ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ポランスキー」の意味・わかりやすい解説
ポランスキー
Polanski, Roman
映画監督,脚本家,俳優。さまざまなジャンルの映画を通じて,孤独,欲望,不条理などのテーマを追究してきた。ポーランド人移民の子としてパリに生まれ,3歳のとき家族でポーランドのクラクフに移住。まもなく両親がナチスの強制収容所に収容され,母親はそこで死亡した。ポランスキー自身は強制収容所から逃れて戦争を生き延び,14歳で舞台に立つ。のちに 1950年代のポーランド映画復興の立役者であるアンジェイ・ワイダ監督の映画にも出演した。1959年ウッチの映画学校を卒業したが,在学中にすでに数本の短編で賞を獲得。初の長編監督作となるサスペンス映画『水の中のナイフ』Nóz w wodzie(1962)で国際的名声を得た。1962年にポーランドを離れたのち,イギリスやアメリカ合衆国でいくつかの大作映画を制作。ハリウッドで活動中の 1969年,妊娠中だった 2番目の妻で女優のシャロン・テートが,チャールズ・マンソン率いるカルト集団に惨殺される。1977年には未成年者との猥褻行為により逮捕,有罪判決を受けたが,保釈期間中にフランスに逃れた。1989年,『フランティック』Frantic(1988)などに起用したフランスの女優エマニュエル・セニエと結婚。ナチス占領下のポーランドにおける実話を題材にした『戦場のピアニスト』The Pianist(2002)でカンヌ国際映画祭のパルムドール,アカデミー賞監督賞などに輝いた。他の代表作は,『ローズマリーの赤ちゃん』Rosemary's Baby(1968),『チャイナタウン』Chinatown(1974),『テス』Tess(1979)など。
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