ヒレ

デジタル大辞泉 「ヒレ」の意味・読み・例文・類語

ヒレ(〈フランス〉filet)

《「フィレ」とも》
牛・豚などの腰から背中にかけての脂肪が少なく上質の肉。ヒレ肉。「ヒレカツ」
魚の切り身。

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精選版 日本国語大辞典 「ヒレ」の意味・読み・例文・類語

ヒレ

  1. 〘 名詞 〙 ( [フランス語] filet )[ 異表記 ] フィレ 牛・豚などの背骨の内側の左右にある肉。脂肪がほとんどなく柔らかい最上肉。ヒレ肉。
    1. [初出の実例]「家庭料理の上等はランとかヒレとかの肉を厚さ一寸五分位に切ります」(出典:食道楽‐秋(1903)〈村井弦斎〉一九一)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヒレ」の意味・わかりやすい解説

ひれ
ひれ / 鰭

水生の脊椎(せきつい)動物の運動器官として、体壁から突出する平板状または膜状の構造物をいう。櫓(ろ)あるいは舵(かじ)として、移動および姿勢制御にあたる。ひれは魚類でもっともよく発達し、さまざまの形に変化している。一般的には、中央鰭(き)(不対(ふつい)鰭)と側鰭(対鰭)に分けられ、前者には背びれ、臀(しり)びれ、尾びれ、後者には胸びれ腹びれがある。これらのうち、胸びれと腹びれは、それぞれ四足動物の前肢後肢に相当する。魚類では、ひれの基部にある担鰭骨から鰭条が放射状ないし平行に出て、鰭膜(ひれの膜状部)を支えている。ただし、脂びれではこのような支持構造はない。

 ほとんどすべての魚の仔魚(しぎょ)あるいは稚魚で、中央鰭の出現に先だって正中線上に鰭襞(きへき)というひだが生じ、これがやがて中央鰭にかわること、また、化石魚類の研究から、ひれの起源は鰭襞と考えられる。一方、特別な形に変化し、特殊な役割を果たすようになったひれもあり、たとえばハゼでは腹びれが、コバンザメでは背びれが、それぞれ吸盤となっている。チョウチンアンコウがもつ発光性の突起も背びれが変化したものであり、トビウオトビハゼホウボウでは胸びれが飛翔(ひしょう)や歩行のために都合よく変化している。さらに、ツバメコノシロゴンベでは胸びれが長く伸びて感覚器となっている。

 水生の両生類にも中央鰭に相当する構造があり、水生哺乳(ほにゅう)類でも皮膚のひだとしてのひれがみられ、とくに前肢がひれ状になることが多い。

[町田武生]

食品

魚はひれも利用できる。中国ではサメのひれの乾燥品は高級な材料とされ、煮物やふかひれのスープとして利用されている。長時間煮るとひれの堅い成分はゼラチン質に変化し、透明でつるりとした状態になる。日本では、フグ、タイ、エイなどのひれの利用が多い。フグやタイのひれは、ひれ酒にして飲むと体が暖まるので冬にはよく賞味される。切り取ったひれを乾燥し、火で焦がし加減にあぶってコップに入れ、熱い燗酒(かんざけ)を注ぐ。エイのひれは干物やみりん干しに加工し焼いて食べる。

[河野友美]



ヒレ(食肉)
ひれ
filet フランス語

ヒレ肉のこと。ウシ・ブタなどの背骨の内側にある肉。赤身で柔らかく、最高部位の一つ。

[編集部]

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百科事典マイペディア 「ヒレ」の意味・わかりやすい解説

ひれ(鰭)【ひれ】

魚類をはじめ多くの水生脊椎動物にみられる運動器官。体壁から突出する扁平な構造で,オールと舵(かじ)の両方の役割を果たす。胸びれ,腹びれなどのように体側に対をなして生じる対鰭(ついき)と,背びれ,しりびれ,尾びれなどのように正中線に沿って生じる不対鰭に分けられ,胸びれと腹びれは陸上脊椎動物の前肢・後肢と相同。硬骨魚類のひれでは基部に担鰭骨があり,それから鰭条が放射状または並行に出てひれの膜状部を支持する。アユやサケの仲間に見られる脂(あぶら)びれはこれら支持物を備えないひれのこと。

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和・洋・中・エスニック 世界の料理がわかる辞典 「ヒレ」の解説

ヒレ【filet(フランス)】

牛肉や豚肉の部位の名称の一つ。背骨に沿って体の内側に左右に1本ずつある細長い肉。脂肪はほとんどなく、肉質はきめこまかくやわらかで、最高級の部位とされる。牛肉はステーキ、豚肉はとんカツなどにする。◇「フィレ」「ヒレ肉」「フィレ肉」「テンダーロイン」ともいう。

出典 講談社和・洋・中・エスニック 世界の料理がわかる辞典について 情報

栄養・生化学辞典 「ヒレ」の解説

ヒレ

 →フィレ

出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のヒレの言及

【牛肉】より

ウシ【森田 重広】
[調理]
 牛肉の肉質は部位によっても異なるので,それぞれの料理に合わせて肉を選ぶことが必要である。ヒレ(テンダーロイン),リブロース,サーロインはステーキやローストにするが,ステーキについては〈ビーフステーキ〉の項を参照されたい。ローストビーフは少なくとも1kg以上の牛肉の塊を用意し,天火でミディアム(内部に生の部分が残る程度)に焼いたものに,流れ出た肉汁の味をととのえたグレービとホースラディシュを添えて供するもので,これの冷製がコールドビーフである。…

【ビーフステーキ】より


[種類]
 牛肉の用いる部位によって種々ある。ヒレ(フィレ,テンダーロインtenderloin)は最も柔らかく,脂肪が少ない。頭のほうについていた部分から腰のほうへ向かって太くなっており,後端部につづく最も太い部分からはシャトーブリアンchateaubriand,それにつづく中心部からはトルヌードtournedos,そしてこれら以外の両端部からはヒレミニョン(フィレミニョン)filet mignonと呼ぶステーキがつくられる。…

※「ヒレ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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