レイヨウに似るためエダヅノレイヨウと呼ばれるが,第三紀中新世(約2000万年前)から北アメリカで独自の系統をたどって栄えた偶蹄目プロングホーン科の生残りの哺乳類。北アメリカの固有種で1属1種。体長100~150cm,尾長7.5~18cm,肩高81~104cm,体重36~70kg。走行に適した優美な体をもち,四肢が長く,第2指と第5指を欠く。角はふつう雌雄にあり,ウシと同様に骨芯の上に毛が角質化した角がかぶさるが,シカのように毎年角の角質の鞘が脱落する。しかし,骨芯はそのままというきわめて特徴的な角をもつ。体色は赤褐色で,顔と首の一部とたてがみが黒く,頭部と首の一部から腹,しりが白い。
半砂漠の岩地や草原に群れですみ,日中も夜間も活動する。夏は小群,冬は大群をなすが,夏の終りの繁殖期には雄と複数の雌からなる群れが再構成される。老雄は単独でいることが多い。食物は下生えの草,サボテン,果実,低木の葉などで,水を飲めなくとも食物から水分をとり,長期間生きられる。アメリカ大陸でもっとも速く走る動物で,最高速度は時速96kmといわれる。泳ぎもうまい。オオカミなどの天敵の接近を知ると,しりの白い毛を立てて広げ,仲間への警戒信号とする。妊娠期間252日,1産1子,まれに2~3子を生む。寿命は飼育下で11年2ヵ月の記録がある。
執筆者:今泉 忠明
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出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…シカ類にとくに目立ち,ニホンジカの白い臀斑は黒い側斑に囲まれて鮮やかである。プロングホーンは緊張すると臀斑が逆毛立ち,白い光のような信号を仲間に送る。アメリカ・インディアンはこれをまねて鏡による交信を考案したという。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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