ヘモシアニン(読み)へもしあにん(英語表記)hemocyanin

翻訳|hemocyanin

デジタル大辞泉 「ヘモシアニン」の意味・読み・例文・類語

ヘモシアニン(hemocyanin)

軟体動物甲殻類の血液中に含まれる、銅を含む色素たんぱく質酸素結合すると無色から青色になり、酸素を運ぶ働きをする。血青素けっせいそ

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精選版 日本国語大辞典 「ヘモシアニン」の意味・読み・例文・類語

ヘモシアニン

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] hemocyanin ) 甲殻類(エビカニなど)、軟体動物(カタツムリタコなど)の血漿中に見られる色素蛋白質ヘモグロビンと同様に酸素運搬の役を果たす。

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化学辞典 第2版 「ヘモシアニン」の解説

ヘモシアニン
ヘモシアニン
hemocyanin

酸素分子の運搬能を有する銅タンパク質.軟体動物,節足動物血リンパ(hemolymph)に溶解して存在する.存在量は血リンパの数%~10%,また血リンパタンパク質の90~95% を占める.ヘモシアニン1分子当たりの銅イオン数は種によって異なるが,銅含量は節足動物で約0.18%,軟体動物で約0.25% でほぼ一定している.分子量はカタツムリHelix pomatiaのヘモシアニンで8.91×106,カニCancer magistevで9.5×105,種によって差があるがいずれも巨大分子である.2個の銅原子に対して1分子の酸素を結合する.銅イオンはヘモシアニンをシアン化カリウム水溶液に対して透析すると離脱し,酸素結合能が失われるが,これに Cu を添加すれば活性は復元する.[別用語参照]ヘモグロビン

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改訂新版 世界大百科事典 「ヘモシアニン」の意味・わかりやすい解説

ヘモシアニン
h(a)emocyanin

生体内で酸素を運搬する色素タンパク質一種血青素ともいう。イカ,タコ,ザリガニなどの軟体動物と節足動物の血漿(けつしよう)中に存在する。多数のサブユニットから成り,それらが自己集合して短い円筒を形成する。生物種により分子量は異なるが,大きいものは7×106にも達する。各サブユニットは2個の銅原子をもち,その銅原子間に1分子の酸素が可逆的に結合する。それ自身は無色であるが,酸素が結合すると青色に変わる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヘモシアニン」の意味・わかりやすい解説

ヘモシアニン
へもしあにん
hemocyanin

呼吸色素タンパク質の一種で、イカ、タコ、エビ、ザリガニなどの軟体動物や節足動物の血漿(けっしょう)中に存在し、酸素運搬機能をもつ。血青素(けっせいそ)ともいう。高等動物のヘモグロビンに相当するが、ポルフィリン環をもっていない。無色であるが、酸素と結合すると青色に変わる。銅二原子に酸素1分子を可逆的に結合するが、酸素との結合はヘモグロビンより弱い。また、ヘモシアニンは一酸化炭素とは結合しない。分子量や銅の含量などは動物の種類によって異なり、銅の含量は節足動物甲殻類の約0.17%から軟体動物の約0.26%にわたり、分子量も同じく約40万から約900万にも及ぶ。

[若木高善]

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百科事典マイペディア 「ヘモシアニン」の意味・わかりやすい解説

ヘモシアニン

血青素とも。多くの軟体動物や甲殻類の体液中にみられる呼吸色素タンパク質で,銅を含む。酸素と結合したときは青色,遊離状態では無色となる。ヘモグロビンと異なって血球中ではなく,血清中に溶けて,酸素の運搬を行う。分子量はきわめて大きく,891万(カタツムリ)に達するものもある。
→関連項目血液

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヘモシアニン」の意味・わかりやすい解説

ヘモシアニン
hemocyanin

色素蛋白質の一種。無脊椎動物のエビ,ザリガニ,カタツムリ,アワビ,ホタテガイなどの血液中の血色素。1価の銅イオンとグロビン様蛋白質との結合物で結晶化されやすい。分子量は巨大で数百万ある。酸素との結合力はヘモグロビンより弱いが,結合の際無色から青色に変り,銅2原子に対し酸素1分子の割合で結合する。一般に一酸化炭素と結合しないので,これらの動物はその中毒を起さない。

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栄養・生化学辞典 「ヘモシアニン」の解説

ヘモシアニン

 色素タンパク質で,エビ,カニ,イカ,タコなどの銅を含む血色素.酸素を運搬する.

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世界大百科事典(旧版)内のヘモシアニンの言及

【青肉】より

…この現象は,鮮度低下したカニや老大ガニに出やすく,また貯蔵加工中の温度変化が大きいと出やすい。煮熟前に十分脱血したカニはブルーミートになりにくいことから,銅を含んだ呼吸色素ヘモシアニンが原因物質とされている。缶詰製造では,変色防止のため分別凝固法(低温煮熟法とも呼ぶ)が広く用いられている。…

【呼吸色素】より

…ヘモグロビンはほとんどすべての脊椎動物と一部の無脊椎動物に,クロロクルオリンはケヤリなどに,ヘムエリトリンはホシムシやシャミセンガイにみられ,いずれも鉄を含んでいる。銅を含むヘモシアニンは甲殻類や頭足類にみられる。これらの色素は酸素結合能力がきわめて大きく,たとえばヒトの場合,血漿(けつしよう)にとける酸素は0.3%(容量)にすぎないのに実際に動脈血に含まれる酸素は19%に達する。…

【銅】より

…酵素や呼吸色素タンパク質などに,銅タンパク質として存在する。甲殻類や軟体動物中のヘモシアニンが呼吸色素の代表例で,脊椎動物におけるヘモグロビンと同じく酸素の運搬をつかさどる。ヘモシアニンは酸素を離すと無色であり,結合すると青色となる。…

※「ヘモシアニン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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