改訂新版 世界大百科事典 「ペティの法則」の意味・わかりやすい解説
ペティの法則 (ペティのほうそく)
Petty's law
C.G.クラークは,産業を三つの種類に区別して,それぞれ第1次,第2次,第3次産業と名づけた。第1次産業は農業,林業,水産業などから成り,経済発展に伴いその比率は低下し,製造工業を中心とする第2次産業の比率が高まるという現象がみられる。さらに主として商業,サービス業から構成される第3次産業の比率の上昇もみられる。このような傾向をふつう〈ペティの法則〉と呼ぶ。もともとはW.ペティが《政治算術》の中で主張したことであって,〈農業よりも工業のほうが利益が大きく,さらに進んで商業のほうが利益が大きい〉という文章に基づいてクラークが名づけたものである。そのため,ときとしては〈クラークの法則〉〈ペティ=クラークの法則〉と呼ばれることもある。
この法則はとくに,第3次産業の定義が実質的な意味をもつものではなく,第1次および第2次産業に属さない産業のすべてを含むことになっているため,必ずしも明確な理論的意味をもつものではないことに注意する必要がある。
またホフマンWalther Hoffmannは製造工業を消費財産業と資本財産業に分類し,工業化の進展とともに資本財産業の消費財産業に対する比率が増大していくことを明らかにした。これを〈ホフマンの法則〉といい,また消費財産業と資本財産業の比率を〈ホフマン比率〉という。
執筆者:宇沢 弘文
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報