日本大百科全書(ニッポニカ)「ホテイアオイ」の解説
ホテイアオイ
ほていあおい / 布袋葵
[学] Eichhornia crassipes Solms.
ミズアオイ科(APG分類:ミズアオイ科)の多年生の浮遊性水草。ホテイソウ、ウォーターヒヤシンスともいう。根は細く、水中に垂れる。葉は円形または卵円形、鮮緑色で光沢がある。葉柄の基部近くが膨らんで気嚢(きのう)となり、水面に浮かぶ。夏、高さ約30センチメートルの花茎を出して穂状花序をつくり、漏斗(ろうと)状鐘形で径約3センチメートルの花を開く。花被(かひ)は6枚で淡青紫色、上片は大きくて濃い斑紋(はんもん)があり、その中央は黄色である。亜熱帯アメリカ原産で、日本へは明治中期に導入され、暖地では野生化している。池や金魚鉢で観賞する。栽培は水面に浮かべるか、泥土で鉢植えし、鉢のみを水中に沈める。栄養がよいと匐枝(ふくし)で猛烈に繁殖して水面を覆い、各地で害草となっている。水中の窒素やリンを吸収する能力が高く、プランクトンの発生を防ぐので、富栄養湖の浄化に使われることもある。また、家畜飼料とするほか、発酵させたガスのエネルギー利用の面でも注目されている。
[吉江清朗 2019年6月18日]