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ヘルマスの牧者 ヘルマスのぼくしゃShepherd of Hermas

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ヘルマスの牧者
ヘルマスのぼくしゃ
Shepherd of Hermas

使徒教父の一人とされるヘルマスの著作。『牧者』 Poimēnが書名。2世紀頃ローマの教会で読まれた黙示文学的書で,ヘルマスの死後1世紀ほどは正典同様に解され,アレクサンドリアのクレメンスらもその立場を取ったが,次第に影響力を失った。5つの幻と 12の道徳的勧告,10の比喩から成る。 110~140年頃のローマにおけるキリスト教 (たとえばグノーシス派の影響) についての貴重な資料。

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世界大百科事典 第2版の解説

ヘルマスのぼくしゃ【ヘルマスの牧者 Shepherd of Hermas】

使徒教父に含まれる一文書。140年ころローマにおいて一信徒が書いたもの。黙示文学の一つで,全体が五つの幻,12の戒め,10の比喩の3部分から成る。最初の四つの幻は絶えず若返る老女の姿をした教会によって,第5の幻と残る戒めおよび比喩は牧者の姿をした天使によって示される。本書の主要問題は,受洗後罪を犯した者の赦しであった。著者の立場は,それらの者に一度限り悔い改めの機会が与えられる,とする。【川村 輝典】

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ヘルマスの牧者
へるますのぼくしゃ
Poimn

キリスト教の「使徒教父文書」の一つ。原典(ギリシア語)の題名は単に『牧者』となっている。黙示文学の一種で、ヘルマスという人物がおそらくローマで2世紀の中ごろに書いたもの。本文は五つの「まぼろし」、12の「いましめ」、10の「たとえ」の三つの部分からなる。悔い改めの必要を説き、全体の基調は実践的、禁欲的。一時は「聖書」同様にも取り扱われたが、2世紀の教会の一面をよく反映している。[菊地栄三]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典内のヘルマスの牧者の言及

【原始キリスト教】より

…《ペテロの第1の手紙》や《クレメンスの第1の手紙》は,迫害に苦しむ信徒たちに対してキリストの苦難を提示し,みずからの苦難に耐えることを勧めるが,ローマの官憲には服従することを要求している。なお,迫害下にある教会は多くの棄教者を出すことにもなるが,《ヘブル人への手紙》は彼らに悔い改めの可能性を否定するのに対して,《ヘルマスの牧者》はこれを肯定し,終末以前の〈今〉の時を悔い改めの最後の機会とみなしている。いずれにしても,とりわけこの《ヘルマスの牧者》から看取されるように,このころになるとキリスト教徒が属する社会層は平均的に中産階級,あるいはそれ以上となっている。…

【使徒教父】より

…伝統的には〈使徒たちの教えを受けた教父たち〉という意味で用いられている。初期においては《バルナバの手紙》《クレメンスの第1の手紙》《クレメンスの第2の手紙》《ヘルマスの牧者》《イグナティオスの手紙》《ポリュカルポスの手紙》《ポリュカルポスの殉教》の7書のみが含まれていたが,19世紀になってから新たに《パピアスの断片》《クアドラトゥスの断片》《ディオグネトスへの手紙》《ディダケー》が加えられた。 これらのうち《ディオグネトスへの手紙》のみは,本来護教文学と呼ばれる一連の文書に属するのであるが,11章1節で著者が自分のことを〈使徒たちの弟子〉と呼んでいるために使徒教父文書に入れられたと思われる。…

※「ヘルマスの牧者」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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