ベンツ(読み)べんつ(英語表記)Karl Friedrich Benz

デジタル大辞泉 「ベンツ」の意味・読み・例文・類語

ベンツ(vent)

上着コートの、背の中心や脇の裾にある切れ込み。布の重なりがあることがスリットと違う。馬乗りベント。「センターベンツ

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精選版 日本国語大辞典 「ベンツ」の意味・読み・例文・類語

ベンツ

  1. ( Karl Friedrich Benz カール=フリードリヒ━ ) ドイツの機械技術者。内燃機関の発明を志し、一八八五年、四サイクルのガソリン機関を備えた自動三輪車を製作。創設した自動車会社は後に合併しダイムラー‐ベンツとなる。(一八四四‐一九二九

ベンツ

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] vents ) 上着やコートなどの、背や脇の面の裾(すそ)につけた切れ込み。センターベンツサイドベンツなど。馬乗り。

ベンツ

  1. ( Benz ) ドイツの自動車メーカー、ダイムラー‐ベンツ社(現ダイムラー‐クライスラー社)の略称。また、同社製の自動車「メルセデス‐ベンツ」の略。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ベンツ」の意味・わかりやすい解説

ベンツ
べんつ
Karl Friedrich Benz
(1844―1929)

ドイツの機械技術者で、今日の自動車の発明者の一人。ドイツ南西のバーデン・ウュルテンベルク州の、フランスのロレーヌに近いカールスルーエに生まれる。家は代々町長と鍛冶(かじ)屋を兼ね、父は鉄道の機関士だったが彼の生まれる4か月前に肺炎で死去。母に育てられ、19歳でカールスルーエ工科大学を卒業して数学と機関設計の学位を得た。各地を転々として働いたのちマンハイムに定住、28歳の1872年、のちに内助の功で有名になるベルタBertha Benz(1849―1944)夫人と結婚する。ブリキ工作用機械の製造販売などを行うが、1878年の暮れ、独力で2ストローク・ガソリンエンジン(ツーすとろーくがそりんえんじん)を完成、1883年10月1日、ベンツ&C・ライン・ガスエンジン工場を設立、エンジンの製造を開始した。

 1884年には4ストローク・エンジン(フォーすとろーくえんじん)を製作、それを用いた三輪車は1886年1月26日「ガスエンジン駆動の乗り物」としてドイツ帝国特許第37435を与えられた。これが今日史上初の実用的なガソリン自動車とされているベンツの三輪車で、1986年に世界が自動車100年を祝う根拠になった。1893年には四輪のビクトリア、翌1894年には小型四輪車のベロを完成、世紀の変わり目にかけての世界中の自動車の設計に絶大な影響を与えた。1926年、ベンツ社は最大のライバルたるダイムラー社(車名メルセデス)と合併、ダイムラー・ベンツ社(車名メルセデス・ベンツ)となる。ベンツは合併後の新会社にも役員としてとどまった。

[高島鎮雄]

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改訂新版 世界大百科事典 「ベンツ」の意味・わかりやすい解説

ベンツ
Carl Friedrich Benz
生没年:1844-1929

ドイツの機械技術者。カールスルーエ工業学校で機械工学を学ぶ。卒業後カールスルーエ機械製作所などで働き,1871年マンハイムに機械工作場を設立,77年ころから,かねての念願であった〈馬なし馬車〉,すなわち自動車の設計にとりかかった。80年には定置型の1馬力2サイクル・ガス機関を製作,工場用原動機として注目された。83年マンハイムにガス機関工場ベンツ社を設立し,原動機の生産,販売のかたわら自動車の発明にますます力を注いだ。そして早くも翌年には最初の試作品をつくり,85年G.ダイムラーとは独立に1気筒4サイクルのガソリンエンジンを製作,三輪車に搭載し初の現実的可能性のある自動車として工場敷地内を走らせた。88年には改良したモデル3型をミュンヘンの作業機・原動機の博覧会に出品,非公式な許可の下で1日2時間公開運転を行った。この動力三輪車は新聞などで絶賛され,博覧会の金賞を獲得したものの,89年のパリ博覧会でも販売市場の見通しは得られなかった。そこで四輪構造の自動車の研究に入り,92年から93年にかけて四輪用操舵装置を発明,さらに電気点火方式や気化器,冷却装置など個々の車両構造上の技術的改良にも成功,19世紀末には,車両の種類としても乗用車から競走用自動車,荷物自動車,豪華車など多様な生産を行うに至った。生産増に伴う資本調達問題に端を発した会社内部の争いにいや気がさし,1903年会社を引退,2人の息子とラーデンブルクに新会社を設立,余生を過ごした。
ダイムラー・ベンツ[会社]
執筆者:

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百科事典マイペディア 「ベンツ」の意味・わかりやすい解説

ベンツ

ドイツの機械技術者。小型高速内燃機関を研究,1880年定置型の2サイクル・ガス機関を作り,1885年にはガソリンエンジンを搭載した三輪自動車を製作,以後マンハイムの工場で四輪自動車の開発と製造に取り組んだ。この工場は1926年ダイムラーの工場と合併してダイムラー・ベンツ会社となった。
→関連項目自動車

ベンツ

ドイツの宗教学者,教会史家。チュービンゲン,ベルリン,ローマの各大学に学び,1937年以降マールブルク大学教授。ドイツ神秘主義,東方教会史,さらにインド宗教や禅に及ぶ比較研究で知られる。来日体験があり,師事した日本人も多い。主著《ヤーコプ・ベーメによる完全なる人間》《幻視》《キリスト教史》ほか。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ベンツ」の意味・わかりやすい解説

ベンツ
Benz, Karl Friedrich

[生]1844.11.25. カルルスルーエ
[没]1929.4.4. マンハイム近郊
ガソリン内燃機関を搭載した自動車の生産に最初に成功した技術者,事業家。 1885年にまず三輪自動車を,1893年に四輪自動車を生産,1899年競走用車の最初のシリーズをつくった。 1926年ベンツ社はダイムラー社と合併,ダイムラー=ベンツの社名でメルセデス・ベンツの製造を開始し,世界有数の高級自動車メーカーに発展した。 (→ダイムラー )

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世界大百科事典(旧版)内のベンツの言及

【ダイムラー・ベンツ[会社]】より

…高級乗用車メルセデス・ベンツMercedes‐Benzで知られるドイツの自動車メーカー。バス,トラックの生産でもヨーロッパのトップクラス。…

【ガソリンエンジン】より

…混合気の点火は熱した管によって行い,また気化器にはガソリン液柱の底から空気を通して気化する方式を採用していたが,このダイムラーのガソリンエンジンが実用的なガソリンエンジンの最初といえる。一方,C.ベンツも86年に電気火花点火式の4サイクルガソリンエンジンをつくり,三輪車を走らせた。このようにガソリンエンジンは,まず自動車用エンジンとして発明,発達し,高速化・高出力化,耐久性・信頼性の向上などがはかられた。…

【自動車】より


[技術開発の時代]
 内燃機関の理論を確立したN.A.オットーは,1876年に可燃性ガスを燃料とする火花点火のガス機関を改良し,ピストンとクランクを組み合わせた4サイクル作動方式の内燃機関の実用化に成功した。ドイツのG.ダイムラーは,このオットーの機関をさらに改良して,ついに実用に耐えうるガソリンエンジンをつくり,85年にガソリンエンジン二輪車を完成,また同年ドイツのC.ベンツもガソリンエンジン三輪車を完成し翌年に公開試運転を行っている。これらが今日の自動車の原型である。…

【タイヤ】より

…フランスのミシュラン兄弟は,95年パリ~ボルドー間1200kmレースに,自作の空気入りゴムタイヤをプジョーにつけて出場,パンクに次ぐパンクで22本のチューブを使い,ソリッドタイヤをつけた自動車に敗れはしたが,とにかく完走した。その前年ドイツのK.ベンツは四輪自動車の量産に取り組み,初めのうちはソリッドタイヤを用いていたが,96年にはその改良モデル車に空気入りゴムタイヤを採用した。この年アメリカにおいても自動車用のタイヤがつくられている。…

※「ベンツ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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