ペリグー(英語表記)Périgueux

デジタル大辞泉 「ペリグー」の意味・読み・例文・類語

ペリグー(Périgueux)

フランス南西部ドルドーニュ県の都市。同県の県都で、ドルドーニュ川の支流イル川沿いにある。フォアグラトリュフ産地として知られる。古代ローマ時代よりペリゴール地方の中心地で、後に司教座が置かれた。3世紀の城壁円形闘技場、12世紀に建てられたロマノビザンチン様式サンフロン大聖堂をはじめ、歴史的建造物が数多く残っている。1998年、「フランスのサンティアゴ‐デ‐コンポステラの巡礼路」の一部として、世界遺産(文化遺産)に登録された。

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改訂新版 世界大百科事典 「ペリグー」の意味・わかりやすい解説

ペリグー
Périgueux

フランス南西部,ドルドーニュ県の県都。イル川に臨む。人口3万3000(1990)。ガロ・ロマン時代の都市ベゾーヌVésone(ウェスナVesuna)に起源をもち,5世紀以来ペリゴール地方の主都として繁栄した。中世には,その跡に要塞シャトー・バリエールと司教座教会(旧大聖堂)が建てられ,一方,やや離れて巡礼地ピュイ・サン・フロンPuy-Saint-Frontを中心に町人の町が発達,両者は1251年単一の都市共同体に合体した。19世紀以後県都となり,また,道路・鉄道網の交差点にあるため,行政・商業都市としてゆるやかに発展したが,現在はむしろ停滞状態にある。
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旧市街ベゾーヌのサンテティエンヌ・ド・ラ・シテ旧大聖堂は,宗教戦争やフロンドの乱で破壊をうけ,四つのドームのうち二つを残す。手前のドーム(11世紀末)は割石造で,太い柱,分厚いアーチやペンデンティブに支えられ,当地方独特のドーム列を頂く教会堂建築様式の最古の例として知られる。ピュイ・サン・フロンのサン・フロン大聖堂は,12世紀にカロリング朝期のバシリカの上に鐘塔が,その東側に五つのドームを載せたギリシア十字プランの教会が建立されたものである。大聖堂週辺には,中世そのままの狭い街路や15~16世紀の建物が数多く残る。ローマ支配時代の円形劇場(アレーナ)や神殿遺跡などもある。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ペリグー」の意味・わかりやすい解説

ペリグー
ぺりぐー
Périgueux

フランス南西部、ドルドーニュ県の県都。ドルドーニュ川支流イル川河畔に位置する。人口3万0193(1999)。ペリゴールPérigord地方の中心都市で、司教座の所在地、商業中心地。野菜、家畜の取引が行われる。フォアグラのペーストやトリュフ(ペリゴール・ド・トリュフ)などの食料品、たばこ、皮革、化学などの工業がある。市の中心部は2地区からなり、西部のシテはローマ時代のベソナVesonaで、ガリア系のペトロコリイ人の首都であった。東部のピュイ・サン・フロンは5~9世紀に修道院の近くにできた町で、ペリグーは両者が合併してできた。3世紀ローマの円形闘技場、12世紀ロマノ・ビザンティン様式のサン・フロン大聖堂(1852~1901修復)、12世紀のサンテティエンヌ教会、16世紀のサン・ジュアン礼拝堂など歴史的建造物が多い。

[青木伸好]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ペリグー」の意味・わかりやすい解説

ペリグー
Périgueux

フランス南西部,ドルドーニュ県の県都。マシフサントラル (中央山地) の西縁,イール川沿岸に位置する。フォアグラ (ガチョウのレバペースト) ,トリュフ,ワインの産地として世界的に有名な美しい町。ブタの取引も盛んで,ほかに金属,たばこ,化学,繊維工業がある。有史前住居跡の多いドルドーニュの谷の観光中心地。ローマ軍道の渡河点として発達した古都で,市内にも 12世紀の聖フロン大聖堂 (13,16世紀の増築により,ロマネスク,ビザンチンなど様式が混在) ,12世紀の聖エティエンヌ聖堂,考古学資料の多い博物館があるほか,大闘技場などローマ時代の遺跡や,3世紀の城壁や城 (12~15世紀) も有名。人口3万 2848 (1990) 。

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