日本大百科全書(ニッポニカ) 「マサキ」の意味・わかりやすい解説
マサキ
まさき / 柾
[学] Euonymus japonicus Thunb.
ニシキギ科(APG分類:ニシキギ科)の常緑低木。高さ約3メートルであるが、約8メートルに達するものもある。枝は緑色で滑らかである。葉は楕円(だえん)形で長さ3~8センチメートル、質は厚く、光沢がある。6~7月、集散花序をつくり、4数性で径約5ミリメートルの淡緑色花を多数開く。果実は球形で径約7ミリメートル、橙赤(とうせき)色である。海岸近くの林に普通に生え、北海道南部から沖縄・小笠原(おがさわら)、および朝鮮半島、中国に分布する。生け垣などに、もっとも普通に植栽される。変異に富んだ植物で、葉が細いナガバマサキ、葉が小さく質が薄いカワチマサキなどの品種がある。中国では薬用とし、利尿、強壮に効能があるという。
[門田裕一 2020年2月17日]
文化史
マサキの語源には正木、真青木、真幸(まさき)、あるいは籬木(ませき)の転訛(てんか)などの諸説があるが、それらは平安時代の辞書にはみられない。漢方ではマサキをトチュウ(杜仲)の代用とし、和杜仲(わのとちゅう)の名で、樹皮を強壮薬に使った。
江戸時代には葉の変異がみいだされ、園芸化が進んだ。『花壇地錦抄(かだんちきんしょう)』(1695)では正常なマサキのみであるが、続く『増補地錦抄』(1710)には銀覆輪の「薄雪(うすゆき)まさき」をあげている。『草木錦葉集(きんようしゅう)』(1829)は諸種の斑(ふ)入りを載せている。
[湯浅浩史 2020年2月17日]