ボロス(英語表記)Vólos

デジタル大辞泉 「ボロス」の意味・読み・例文・類語

ボロス(Volos/Βόλος)

ギリシャ中部、テッサリア地方の港湾都市。パガシティコス湾最奥部に位置し、同国第三の商業港がある。テッサリア地方の農産物集散地であるほか周辺には工業地帯が広がっている。19世紀末から20世紀前半にかけて、都市計画に基づいて建てられた新古典主義様式の建物工場が多い。1954年から1955年にかけて大地震に見舞われたが、その後再建された。

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改訂新版 世界大百科事典 「ボロス」の意味・わかりやすい解説

ボロス
Vólos

ギリシア中部,エーゲ海のボロス湾に面する港町。人口8万2439(2001)。穀物,野菜,綿花,絹,オリーブ油などの積出港で,製粉,皮なめし,精油などの軽工業が行われる。ピレウスと並ぶ工業都市となるはずのところが,1954年と55年に大地震に見舞われて,大きな被害があり,発展は一時中断された。しかし,最近はまた自動車などの重工業も興りつつある(日産自動車の工場がある)。古代ギリシア神話の英雄イアソンの町イオルコスは現在のボロス市外にあたり,遺跡の存在が確認されている。また現ボロス港は1912年に造営されたものだが,町の西にはイアソンが金羊毛を求めて出港したと伝えられるパガサイPagasaiの港の跡やマケドニア時代のデメトリアスDēmētrias港の遺跡などがある。ボロス市の北の山中にあるマクリニッツァMakrinítsaは古い民家を多く残した美しい村として知られ,観光地となっている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ボロス」の意味・わかりやすい解説

ボロス
Vólos

ギリシア,バルカン半島部中部,セサリア (古代名テッサリア) 地方東部の都市。アテネの北北西約 170km,エーゲ海のパガシティコス湾の湾奥に位置する港湾都市で,おもにセサリア地方に産する穀類,ワイン,綿花,クロム鉄鉱,タバコ,オリーブ,オリーブ油などを積出す。背後のピリオン山麓の丘陵に位置する旧市街は,ミケーネ時代にこの地方の中心地であったイオルコスのあったところで,1956年以降の発掘によりその遺跡が出土している。市の南にはミケーネ時代から古典期末まで繁栄したパガサイ,前 293年マケドニアが建設したデメトリアスの遺跡もある。海岸沿いに広がる新市街は,おもに 1881年市がオスマン帝国からギリシアに割譲されたのち発展した。ラリサと鉄道で結ばれ,アテネとセサロニキを結ぶ幹線鉄道に連絡。人口7万 1378 (1981) 。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ボロス」の意味・わかりやすい解説

ボロス
ぼろす
Vólos

ギリシア中部、マグネシア県の県都。ピレウス、テッサロニキに次ぐギリシア第三の港湾都市。人口8万2439(2001)。テッサリア東岸のパガシティコス湾奥に位置し、テッサリア平原の農産物である穀物、野菜、ぶどう酒、たばこなどを輸出する。湾の周辺には工業地帯が発達し、オリーブ油加工、織物、皮革、たばこ産業が盛んである。1956年以来、旧市街アノ・ボロスで二つのミケーネ宮殿の発掘が進められている。考古学博物館がある。

[真下とも子]

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