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ポピュリスム ポピュリスムpopulisme

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ポピュリスム
populisme

1930年代にフランスで興った文学運動。 29年にアンドレ・テリーブ,レオン・ルモニエらが『ウーブル』紙上で提唱,31年の「ポピュリスト賞」 le prix populisteの創設もあって,第2次世界大戦前まで若干の勢力をなした。ジッドバレリープルーストらによって知的難解度を強めていた文学を民衆の手に返そうとするもので,民衆をあたたかで誠実な目でとらえようと試みたが,人間の卑小面のみを描こうとする傾向があり,その点をコミュニスト作家から批判された。ダビの『北ホテル』 (1929) がその代表作とされる。

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デジタル大辞泉の解説

ポピュリスム(〈フランス〉populisme)

1930年ころ、フランスで興った文学運動。庶民の生活を平易な文体で忠実に描こうとした。ダビが代表的。民衆主義。

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百科事典マイペディアの解説

ポピュリスム

フランスのルモニエによって1929年に提唱された文学運動。非党派的態度で労働社会の人民を描くことを主張。ダビの《北ホテル》はその一例。先駆者としてフィリップをあげることができる。
→関連項目ダビ

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大辞林 第三版の解説

ポピュリスム【populisme】

1930年頃のフランスの文学運動。民衆の素朴な考えや生活を客観的・全体的に描こうとしたもの。ダビが代表的作家。民衆主義。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ポピュリスム
ぽぴゅりすむ
populismeフランス語

フランスの小説家レオン・ルモニエとアンドレ・テリーブAndr Thrive(1891―1967)が『ポピュリスム小説宣言』(1929~30)で提唱した文学運動。プルーストなど当時のブルジョア的あるいは貴族趣味的な文学や有閑階級の知的洗練度を重視する傾向に対し、一般大衆の生活の実相に目を向ける必要を説いたが、道徳的・政治的イデオロギーを排除するとともに、自然主義文学がとかく陥りがちな庶民生活の末梢(まっしょう)的な描写ともはっきり一線を画すことを主張した。さらに単なる民衆の賛美や民衆生活の真相をゆがめる理想化を排し、ありのままの民衆を描くことによって文学を一般大衆の手に取り戻そうとするこの文学理念は、当然のことに、自然で平易な文体を重視した。この主張に沿う小説や詩、のちには絵画や映画を対象に、ポピュリスト賞が設定された。代表的なポピュリスムの作家(ポピュリスト)はウージェーヌ・ダビで、パリのサン・マルタン運河沿いの木賃宿に住む貧しい労働者たちの根なし草のような生活を淡々とした詩情をもって描いた『北ホテル』(1929)は、第1回ポピュリスト賞を受けた名作である。サルトルも『壁』(1939)で受賞した。ポピュリスムは大規模な文学運動には発展しなかったが、民衆生活の哀歓を清新な文体で描いたシャルル・ルイ・フィリップの流れにたち、両次大戦間のフランス文学に一時期新風を吹き込んだ点は評価されよう。[須藤哲生]

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