ボランタリー・チェーン(読み)ぼらんたりーちぇーん(英語表記)voluntary chain

翻訳|voluntary chain

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ボランタリー・チェーン」の意味・わかりやすい解説

ボランタリー・チェーン
ぼらんたりーちぇーん
voluntary chain

多数の小売業者(卸売業者を含むこともある)が独立性を保持しつつチェーン化して共同活動を行う組織をいう。歴史的には、同一企業の直営的組織であるレギュラー・チェーンに対抗して、これと同等の競争条件を確保するために独立小売業者によって組織されたものである。卸売業者主宰の組織と小売業者主宰のものとがあるが、国際的に使用されている用語では、卸売業者主宰のものをボランタリー・チェーンといい、小売業者主宰のものはコーペラティブ・チェーンcooperative chainという。組織運営の原理は、協同主義に基づき、チェーン・ストアのもつ規模利益の追求である。本部は集中仕入れ、販売促進、運送・保管、商品開発などの共同活動を行うほか、加盟店の情報システム支援や経営全般の指導も行う。規約に従い加盟小売店は独立経営を行う。ボランタリー・チェーンは中小小売業者の横の連帯が強調されるため、本部の統制力は弱い。ボランタリー・チェーン加盟店の業種は食品がもっとも多く、ついでドラッグ(医薬化粧品)が多い。ほかに寝具、家具、眼鏡などの業種もある。

伊藤公一

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ボランタリー・チェーン」の意味・わかりやすい解説

ボランタリー・チェーン
voluntary chain

経営的には相互に独立している小売店が,単独小売店では得られないさまざまな利点を活用するために,多数集ってつくるグループ組織。レギュラー・チェーンが同一の経営者に属して統一的に営業活動を行なっているのに対し,各店の自由意志によって参加が決定されるという点に特徴がある。最も典型的なものは卸売店を中心としてまとまったものであるが,なかにはメーカーや小売店を主体としたものもある。特に小売店を中心としたものは,コーペラティブ・チェーンといい,他のボランタリー・チェーンと区別することもある。 1920年代にアメリカで発生し,発展したもので,現在では,さまざまな商品分野に広く展開されている。

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流通用語辞典 「ボランタリー・チェーン」の解説

ボランタリー・チェーン【voluntary chain】

VCあるいは任意連鎖店ともいわれる、同業種の小売店が各店の独立性を維持しながら、仕入や広告などの営業活動を共同で実施する組織。卸売業者が小売店指導・援助のために主宰するものと、小売店同士で組織化をはかるものがある。最大のメリットは、個々の小売店では実現できない規模の利益がチェーン化によって達成できるということである。大規模小売店に対抗する中小小売店の有力な経営戦略のひとつとして考えられるようになってきている。

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世界大百科事典(旧版)内のボランタリー・チェーンの言及

【チェーン・ストア】より

…連鎖店という訳語は今日ではあまり使われない。レギュラー・チェーンregular chainないしコーポレート・チェーンcorporate chainとボランタリー・チェーンvoluntary chain(VC)とに分けられるが,第2次大戦後にはフランチャイズ・チェーンfranchise chainないし契約チェーンと呼ばれる新しいチェーン・ストアも発展している。 レギュラー・チェーンは,強力な中央本部と多数の小売店舗を有する一企業体である。…

※「ボランタリー・チェーン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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