ベッケル

デジタル大辞泉 「ベッケル」の意味・読み・例文・類語

ベッケル(Gustavo Adolfo Bécquer)

[1836~1870]スペイン詩人。窮乏のうちに夭折ようせつしたが、死後に刊行された「叙情詩集」や、スペイン内外の説話に材をとった短編集「スペイン伝奇集」を残した。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「ベッケル」の意味・読み・例文・類語

ベッケル

(Gustavo Adolfo Bécquer グスターボ=アドルフォ━) スペインの詩人。民衆の心に訴える哀感に満ちた抒情詩を残す。生前は不遇であった。著に、詩集「しらべ」、短編集「スペイン伝説」がある。(一八三六‐七〇

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

百科事典マイペディア 「ベッケル」の意味・わかりやすい解説

ベッケル

フランスの映画監督パリ生れ。《大いなる幻影》(1937年)などJ.ルノアール助監督を経て監督となる。処女作《最後切札》(1942年),《現金に手を出すな》(1954年),遺作《穴》(1960年)などの〈フィルムノワール〉をはじめ,ベル・エポックのパリを舞台にした最高傑作《肉体の冠》(1952年)などにより,フランス映画の戦後第1世代として活躍。ほかカンヌ国際映画祭グランプリを受賞した《幸福の設計》(1947年),ラブ・コメディ《エドワールとキャロリーヌ》(1951年),画家モディリアニ半生を描いた《モンパルナスの灯》(1958年)などがある。柔軟かつ的確な演出により,ヌーベル・バーグ先駆ともなった。
→関連項目ギャバンフィリップリベット

ベッケル

スペインの詩人。34歳で不遇の生涯を終えた。彼の100編足らずの詩作品はすべて《抒情詩集》(1871年)に収められている。そこでは,はかない愛,挫折,孤独などロマン派から引き継がれたテーマが,神秘的ともいえる奥行きのある詩語によって表現されており,その深遠な詩的世界は現代の詩人に対して圧倒的な影響力をもっている。他には伝説を題材とする幻想的な散文詩風の短編を集めた《伝説集》(1860年―1863年)があり,《オルガン弾きペレス》《緑色の瞳》などが知られている。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

改訂新版 世界大百科事典 「ベッケル」の意味・わかりやすい解説

ベッケル
Gustavo Adolfo Bécquer
生没年:1836-70

スペインの詩人。セビリャに生まれ,マドリードで没する。幼くして孤児となり,健康に恵まれず,結婚に失敗するなど生涯不遇であった。1850年代,ハイネに代表されるドイツ抒情詩の要素とアンダルシア民謡の要素とをスペイン詩に導入しようとする動きがみられたが,ベッケルはその中から現れた。生前に発表された作品の数は少なく,また68年の革命の混乱の中で,完成していた詩集の草稿が失われたが,後に作者の手で書き直され,彼の死後,友人たちによって《抒情詩集》(1871)として出版された。そこでは愛,幻滅,詩と詩人,孤独と絶望など,おもにロマン派から引き継がれたテーマが,飾りけのないスタイルでうたわれている。散文の作品には,書簡形式による《僧房便り》(1864),スペイン内外の説話を素材とする《伝説集》(1860-63発表)がある。ホフマンの影響のみられる後者は,愛,かなたの世界の存在などをテーマとし,感覚の強調,色彩に満ちた絵画的描写,暗喩の大胆な使用によって,彼の詩と同様,モデルニスモの前ぶれとなった。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ベッケル」の意味・わかりやすい解説

ベッケル
Becker, Jacques Louis

[生]1906.9.15. パリ
[没]1960.2.21. パリ
フランスの映画監督。 J.ルノアールの助監督を経て 1935年監督としてデビュー。『最後の切札』 Dernier atout (1942) ,『偽れる装い』 Falbalas (45) ,『肉体の冠』 Casque d'or (52) など雰囲気描写にすぐれていた。ほかに『現金に手を出すな』 Touchez pas au grisbi (54) 。

ベッケル
Bécquer, Gustavo Adolfo

[生]1836.2.17. セビリア
[没]1870.12.22. マドリード
スペインの詩人。本名 Gustavo Adolfo Dominguez Bastida。 10歳で両親と死別,叔父の手で育てられ,兄とマドリードに出たが (1854) ,下級官吏,編集者などの職を転々とし,結核におかされた。結婚後も兄が同居していたため妻と不和となり別居し,兄の死 (70) によって妻と和解したが病のためまもなく没した。詩集『調べ』 Rimasは死後出版。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のベッケルの言及

【スペイン文学】より


【19世紀――ロマン主義からリアリズムへ】
 19世紀前半はヨーロッパ全体にロマン主義が流行したが,スペインにもやや遅れて移入され,詩と演劇の分野に成果が見られた。革命運動と激しい恋の末に夭逝したJ.deエスプロンセーダの,ドン・フアン伝説を扱った物語詩《サラマンカの学生》と,神秘的ともいえる深遠な詩語を操った孤独な夢想詩人G.A.ベッケルの《抒情詩集》は文学史に残る傑作である。演劇では1835年に上演されたリーバス公爵の《ドン・アルバロ》が,ビクトル・ユゴーの《エルナニ》のスペイン版ともいうべき,ロマン主義の勝利を決定づける作品であった。…

※「ベッケル」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android