フランス南西部,ドルドーニュ県の県都。イル川に臨む。人口3万3000(1990)。ガロ・ロマン時代の都市ベゾーヌVésone(ウェスナVesuna)に起源をもち,5世紀以来ペリゴール地方の主都として繁栄した。中世には,その跡に要塞シャトー・バリエールと司教座教会(旧大聖堂)が建てられ,一方,やや離れて巡礼地ピュイ・サン・フロンPuy-Saint-Frontを中心に町人の町が発達,両者は1251年単一の都市共同体に合体した。19世紀以後県都となり,また,道路・鉄道網の交差点にあるため,行政・商業都市としてゆるやかに発展したが,現在はむしろ停滞状態にある。
執筆者:井上 尭裕
旧市街ベゾーヌのサンテティエンヌ・ド・ラ・シテ旧大聖堂は,宗教戦争やフロンドの乱で破壊をうけ,四つのドームのうち二つを残す。手前のドーム(11世紀末)は割石造で,太い柱,分厚いアーチやペンデンティブに支えられ,当地方独特のドーム列を頂く教会堂建築様式の最古の例として知られる。ピュイ・サン・フロンのサン・フロン大聖堂は,12世紀にカロリング朝期のバシリカの上に鐘塔が,その東側に五つのドームを載せたギリシア十字プランの教会が建立されたものである。大聖堂週辺には,中世そのままの狭い街路や15~16世紀の建物が数多く残る。ローマ支配時代の円形劇場(アレーナ)や神殿の遺跡などもある。
執筆者:五十嵐 ミドリ
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フランス南西部、ドルドーニュ県の県都。ドルドーニュ川支流イル川河畔に位置する。人口3万0193(1999)。ペリゴールPérigord地方の中心都市で、司教座の所在地、商業中心地。野菜、家畜の取引が行われる。フォアグラのペーストやトリュフ(ペリゴール・ド・トリュフ)などの食料品、たばこ、皮革、化学などの工業がある。市の中心部は2地区からなり、西部のシテはローマ時代のベソナVesonaで、ガリア系のペトロコリイ人の首都であった。東部のピュイ・サン・フロンは5~9世紀に修道院の近くにできた町で、ペリグーは両者が合併してできた。3世紀ローマの円形闘技場、12世紀ロマノ・ビザンティン様式のサン・フロン大聖堂(1852~1901修復)、12世紀のサンテティエンヌ教会、16世紀のサン・ジュアン礼拝堂など歴史的建造物が多い。
[青木伸好]
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