コトバンクはYahoo!辞書と技術提携しています。

ヘック Heck, Philipp von

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ヘック
Heck, Philipp von

[生]1858.8.22. レニングラード
[没]1943.6.22. テュービンゲン
ドイツの法学者。 1889年ベルリン大学で教授資格を獲得。 91年グライフスワルト大学で民法,商法を講義。 92年ハレ大学,1901~28年テュービンゲン大学各教授。利益法学の創唱者。利益概念を中心とした法発見の方法を求め,裁判官のためのより明確な実践的法解釈学の確立を目指した。主著,『法解釈と利益法学』 Gesetzesauslegung und Interessenjurisprudenz (1914) ,『利益法学』 Interessenjurisprudenz (32) 。

ヘック
Heck, Richard F.

[生]1931.8.15. アメリカ合衆国,マサチューセッツ,スプリングフィールド
[没]2015.10.10. フィリピン,マニラ
アメリカ合衆国の有機合成化学者。フルネーム Richard Fred Heck。1952年カリフォルニア大学ロサンゼルス校卒業,1954年同校で博士号を取得。スイスで博士研究員を務めたのち,デラウェア州ウィルミントンの企業,ヘルクレス Herculesでの研究員を経て 1971年デラウェア大学に移り,1989年まで教授を務めた。1960年代終わりから,有機パラジウム化合物による炭素‐炭素結合生成に着目し,1968年フェニルパラジウム塩化物のフェニル基とエチレン(二重結合を 1個もつオレフィン〈エチレン系炭化水素〉に属する)の炭素‐炭素結合生成に成功,さらにこの反応の触媒化を目指した。独力でその機構解明を進め,1972年に有機パラジウム化合物を触媒として有機ハロゲン化合物とオレフィンから炭素‐炭素結合を生成し,新しい有機物質を合成することに成功した。このヘック反応は,オレフィンという限定はあるもののクロスカップリング反応(交差カップリング反応)の原型と考えることができる。この反応は,実質的に同じ反応を東京工業大学の溝呂木勉が 1971年に報告していたため,溝呂木=ヘック反応とも呼ばれる。2010年に「有機合成におけるパラジウム触媒クロスカップリング」でノーベル化学賞根岸英一鈴木章とともに受賞。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ヘック
へっく
Richard Fred Heck
(1931― )

アメリカの化学者。マサチューセッツ州スプリングフィールド生まれ。1954年カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)で博士号を取得。博士号取得後(postdoctoralを略してポスドクともいわれる)の研究者などを経て1971年にデラウェア大学に異動し同大教授となる。1989年に同大を退官、名誉教授となった。2010年に「有機合成におけるパラジウム触媒を用いたクロスカップリング」の業績で、日本の鈴木章(あきら)、根岸英一とともにノーベル化学賞を受賞した。
 2種の有機化合物を結びつけて新しい化合物をつくりだすカップリングの研究では、化学反応を仲介する触媒と、2種の化合物の材料を効率よく結びつけることがポイントになる。ヘックは1972年に、パラジウムを触媒として使い、カップリングを効率よく進めて意図したとおりの化合物をつくりだす方法を確立した。
 これをきっかけに、反応の効率を高める触媒と、2種の材料が結びつくときのつなぎ替えの目印にどのような物質を使うかで新たな研究競争が始まった。共同受賞者となった根岸は、触媒にパラジウムを使い、つなぎ替えの目印に亜鉛化合物を使う「根岸カップリング」を開発して幅広い応用の道を切り開いた。また同じく鈴木は、より安全で扱いやすい有機ホウ素化合物を使い、汎用性の高い「鈴木カップリング」を開発した。こうしたカップリング法の開発と発展は、薬剤の開発と創薬、農薬の製法などに多くの新商品をもたらしただけでなく、液晶材料の製法、有機ELディスプレーの製造などにも使われ、工業界に多大な貢献を果たした。[馬場錬成]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ヘックの関連キーワード銀河おさわがせアンドロイドダニエル マクファデン銀河おさわがせドギー銀河おさわがせマネー鈴木カップリング反応根岸カップリング反応D. マッケクロンリチャード ヘック銀河おさわがせ執事ミクロ計量経済学溝呂木ヘック反応エド サマーリンDIG 聖都の謎赤い靴(映画)マクファデン緑のテーブル社会学的法学ウースターヘックマン安川 茂雄

今日のキーワード

桃李もの言わざれども下自ら蹊を成す

《「史記」李将軍伝賛から》桃やすももは何も言わないが、花や実を慕って人が多く集まるので、その下には自然に道ができる。徳望のある人のもとへは人が自然に集まることのたとえ。...

続きを読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android