ピレネー山脈(読み)ピレネーさんみゃく(英語表記)Pyrénées

翻訳|Pyrenees

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ピレネー山脈
ピレネーさんみゃく
Pyrénées

イベリア半島とヨーロッパ大陸の接合部に東西に横たわる山脈。スペインではピリネオス山脈 Pirineos。主稜線はほぼスペインとフランスの国境をなす。延長約 440km,最大幅約 130km。西部は概してゆるやかな起伏をもつが,東部に標高 3000mに達する急峻な山が連なる。最高峰は中央ピレネー,スペイン側のアネト山(3404m)。フランス側の北斜面を流れる河川はおもにガロンヌ川に,スペイン側の南斜面の河川はエブロ川に注ぐ。古第三紀造山運動によって形成された山脈で,山頂部は花崗岩,片麻岩からなり,古生代の結晶岩石が介在する。低部や支脈はより新しい石灰岩からなる。両端の海岸に沿う狭い低地が主要通路で,地中海側にはバルセロナ-ペルピニャン間,ビスケー湾側にはビルバオからイルン経由でスペインとフランスを結ぶ鉄道が通じている。ペルディド山(3352m)周辺の 306.39km2は,1997年世界遺産の自然・文化の複合遺産に登録。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ピレネー山脈
ぴれねーさんみゃく
Pyrnes

ヨーロッパ西部、イベリア半島の付け根を西北西―東南東の方向に走る大山脈。北のビスケー湾から南の地中海まで約430キロメートルにわたる。フランスとスペインの国境をなし、東部国境には小国アンドラが位置する。[田辺 裕・滝沢由美子]

地形・地質

ピク・デュ・ミディ山塊より東の山脈中央部は中軸地帯とよばれ、最高峰のアネト山(3404メートル)をはじめマラデッタ山(3309メートル)、ペルディード山(3355メートル)など、3000メートルを超す高峻(こうしゅん)な山々が連なる。基盤は古生代の、とくにバリスカン造山運動により形成された山塊であり、現在の山脈は新生代に入っておこったアルプス造山運動に伴う隆起により形成され、片麻(へんま)岩、粘板岩、石灰岩、花崗(かこう)岩よりなる。南北斜面は非対称をなし、北側斜面のほうが急で、中央部山麓(さんろく)にはランヌムザン大扇状地が形成されている。南側はエブロ川低地に向かい、何列もの小山脈や山麓面が連なる長い斜面をなしている。西部のバスク・ピレネーは1000~2000余メートル、東の地中海ピレネーのカニーグ山(2785メートル)周辺では三つの支脈に分かれ、徐々に高度を下げている。これらの部分では古くから峠道による南北交通が盛んであり、それぞれバスク人、カタルーニャ人が南北両斜面に居住してきた。稜線(りょうせん)上には圏谷(カール)が並び、西で1400メートル、東で2000メートル以上に第四紀の氷食地形がみられるが、現在の雪線高度は西で2700メートル、東で3100メートルである。[田辺 裕・滝沢由美子]

植生・産業

森林限界は中央部で2500メートルぐらいであり、それ以上では矮性(わいせい)低木林や草地となる。植生は、バスク・ピレネーではエニシダ、ユーカリなどのみられる湿潤温帯林であるが、中央ピレネーでは南北で植生が異なる。北側では、山麓でブナや野生カエデ、山腹800~1600メートルでアカマツやモミを含むブナ林を特徴とするのに対して、南側では、山麓でセイヨウヒイラギガシやコルクガシ、常緑樹、山腹でクロマツが卓越する。また、原生の植被が一度破壊され、15世紀ごろよりドイツトウヒが植林されている所が多く、谷間や盆地ではトウモロコシ、小麦、それより高所ではライムギが栽培されている。また、南側および地中海側ではオリーブ(800メートルまで)、ブドウ(1000メートルまで)、アーモンド、イチジクなどが栽培されている。農業、牧畜を主産業とする地域であるが、水力発電所の建設や天然ガスの採掘、旧来の温泉保養客に加え、自動車道建設に伴う夏の観光客や冬のスポーツ客の増加により、経済は変化しつつある。[田辺 裕・滝沢由美子]
『テーヌ著、杉冨士雄訳『ピレネ紀行』(1973・現代思潮社)』

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