曼荼羅供(読み)まんだらく

精選版 日本国語大辞典 「曼荼羅供」の意味・読み・例文・類語

まんだら‐く【曼荼羅供】

  1. 〘 名詞 〙 仏語真言宗で、両部曼荼羅供養する法会空海が弘仁一二年(八二一)、初めて行なった。
    1. [初出の実例]「一条殿御堂〈小川〉供養、入道殿御共、参彼御堂、曼陀羅供、導師、権僧正覚宗」(出典台記‐康治元年(1142)二月二六日)

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改訂新版 世界大百科事典 「曼荼羅供」の意味・わかりやすい解説

曼陀羅供 (まんだらく)

仏事の法要名。曼荼羅供とも書く。略称は〈曼供(まんく)〉。金剛界曼陀羅・胎蔵界曼陀羅(曼荼羅)を中心とする法要で,密教立(みつきようだて)の法要の中でもっとも華やかなもの。真言系諸宗と天台系諸宗で勤める。大壇(だいだん)を設け,その前の礼盤(らいはん)に導師が登って,この法要独自の修法を行う。職衆(しきしゆう)はその間に声明(しようみよう)を唱えるほか,真言系では声をそろえて呪を誦したり読経を行ったりする。その呪を中心とする形式を〈呪立(しゆだて)〉,読経を中心とする形式を〈経立〉と称し,後者では,〈理趣三昧(りしゆざんまい)〉と同様に美しい曲節のある《中曲理趣経》を用いる。天台系のこの法要には,〈金剛界立(こんごうかいだて)〉〈胎蔵界立〉〈両界合行立(りようがいごうぎようだて)〉の3種があり,その区別により修法の内容も声明曲の種類も違ってくる。この3者は〈金曼供(こんまんく)〉〈胎曼供〉〈合曼供(ごうまんく)〉と略称される。真言系では,金・胎独立の形式は一般に用いられず,両界立を常とするが,法要全体の構造は,金剛界立の〈理趣三昧〉に類する。この法要の導師は,真言系では一般に大阿(だいあ)(大阿闍梨(だいあじやり))と称する。〈曼陀羅供〉の応用に,導師がたとえば〈如意輪観音法〉などの他の修法を勤め,職衆が〈曼陀羅供〉の次第に従って声明等を唱えるといった法要があるが,これは〈曼陀羅供〉が法要の基本形一つとして定着しているからである。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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