北アメリカや東アフリカのジュラ紀後期、約1億5570万年~1億4550万年前の地層から産出した草食恐竜。分類学上は竜盤目竜脚形類(亜目)竜脚類(下目)ティタノサウルス形類Titanosauriformesブラキオサウルス科Brachiosauridaeに属する。その名は「腕の爬虫(はちゅう)類」という意味で、前肢が後肢よりも長いことに由来する。全長約25メートル、体高13メートル、体重78トンと恐竜のなかでももっとも重い四肢歩行の巨大な竜脚類。キリンのような体形で、かつては沼地を好み水中深くを歩いたという説があり、水面に顔だけ出して周囲を見渡すことができ、鼻孔は頭骨の隆起した稜(りょう)に取り囲まれていたといわれていた。しかし、1950年代初めには陸上生活に適応し、高い樹木の上のほうにある新芽を食べたとする説が主張され、1960年代以降は肢(あし)がゾウのように頑丈で陸上歩行に向いていたと想像されている。四肢がじょうぶになる一方で、体重を減らすために、背骨には側腔(そくこう)とよばれるくぼみが発達し、椎骨(ついこつ)の側面はえぐられたようになり、薄い骨の板と柱でつくられている。肋骨(ろっこつ)も中空であった。鳥類にみられるような気嚢(きのう)が発達し、軽量化と呼吸機能を高めたという説もある。一方、2億5000万年前からジュラ紀にかけての1億年間、地球上の酸素濃度が異常に低いという厳しい環境のゆえに、恐竜の気嚢システムが出現し、恐竜の生存率向上に役だったという説も提唱されている。
[小畠郁生]
『ヘザー・アメリー文、トニー・ギボンズ絵、富田京一訳『ブラキオサウルス』(1994・ほるぷ出版)』▽『佐藤哲、ネイチャー・プロ編集室構成・文『恐竜の行動とくらし3 ブラキオサウルス――恐竜はどうしてここまで巨大になれたのか』(1995・偕成社)』▽『NHK「地球大進化」プロジェクト編『NHKスペシャル 地球大進化 46億年・人類への旅4 大量絶滅』(2004・日本放送出版協会)』▽『平山廉著『最新恐竜学』(平凡社新書)』
爬虫綱竜盤目の竜脚亜目に属する中生代ジュラ紀後期の絶滅大型恐竜。最初アメリカのコロラド州西部に分布するジュラ紀後期の地層から報告され,1914年にはアフリカのタンザニアから最もよい骨格が発見された。この標本はベルリン市にあるフンボルト大学博物館に陳列されている。地面から頭までの高さ12m,体長約23m。体重は推定40~50t。前肢は4mあり,後肢よりも長く,この恐竜がキリンのように頭を高くもちあげていたことがわかる。地上最大級の動物であるブラキオサウルスは沼沢性の恐竜と考えられているが,陸上性の生活者で,高い樹木の葉などを食べていたという考えも近年提唱されている。頭骨は短く高いが,鼻骨は上方に大きく発達し,鼻孔が頭頂に開いていたことが明らかで,このことは前者の考えを支持するものと思われる。ヨーロッパのジュラ紀後期ないし白亜紀前期からも知られている。アメリカのコロラド州からはスーパーサウルスあるいはウルトラサウルスと呼ばれる化石が知られるが,この属と同じか,最も近縁種である。
→恐竜
執筆者:長谷川 善和
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…南アフリカでは海岸近くの白亜紀前期の地層から発見されたアルゴアサウルスAlgoasaurus(ブルームR.Broom,1904)の研究からはじまり,カルー盆地の三畳紀あるいはタンザニアのテンダグルのジュラ紀恐竜が有名である。テンダグルの発掘は1909‐12年の4年間行われ,ブラキオサウルスBrachiosaurusやケントロサウルスKentrosaurusなど総重量250tの恐竜が発掘された。その後,1924年にイギリス隊による発掘がある。…
…南アフリカでは海岸近くの白亜紀前期の地層から発見されたアルゴアサウルスAlgoasaurus(ブルームR.Broom,1904)の研究からはじまり,カルー盆地の三畳紀あるいはタンザニアのテンダグルのジュラ紀恐竜が有名である。テンダグルの発掘は1909‐12年の4年間行われ,ブラキオサウルスBrachiosaurusやケントロサウルスKentrosaurusなど総重量250tの恐竜が発掘された。その後,1924年にイギリス隊による発掘がある。…
※「ブラキオサウルス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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