剤では、溶血性貧血、血小板減少、肝炎、黄疸、デラマニド製剤はQT延長、ベダキリンフマル酸塩製剤はQT延長、肝機能障害、サイクロセリン製剤では、精神錯乱、てんかん様発作が現れることがあります。
このような症状が現れたら使用を止め、医師に相談してください。
③食欲不振、吐き気、胃痛、下痢といった胃腸障害が現れることがあります。胃腸障害が現れたときは、食直後に服用し、それでも胃腸障害がおさまらないときは医師に相談して、制酸剤を飲むといった対策を講じてください。また、薬によっては、頭痛、めまい、けいれん、手足のしびれ、視神経炎(かすみ目、視力の低下、目の痛み、色覚異常など)、不安、不眠、幻覚、
このような症状が現れたときは、医師に相談してください。
薬の効果や副作用出現の有無をチェックするために、指示された検査は必ず受けてください。
①いろいろな剤型があって、食後の服用が原則です。
服用するときには、十分な水(コップ1杯以上の水)で飲んでください。また、カプセル剤が飲み込みにくい人は、カプセルの中身を取り出してジュースなどに混ぜて飲んでください。
イソニアジド系製剤は、胃腸障害を防ぐためにアルミニウムやマグネシウムを含む制酸剤と併用することがあります。イソニアジド系製剤の効力を低下させないために1時間以上してから制酸剤を飲むようにしてください。
パラアミノサリチル酸カルシウム水和物製剤は、飲みにくいときには水に溶かして服用してください。
リファンピシン製剤は、朝食前の空腹時の服用が原則です。ただし、胃腸障害がある人は、食後に服用してください。
②抗結核剤は長期間使用する必要のある薬なのですが、1剤を単独に使用し続けると耐性(細菌が特定の薬に対して順応してしまい、同じ使用量では効かなくなってしまう状態)が生じてしまいます。完全に、なおかつ早く治すためには、2~3剤を併用して使うのが原則です。
途中で休止したり、飲み忘れたりしないように、また増量・減量することなく、指示された期間と服用量をきちんと守ってください。指示通りに使用しても症状が改善しないときは、医師に相談してください。
③問診の際にあらかじめ、持病・アレルギーなどの体質・現在使用中の薬の有無を医師に報告するとともに、使用前に薬の効果と副作用について医師・薬剤師からよく説明を聞き、注意事項をきちんと守ってください。
以下のような条件に該当する人は、あらかじめ医師に報告し、ほかの薬に替えてもらったり、服用量を減量するなどの対策を講じてもらう必要があります。
・イソニアジド系製剤 肝・腎障害、血液障害、精神疾患、アルコール依存症、てんかんなどの病気がある人、過去に薬を使用して過敏症状をおこしたことがある人。
・エチオナミド製剤 肝・腎障害といった病気があったり、腎障害の疑いがある人、妊婦または現在妊娠している可能性がある人。
・エタンブトール塩酸塩製剤 視神経炎、糖尿病、アルコール依存症、腎障害といった病気がある人、乳幼児。
・サイクロセリン製剤 腎障害、てんかんなどの精神疾患がある人、妊婦または現在妊娠している可能性のある人。
・パラアミノサリチル酸カルシウム水和物製剤・アルミノパラアミノサリチル酸カルシウム水和物製剤 高カルシウム血症、肝・腎障害、血液障害といった病気がある人。
・リファンピシン製剤
・リファブチン製剤 重い肝・腎障害、ボリコナゾール、グラゾプレビル水和物、ダクラタスビル塩酸塩など使用中の人。
・デラマニド製剤 QT延長およびQT延長をおこしやすい人、肝障害、低アルブミンの人、高齢者、妊婦または妊娠している可能性のある人。
④リファンピシン製剤、リファブチン製剤を服用中は、尿、便、
⑤この薬を服用中にほかの薬を使う必要があるときは、必ず医師に相談してください。とくに以下のような併用をすると、薬の効力が低下したり、副作用が出やすくなったりします。併用を避けるか、時間をずらして使用するかなどを、医師に相談してください。
・イソニアジド系製剤と、抗凝血剤、抗てんかん剤、降圧剤、向精神剤、血糖降下剤など。
・エタンブトール塩酸塩製剤とリファンピシン製剤や他の抗結核剤。パラアミノサリチル酸カルシウム水和物製剤と抗凝血剤やフェニトイン製剤。ピラジナミド製剤と肝障害をおこしやすい薬。
・リファンピシン製剤と抗凝血剤、血糖降下剤、強心剤のジギタリス製剤、副腎皮質ホルモン剤、女性ホルモン剤、経口避妊剤、抗ウイルス剤など。パラアミノサリチル酸カルシウム水和物製剤との併用は、6時間以上間隔をあけてください。
・リファブチン製剤と、抗HIV感染症剤、抗ウイルス剤、アゾール系抗真菌剤、免疫抑制剤など。
・デラマニド製剤と、キノロン系抗菌剤、、抗不整脈剤などT延長をおこすことが知られている薬、アミノグリコシド系抗菌剤、ループ性利尿剤など低カリウム血症をおこしやすい薬。
出典 病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版について 情報
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