フランス映画。1937年製作。ジャン・ルノアール監督の《どん底》(1936)に続く作品。ジャン・ギャバン,ピエール・フレネー,エリッヒ・フォン・シュトロハイム出演。第1次世界大戦中,ドイツ軍に捕らえられて収容所から脱出を企てるフランスの捕虜たち(滅んでいく貴族,戦争は繰り返されると考える銀行家,インターナショナルな連帯を夢見る労働者)の収容所生活と階級意識,また国境を超えた人間的な愛情を描いて,人間が殺し合わなければならない戦争の残虐さを,うわべだけの反戦主義や捕虜たちの安っぽいヒロイズムを通してではなく,鋭く強烈な人道主義の立場から糾弾した,映画史に残る反戦映画の傑作。根底にある平和への訴えが各国で高く評価され,アメリカでもアカデミー作品賞にノミネートされたが,ゲッベルスはドイツでの上映を禁止し,さらにムッソリーニにはたらきかけてベネチア映画祭での受賞を妨害しようとしたと伝えられている。なお,反戦的,反国家的であるという理由で戦前の日本では公開されなかった(1949初公開)。
執筆者:柏倉 昌美
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
フランス映画。1937年作品。監督ジャン・ルノワール。第一次世界大戦中の実話をもとに脚本家シャルル・スパークCharles Spaak(1903―1975)の協力を得て、人間の友愛と平等を訴えた作品。フランス軍の大尉(ピエール・フレネーPierre Fresnay(1897―1975))と中尉(ジャン・ギャバン)が偵察飛行中に撃墜され、ドイツ軍の捕虜となる。捕虜収容所の所長(エリッヒ・フォン・シュトロハイム)は自分と同じ貴族階級出身の大尉に親近感を抱くが、機械工上がりの中尉は捕虜仲間のユダヤ人銀行家の息子と脱走を企て、大尉の犠牲によりついにそれに成功する。ルノワールは正確でリアルな描写を通じて(フランス語、ドイツ語、英語の併用もその一つ)、国籍、言語、階級、人種などの違いを超えた大きなヒューマニズムを説いた。フランス、アメリカでは公開当時から大成功を収めたが、ファシズム下のドイツ、イタリアでは上映が禁止され、日本でも第二次世界大戦前は公開されなかった。1949年(昭和24)日本公開。
[武田 潔]
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