家庭医学館 「フェルティ症候群」の解説
ふぇるてぃしょうこうぐん【フェルティ症候群 Felty Syndrome】
この病気は、関節リウマチ(「関節リウマチ」)の亜型で、関節リウマチに脾臓(ひぞう)の腫(は)れ(脾腫(ひしゅ))と白血球(はっけっきゅう)減少がみられる場合をこういいます。
原因は不明です。まれな病気で、関節リウマチの患者さんの約1%にこの病気がおこるとされています。
[症状]
関節リウマチを比較的長く患っている人にみられます。発熱、体重減少などの全身症状に加え、脾腫がみられ、下腿潰瘍(かたいかいよう)や気道(きどう)、口内などの感染症をくり返す傾向があります。さらに皮膚潰瘍、上強膜炎(じょうきょうまくえん)、胸膜炎(きょうまくえん)、心外膜炎(しんがいまくえん)、末梢神経障害(まっしょうしんけいしょうがい)など、血管の炎症によって生じると考えられる症状がみられます。
[検査と診断]
関節リウマチにみられる検査所見に加えて、白血球、とくにそのなかの、細菌などの感染を防ぐ好中球(こうちゅうきゅう)の減少が特徴です。
貧血や血小板(けっしょうばん)の減少もみられます。
リウマトイド(リウマチ)因子や、自己の細胞の核を標的にする自己抗体(じここうたい)(抗核抗体(こうかくこうたい))のほか、好中球の核を標的にする自己抗体がみられます。
診断は、関節リウマチに加え、白血球(とくに好中球)の減少と脾腫の確認によってつけられます。
[治療]
関節リウマチの治療に加え、合併する感染症に対して、抗生物質による治療が行なわれます。
感染症をおこしやすいのは、好中球の減少と機能低下によるのですが、治療が困難で、重い感染症をくり返す場合は、脾臓を摘出したり、全身的なステロイド(副腎皮質(ふくじんひしつ)ホルモン)薬、免疫抑制薬が使用されることがあります。
[日常生活の注意]
関節リウマチにおける日常生活の注意点を守ります(関節リウマチの「日常生活の注意」)。
感染症をおこしやすいので、常日ごろからからだを清潔にし、衣類や家庭環境に注意します。
また、かぜなどをこじらせないようにします。外出時も人混みは避けるようにします。